今季も奪三振能力の高さを証明しているのが、25日のオリックス戦でプロ野球タイ記録となる6試合連続2桁奪三振を達成した楽天・則本投手だ。■6戦連続2桁K、則本はどれだけ三振の数を積み上げるか――「81球で27奪三振よりも27球で試合を終わらせ…

今季も奪三振能力の高さを証明しているのが、25日のオリックス戦でプロ野球タイ記録となる6試合連続2桁奪三振を達成した楽天・則本投手だ。

■6戦連続2桁K、則本はどれだけ三振の数を積み上げるか――

「81球で27奪三振よりも27球で試合を終わらせる方がいい」。多くの投手がそう口にしてきたように、計27打者を1人1球ずつで打ち取り、試合を終わらせるのはピッチングの究極だろう。すべての打者を三振に仕留めて81球を費やすよりも、圧倒的に時間と負担がかからないからだ。ただ、実現度の点を考慮するとどうだろうか。いずれも達成困難……というより、一生をかけても拝めなさそうな投球であることに変わりはないが、わずかながら可能性が見出せるのは「81球」の方だ。「27球」は打者に投球を見送られた時点で可能性がついえるため、投手個人の力量が図抜けているだけでは実現できない。対して「81球」は、投手と相手打線の実力に大きな隔たりがあれば、考えられなくはない偉業ではある。

 今季も奪三振能力の高さを証明しているのが、25日のオリックス戦でプロ野球タイ記録となる6試合連続2桁奪三振を達成した楽天・則本投手だ。

 4月19日こそ白星を逃したが、以降の5先発では5連勝を飾り、首位を走るチームの原動力となっている。昨季まで3年連続で奪三振王に輝いている則本は今季の78奪三振もリーグトップで、4年連続同タイトル獲得となれば史上4人目の快挙だ。このハイペースで三振を奪い続ければ、21世紀のシーズン最多記録更新も夢ではない。ここでは、2000年以降のシーズン奪三振記録トップ20をマークした選手とその成績を紹介する。(※●はリーグ最多)

■2000年以降のシーズン奪三振数トップ20は…

1位●276奪三振 ダルビッシュ有(11年日本ハム)18勝6敗、232回、防御率1.44
2位 241奪三振 田中将大(11年楽天)19勝5敗、226.1回、防御率1.27
3位●226奪三振 松坂大輔(05年西武)14勝13敗、215回、防御率2.30
4位●222奪三振 ダルビッシュ有(10年日本ハム)、12勝8敗、202回、防御率1.78
5位 218奪三振 杉内俊哉(10年ソフトバンク)16勝7敗、182.2回、防御率3.55
5位 218奪三振 杉内俊哉(05年ソフトバンク)18勝4敗、196.2回、防御率2.11
7位●216奪三振 則本昂大(16年楽天)11勝11敗、195回、防御率2.91
8位●215奪三振 則本昂大(15年楽天)10勝11敗、194.2回、防御率2.91
8位●215奪三振 松坂大輔(03年西武)16勝7敗、194回、防御率2.83
10位●214奪三振 松坂大輔(01年西武)15勝15敗、240.1回、防御率3.60
11位●213奪三振 杉内俊哉(08年ソフトバンク)10勝8敗、196回、防御率2.66
12位●210奪三振 ダルビッシュ有(07年日本ハム)15勝5敗、207.2回、防御率1.82
13位 208奪三振 ダルビッシュ有(08年日本ハム)16勝4敗、200.2回 防御率1.88
14位●205奪三振 斉藤和巳(06年ソフトバンク)18勝5敗、201回、防御率1.75
15位●204奪三振 則本昂大(14年楽天)14勝10敗、202.2回、防御率3.02
15位●204奪三振 杉内俊哉(09年ソフトバンク)15勝5敗、191回、防御率2.36
17位●200奪三振 金子千尋(13年オリックス)15勝8敗、223.1回、防御率2.02
17位 200奪三振 松坂大輔(06年西武)17勝5敗、186.1回、防御率2.13
19位 199奪三振 金子千尋(14年オリックス)16勝5敗、191回、防御率1.98
19位 199奪三振 涌井秀章(09年西武)16勝6敗、211.2回、防御率2.30

■2013年以降、奪三振率が毎年向上する則本、ダルビッシュ超えも―

 則本はプロ入りした2013年以降に奪三振率を7.09→9.08→9.96→9.97と毎年増加させ、今季もここまでキャリア最高の12.10を記録している。2000年以降でシーズン最多の276奪三振を記録した2011年のダルビッシュは10.71だから、新記録更新も不可能ではないペースだ。ただし、それにはイニング数の増加も必要になってくるだろう。

 また、則本が過去3シーズンと同様に投球回を上回る三振を奪えば、プロ野球史上最長タイの4年連続で奪三振率9以上をマークすることになる。江夏(1968-1971年・阪神)や6試合連続2桁奪三振記録の保持者でもある野茂(1990-1993年・近鉄)、杉内(2008-2011年・ソフトバンク)と肩を並べられるかにも注目したい。

 このように、今季は則本の代名詞となっている奪三振にまつわる話題は事欠かない。冒頭で述べた「81球で27奪三振」もあるいは――。そう思わせるほどの快投を、則本は披露し続けている。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」藤原彬