「パ・リーグ インサイト」学生スタッフが都市対抗野球の開幕カードを観戦 今年のパ・リーグは日本ハム・上川畑大悟内野手やソ…
「パ・リーグ インサイト」学生スタッフが都市対抗野球の開幕カードを観戦
今年のパ・リーグは日本ハム・上川畑大悟内野手やソフトバンク・野村勇内野手ら社会人出身ルーキーが奮闘している。2人も活躍した「都市対抗野球大会」が今年3年ぶりに夏に開催。7月18日に東京ドームで開幕し、熱戦が繰り広げられている。都市対抗野球大会は“アマチュア野球最高峰”とも言われる大会の一つで、332チームが参加した地区予選を突破した32チームが頂点を目指して戦っている。
特徴は「補強選手制度」で、同地区内で予選敗退したチームから最大3選手をレンタルできる。今大会では元オリックスの三菱重工East・武田健吾外野手がENEOS、元千葉ロッテの全府中野球倶楽部・永野将司投手がJR東日本の補強選手として出場している。パ・リーグファンも必見の「第93回 都市対抗野球大会」をパ・リーグインサイト編集部の学生スタッフが観戦。開幕カードの東京ガス(東京都)対JR東海(名古屋市)の観戦レポートの他、現在社会人野球チームの指導者として活躍している2人のパ・リーグOBに話を聞いた。
JABAオンラインと東京ドーム窓口で購入できるチケットはバックネット裏の特別席券やエキサイトシート、グループ席など様々。バルコニー席(約2000円)は場内全体を見渡せ、外野指定席は1000円以下とお手頃だ。試合開始30分前に入場すると、グラウンドでは開会式が行われていた。前年度に優勝した東京ガスの主将・笹川晃平外野手が、黒獅子旗を返還した後に選手宣誓。場内のボルテージもだんだん高まっていった。
プロ野球とは違い、内野席に設置されているステージからは応援団による力強い声援が聞こえてくる。選手紹介のアナウンスを背に東京ガスの選手たちが守備位置へ。大型ビジョンには選手一人ひとりの名前と顔写真が大きく映し出された。この演出は都市対抗野球大会では今年が初めてだ。
応援団の迫力に圧倒、魅力的な大会グッズも
午前10時、いよいよプレーボール。東京ガス・益田武尚投手、JR東海・戸田公星投手の両先発が初回から快投を見せる。応援団の迫力も増し、圧倒される。ブラスバンドの軽快な演奏にキュートなチアリーダーのパフォーマンス。各企業や地域ならではの応援とスタンドの一体感も都市対抗野球大会の魅力だ。
試合は両軍一歩も譲らず5回表終了時点で0-0。「すごく締まった試合だね。延長戦ってあるのかな?」「タイ・ブレークがあるみたい」と話していると、5回裏に東京ガスの7番・相馬優人内野手が先制アーチ。東京ドームは今日イチの盛り上がりとなった。試合の行方を気にしつつ、グッズもチェック。場内では第93回大会限定のTシャツ(税込4400円)や出場チーム名入り応援タオル(税込1650円)などが販売。注目のグッズは「社会人野球 選手カード(プレイヤーカード)」(1パック、税込550円)。カードはランダムで5枚セットになっていて、90選手がラインナップ。野球好きの仲間と分け合うのもオススメだ。
「選手カード開封の儀」に熱くなっていると、試合も熱い展開に。両チームともに好守の連発で1-0のまま終盤へ突入すると、8回裏に東京ガスが代打・建部賢登外野手のタイムリーなどで3点を追加。投げては益田投手が9回も無失点に抑え、大舞台の初戦で完封を飾った。試合後にもエール交換が行われ、第1試合は終了。「さすがアマチュア最高峰。1試合目から痺れる展開だったね」と余韻に浸った我々は東京ドーム内にある野球殿堂博物館へ向かった。
優勝したチームに贈られる黒獅子旗の1代目と2代目、前年度優勝の東京ガスのユニホームの他、橋戸賞・久慈賞のトロフィーも展示。2011年にがれきの中から発見された日本製紙石巻の青獅子旗は復興の象徴として紹介されている。現在は都市対抗野球大会の当日入場券を提示すると入館料が割引に。白熱した試合を楽しんだ後は、野球の歴史を学ぼう。
日本製鉄かずさマジックの渡辺俊介監督らが明かす都市対抗の魅力
今大会にパ・リーグOBが指導者として出場。日本製鉄かずさマジックの渡辺俊介監督(元ロッテ)と、東芝の新垣勇人投手コーチ(元日本ハム)に都市対抗野球大会について聞いた。
――社会人野球や都市対抗野球の魅力とは?
渡辺さん「都市を代表して(大会に出場して)いるので、応援のなかに地域のPRを兼ねているんですね。神輿とか獅子舞が有名な地域なら獅子舞の演舞があったりとか。地域性、地域の特色を出した応援を含めたスタイルがプロ野球とは一味違うのかなと思います。(かずさマジックの)応援は過去に賞をいただいたことがあり、自慢の応援団です」
新垣さん「会社であったり、会社の従業員であったり、地元の市の想いが都市対抗でぶつかる。さらに(同じ地区内の)負けたチームからも補強選手といって3人まで来てくれて、市を代表して戦うところが都市対抗野球のおもしろいところ」
――この秋のドラフト候補となりそうな選手は?
渡辺さん「(國學院)大学の後輩になるんですけど、東芝の吉村(貢司郎)投手。彼のストレートは本当に質が高くなってきて、プロでも十分通用するんじゃないかと思っています」
新垣さん「吉村貢司郎投手ですね。150キロを超えるストレートを投げられる。美馬学投手(ロッテ)のようなイメージ。注目されていると思うので、そのプレッシャーに負けずに頑張ってほしい」
――都市対抗野球を見たことがないパ・リーグファンにメッセージを
渡辺さん「都市対抗野球というのは大人が甲子園をやっているような大会。大人が高校球児のような想いで1試合1試合戦う姿が見られるのは、世界中でこの社会人野球だけだと思うんです。1試合、1球にかける想いがどのチームもプレーに出ていると思います」
新垣さん「たくさん笑って、たくさん涙を流す試合もあって、1試合に想いがぎゅーっと濃縮された試合を見ることができます。見たことがない方は東京ドームに足を運んで一度だまされたと思って見ていただきたいです」
トーナメントのドキドキ感にお祭りのような大応援。いつもはパ・リーグを見ている人も社会人野球は新鮮に感じることが多いはず。東京ドームで開催中の“大人の甲子園=都市対抗野球大会”は、野球好き必見です!(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)