加地亮が選ぶ、J1おすすめの11人7月30日の第23節から再開されるJ1は、いよいよ終盤戦に入ってくる。各チームの順位が…

加地亮が選ぶ、J1おすすめの11人

7月30日の第23節から再開されるJ1は、いよいよ終盤戦に入ってくる。各チームの順位が決まっていく重要な局面のなかで、注目の選手は誰か。今回は解説者の加地亮氏に、今、見ておくべきおすすめの11人を紹介してもらった。

◆ ◆ ◆



鋭い反応で京都サンガF.C.のゴールを守る、上福元直人

ビッグセーブを連発

上福元直人(GK/京都サンガF.C.)

 サポーターの間でも「"神"福元」と呼ばれるくらい、今季はビッグセーブを連発しています。とくに至近距離での反応が抜群に素早いですよね。

 京都はここまで中位から下位あたりに位置していますが、失点数では上位に見劣りしません。その大きな要因の一つに上福元選手のセービング力があると思っています。

 セービング力だけでなく、足元の技術にも長けています。片野坂知宏監督が率いていた大分トリニータ時代から高いスキルを持っていると感じていて、本人としても自信を持っているところでしょう。

 京都のスタイルは、GKが最終ライン裏のスペースを広くカバーする必要があります。カバーした時に単純に大きくクリアするだけではなく、上福元選手の足元のうまさがあれば、そこからボールをつなぐことができるので、展開は大きく変わります。

 似たスタイルでは横浜F・マリノスの高丘陽平選手が挙げられますが、セービング力などを含めトータルで見て、今うしろにいて一番安心感があるのは上福元選手だと思います。

山根視来(DF/川崎フロンターレ)

 日本代表でも活躍する山根選手は、攻守に渡って今一番クオリティの高いサイドバック(SB)だと思っています。

 とくに際立つのが攻撃能力です。ゴールも奪えるし、アシストもできる。ビルドアップの起点にもなれるパス能力は、JリーグのSBのなかで一番レベルが高い。

 最近は似たタイプのSBが増えていますが、山根選手は全体とのコンビネーションも秀でています。味方をよく見て、上がっていくタイミングや相手との駆け引き、ラインの駆け引きなど、状況判断の的確さは本当にすばらしいですね。

チームに欠かせない存在

谷口彰悟(DF/川崎フロンターレ)

 谷口選手も海外組の選手がほとんどを占める日本代表のなかで、国内組から継続して呼ばれているひとりですね。

 それくらい彼の高さ、強さ、カバーリング能力、危機察知能力、統率力はすばらしく、キャプテンシーなどトータルで見て、Jリーグでもっとも安定感のあるセンターバック(CB)だと思っています。谷口選手がうしろでどっしり構えてくれていると、チームとしてはありがたいなと感じるでしょう。

 守備面だけでなく、ビルドアップ能力も非常に長けている選手です。どこにつないで、どこに立ち位置を取ればいいのかという判断が的確。川崎のスタイルとして、CBのビルドアップ能力が高くなければ攻撃のスイッチが入らないので、そういった意味でも谷口選手は欠かせない存在です。

佐々木翔(DF/サンフレッチェ広島)

 もう1つのCB枠にはたくさん候補がいたのですが、そのなかでも佐々木選手を選んだ理由は、絶対的な対人能力の高さです。

 人に対して強く行けるだけではなく、スピードがあるので、裏に蹴られても安定して対応できる。この人に1対1を任せておけば絶対に勝ってくれるという信頼感を、チーム全体で持っていると思います。

 CBの右にはパスをさばく能力の高い塩谷司選手がいて、左に対人能力の高い佐々木選手がいる。この最終ラインのバランスが、今のサンフレッチェ広島の強さを支えています。

 日本代表に選ばれる理由には、その守備能力の高さに絶対的な信頼があって、非常に計算が立つこと。監督としては、たとえ先発で使わなくてもベンチに置いておきたい選手ですよね。

小池龍太(DF/横浜F・マリノス)

 小池選手は、相手からすると非常に厄介な存在だと思います。攻撃になれば神出鬼没で、中盤でつなぎ役として前線の速い選手を生かすことができるし、ボールの受け方、運び方のうまさは、もうSBではありません。

 左右どちらもこなせるうえに運動量も豊富で、1対1での粘り強さも備えている。小柄なんですけど空中戦も苦手としていないのは、競り合いのタイミングがいいからです。

 それからボールをロストする回数が非常に少ないのは、判断が正確である証拠です。小池選手をSBに置いておけば、チーム全体が機能する。そういう存在ですね。

 あと90分間通して崩れないハートの強さは、チームに安定感をもたらすうえでも非常に魅力的です。

すさまじい運動量

奥埜博亮(MF/セレッソ大阪)

 奥埜選手はとにかく運動量がすさまじい。走行距離のデータを見ても、突出したものがあります。

 その運動量をベースにした守備範囲の広さがずば抜けていて、ボール奪取能力も非常に高いものを持っていますし、危ないエリアには必ずと言っていいほど奥埜選手がいてくれます。

 最終ラインの選手が「そのコースを消してほしいな」と思うところを必ず消してくれるし、サイドをえぐられた時にペナルティーボックスやバイタルエリアにプレスバックで戻って、必ずマイナスのボールをはじき返せる位置にいてくれるんですよ。

 その圧倒的な守備範囲でボールを奪取したかと思えば、サイドにボールを展開して、次の瞬間にはもう相手ゴール前にいて点も奪えてしまう。攻守において貢献度が非常に高く、C大阪の躍進を支える中心的存在ですね。

野津田岳人(MF/サンフレッチェ広島)

 野津田選手がアンカーに入って、塩谷選手が最終ラインに下がったことで、広島はかなり変わりましたよね。

 ビルドアップでの野津田選手のサポートが非常に効いています。ボールを受けてから広角にも出せるし、シンプルに散らすパスも出せる。その安定したビルドアップ能力は重要な存在になっています。

 それに加えて運動量もトップクラス。アンカーでボールをさばきながら前へ出ていって、パンチ力抜群のシュートで点も取れるし、アシストもできる。あれだけうしろで仕事をしながら前線にも絡んでいけるのは、本当にすごいと思います。

 守備においても体の強さがあって、相手と競った時にまず負けない。きっちりと奪いきれる対人能力の高さがあって、それを90分間維持できるというのは非常に魅力ですよね。

満田誠(MF/サンフレッチェ広島)

 ルーキーイヤーでここまで5得点5アシスト、その数字を見ただけでも驚異的な成績を残していますよね。負けん気の強さとフィジカル、若さゆえの豊富な運動量は魅力で、攻撃面だけではなく、守備能力の高さも、今の広島でレギュラーをつかんでいる要因だと思います。

 広島がボールを保持している時、満田選手は前線から非常にいい顔出しをしてくれるんですよね。相手がマークにつきづらいタイミングで相手の嫌なスペースに入って、後方から巧みにボールを引き出して起点になれる。カウンターでも相手の隙を狙って素早く動き出せます。

 狭いスペースで受けるのも得意なので、相手が引いて守る展開でも守備ブロックにズレを生じさせることができます。テクニックだけではなくて、味方を生かし、生かされる質の高い動きが伴うことで、これだけゴール数やアシスト数が記録できているのだと思います。

好調チームを引っ張る存在

小屋松知哉(MF/柏レイソル)

 小屋松選手は満田選手と似たタイプですね。今季は柏レイソルに移籍して、インサイドハーフにもなれるし、2トップに入ることもできます。

 前線でボールを受けてからつなぎ役にもなれるし、ラストパスも出せるし、もちろん点を取ることもできる。僕のなかではボールの持ち方や隠し方なんかを見ていると、ちょっとアンドレス・イニエスタ選手(ヴィッセル神戸)っぽいなと思うこともありますね。

 また、マテウス・サヴィオ選手とタイプが違うなかで、彼のよさを引き出しながら自分のよさも発揮する、そのバランス感覚も非常に優れています。

 小屋松選手が中間ポジションでボールを受けて、前線で運んだり、起点を作ったりとさまざまな役割をこなしていることで、今のレイソルの好調は支えられていると思います。

鈴木優磨(FW/鹿島アントラーズ)

 鈴木選手は前線で収める技術、ボックス内での駆け引き、決定力、FWとしての技術はどれを取ってもJトップクラスで、数字を見ても7ゴール8アシストと文句のつけようがない結果を残しています。

 ただ、その数字以上に、メンタル的にチームを引っ張るリーダーとしての貢献度のほうが高いと思っています。

 彼の「もう一度強い鹿島を復活させるんだ」という強い想い、魂がプレーに表れていて、チームへの献身性はものすごいですよね。それがあって数字もついてきているので、見習うべき存在です。

 その熱すぎる想いが悪童っぽいところにも出てしまう時もありますが、僕はそれくらいでいいと思います。彼が作るピリッとした空気は、チームを引き締めるのに必要なんですよね。チームを牽引する力、影響力の高さは、他クラブのどの選手と比べてもJでもっとも高いです。

 前線でいいコンビを組んでいた上田綺世(セルクル・ブルージュ)が海外へ移籍したことで、鈴木選手への負担は大きくなると思いますが、シーズン後半の活躍も非常に楽しみな選手です。

レオ・セアラ(FW/横浜F・マリノス)

 レオ・セアラ選手は、今もっとも怖さのあるストライカーですね。あまり動かず、中央にどっしりと構えてくれているだけでいい。そこへクロスが入りさえすれば、彼がなんとかしてくれるというくらいのすごみがあります。

 ボックス内でボールを収める技術や駆け引き、落ち着きは、JのFWのなかで一番高い選手だと思います。その上で体の強さもあるので、中央でDFと競り合っても負けないし、それを生かした駆け引き、勝負ができる。

 さらにフィニッシュの技術やフィジカルだけでなく、ポジショニングや準備のよさがあって、ストライカーとして非常に厚みのある選手です。

 それが、水沼宏太選手からのいいクロスを確実に決められる理由でしょう。後半戦でどれだけゴール数を伸ばすのか注目しています。

<加地亮氏が「とても悩んだ!」その他のベストイレブン候補>

岩田智輝(DF/横浜F・マリノス)
樋口雄太(MF/鹿島アントラーズ)
橘田健人(MF/川崎フロンターレ)
藤井智也(MF/サンフレッチェ広島)
前寛之(MF/アビスパ福岡)
田中聡(MF/湘南ベルマーレ)
高嶺朋樹(MF/北海道コンサドーレ札幌)
山岸祐也(FW/アビスパ福岡)