全国高校総体サッカー男子、前橋育英が米子北をPK戦の末に破り決勝進出 名将が、否定的だった「夏の特別ルール」に感謝した。…
全国高校総体サッカー男子、前橋育英が米子北をPK戦の末に破り決勝進出
名将が、否定的だった「夏の特別ルール」に感謝した。徳島県で開催されている全国高校総体(インターハイ)サッカー男子は29日に準決勝を行い、前橋育英(群馬)はPK戦の末に前回準優勝の米子北(鳥取)を下して決勝進出を決めた。
試合全体を通して前橋育英が主導権を握る時間の多いゲームだった。しかし、立ち上がりの15分は完全に米子北のペース。前線から精力的にプレッシャーをかけ、前橋育英が得意とするパスワークを寸断してショートカウンターを多く仕掛けた。前橋育英が右MF山田皓生(3年)をわずか15分で交代させたことからも、相手ペースに引き込まれていたことが分かる。前半16分にはミドルシュートをゴール枠内に飛ばされ、MF徳永涼(3年)がカバーする危険な場面もあった。試合時間が17分に差しかかったところで、夏の特別ルールである「クーリングブレイク」となり、両チーム全選手がベンチに下がった。
前橋育英の山田耕介監督は「今まで、ブレイクタイムなんて必要ないと思っていたんですよ。(元来は)サッカーにない(ルール)じゃないですか。でも、今日は絶対にブレイクタイムが必要だと思いましたよ。本当に助かりました。あそこで冷静になって、リズムが変わってきた。ブレイクタイム様々という感じでした」と苦笑いで試合を振り返った。
2016年に初めて導入された「クーリングブレイク」は、気温が高い場合、熱中症対策としてベンチなどの日陰で3分間の休憩を取るシステムで、主に夏場に採用される。これとは別に、ベンチ前で水分を補給する給水タイムも設けられるが、1分程度。クーリングブレイクは3分ほどあり、全員が1か所に集まって話し合える機会となるため、体を休めるばかりでなく、戦術確認等を行う時間としても機能する。そのため、本来ならば選手が試合の流れのなかで判断していくことをチームや指導者の力で補える部分があり、健康管理面ではメリットがあるものの、採用に否定的な意見もある。
山田監督もその1人だったわけだが、この日はブレイクタイムに救われた。FW小池直矢(3年)は「最初は相手のペースで進んで、みんなが慌てたり、イライラしたりしていた。クーリングブレイクで監督の指示を受けて、みんなで冷静に一つになって、自分たちのペースになったので、そこは良かった」と、その雰囲気を振り返った。
決勝で帝京と対戦、主将の徳永「山田監督を優勝させたい」
体だけでなく頭も冷やした前橋育英が冷静にパスをつないで、じわりじわりと試合のペースを手繰り寄せたのは、このクーリングブレイクの後だった。完全にリズムをつかんだ後半は、シュート数5対2と押し込み、確かな地力を示した。後半途中には、大会直前に右膝の怪我を再発した日本高校選抜のMF根津元輝(3年)も交代出場。堅守を誇る米子北を崩しきれず、0-0のままPK戦に突入したが、直前に交代出場したGK大澤脩人(3年)がゴールマウスを守るなか、相手キッカー2人がクロスバーに当てて失敗。PK戦4-3で辛くも決勝行きの切符を手にした。
翌30日に徳島県の鳴門大塚スタジアムで行われる決勝戦では、帝京(東京)と対戦する。主将の徳永は「絶対に勝つ。PK戦で勝った後、少し緩んでいる雰囲気をミーティングや明日のウォーミングアップでしっかり引き締めて臨みたい。2回戦で対戦するはずだった磐田東(静岡)が(新型コロナウイルス陽性者が出たため辞退して)出られなかったので、その分も背負ってというところと、ここに来られていない選手もいるなかでチームを代表しているところがあるし、監督をテッペンまで連れて行きたい思いもある。山田監督を優勝させたい」と意気込みを語った。
勝てば初優勝を果たした2009年以来13年ぶり2度目のインターハイ制覇。最も重要なゲームで冷静に本領を発揮できるか、決戦に注目が集まる。(平野 貴也 / Takaya Hirano)