1次予選は8月3日~、最終合格者は11月4日に決定 国内女子ゴルフツアーが活況を呈する中、今年も8月からプロテストが実施される。合格率3%台の超難関。何度も跳ね返されている選手が数多くいるが、5度目の受験となる四村彩也香(しむら・さやか)は…

1次予選は8月3日~、最終合格者は11月4日に決定

 国内女子ゴルフツアーが活況を呈する中、今年も8月からプロテストが実施される。合格率3%台の超難関。何度も跳ね返されている選手が数多くいるが、5度目の受験となる四村彩也香(しむら・さやか)は、「今回が最後」と決めている。6歳からゴルフを始め、ツアープロを目指してきた。過去4度は壁に阻まれたが、今回は新コーチ、新トレーナーからの指導も力に全てを懸ける。22歳の覚悟を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

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 四村は自ら退路を断った。7月17日放送のBS日テレ「ゴルフの翼 NEXT SATGE」に出演し、終了間際に「次(のテストが)最後と決めています」と宣言した。反響は想定外に大きかったという。

「いろんな方から『あんなことを宣言していいの』と言われました。母親も『もう、やめちゃうの?』と言っていました。私は(番組で)次で受かって、ツアーで活躍したいとも言っているので、『やめちゃうの?』はないでしょと思いました(笑)」

 まだ22歳。25歳以上のテスト受験者も珍しくない中、「これで最後と決めるのはもったいない」の声も届いたという。だが、四村には信念があった。

「前から22歳までと決めていました。大学に進学していたら、ちょうど卒業の年です。ゴルフが好きでここまで続けてきましたが、高校卒業をしてスポンサーさんにお世話になる時も、そのように説明をさせていただいたので」

 四村は父親の影響で小1の6歳からクラブを握った。通っていた小学校の近くにあるゴルフスクールで指導を受け、同じ地域で育った小祝さくら、山田彩歩、内田ことこ、阿部未悠らと腕を競い合った。

「プロを目指すことが当然の環境で、みんなで大会に出ていました。高校までは勝ったり、負けたりでしたね。ただ、さく(小祝)だけが抜けた存在でした」

 1学年上で“黄金世代”の小祝は、高校卒業後の2017年度テストで一発合格を果たした。そして、コロナ禍の影響で昨春に延長実施された20年度テストでは、同じく1学年上の山田が4度目で合格。1学年下で“プラチナ世代”の阿部も2度目で、3学年下の内田は一発合格となった。対して四村は、高校卒業後から挑戦を始め、18年度、19年度のテストは1次予選不通過。20年度テストは2次予選不通過、昨秋に実施の21年度テストは2次予選第3日に右手親指痛で棄権した。

「他にも同じスクール生だった選手で未合格者はいますが、正直、取り残された感じはあります。特に年下の選手が受かってからは焦りもあります」

 昨年からは、北海道を離れて茨城県内で一人暮らしを始めた。冬も存分に練習ができる環境を求めてのことだった。

「地元の先輩からPGM石岡GCを紹介していただきました。それと、関東だと試合の機会が多いというメリットがあります。テストで力を発揮するには、緊張感のある試合に出ることが大事なので」

茨城に移住、試合機会と練習環境を求めて一人暮らしも

 言葉通り、四村はツアープロを目指す選手を支援する団体DSPEの月例競技会など、数々の試合に出場。昨年11月のテストを終えた後には、服部道子らの指導歴がある植村啓太コーチ、渋野日向子の指導で知られる斎藤大介トレーナーに師事し、都内にも定期的に通っている。全ては目標を達成するためだ。

「いろんな面でお金はかけていますが、プロテストに合格してツアーで活躍するために、何でもやろうという思いです。植村さんのお陰でアイアンショットの精度が上がり、パーオン率が高くなりました。また、斎藤さんからいただいたメニューは瞬発系が多めですが、トレーニングの後にスイングすると、アドレスでお尻に乗れる感覚が出てすごく振れるようになります」

 可能な限りの準備を整えて臨む22年度プロテスト。四村は、1次予選はA地区(8月3~5日、千葉・GC成田ハイツリー)で受験する。その後、2次予選はA地区(10月11~14日、茨城・静ヒルズCC)を予定。そして、最終プロテスト(11月1~4日、茨城・大洗GC)への出場を目指す。

「最終は20位以内で合格ですが、1次予選会から5位以内に入ることを目標にしています。この考え方は、彩歩(さほ)ちゃんに教わりました。私は厳しい設定の中でも耐えてしのぐタイプですが、最終の大洗GCはまさにそういうゴルフが合うと聞いています。とにかく合格することだけを考え、1日1日を大事にしていきます」

 プロテスト受験までは多額の費用がかかることも現実。活動費を両親に依存する未合格者も少なくないが、四村は「高校を出てからは両親に甘えず、独り立ちしてやっています」と明かした。そして、スポンサーとの契約料を主な資金にしてきた。ただ、結果を残さないとそれが続かないことも知っている。だからこそ決めた「22歳まで」。文字通り、四村は背水の陣でラストチャンスに全力を尽くす。

■四村彩也香(しむら・さやか)

 1999年(平11)10月28日、北海道・札幌市生まれ。北海学園札幌高卒。父親の影響で6歳からゴルフを始め、小祝さくらと同じゴルフスクールで腕を磨く。中3で出場した14年北海道ジュニア選手権4位。19年北海道女子アマ選手権2位。得意なクラブはドライバー。長所は「よく笑う」、短所は「ビビリぐせ」。他のスポーツ歴は、体操、テニス、ボクシング。スポンサーは、柏倉建設、藤井工務店、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン。家族は両親。153センチ、血液型A。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)