7月23日、浦和レッズは埼スタでパリ・サンジェルマン(PSG)と相まみえた。ワールドクラスとの対戦で見えた課題とは。■…

 7月23日、浦和レッズは埼スタでパリ・サンジェルマン(PSG)と相まみえた。ワールドクラスとの対戦で見えた課題とは。

■クリーンなビルドアップは封じ込まれる

 リカルド・ロドリゲス監督がこの1年半で仕込んだ、配置の妙による静的なビルドアップは浦和の大きな武器だ。しかし、このPSG戦ではほとんど綺麗に前進させてもらえなかった。自陣深い位置でできた数的優位を高いインテンシティによるプレッシングで無効化され、GKとCB以外はフリーでボールをコントロールできない状況が続いていた。

 試合の強度を決めるのはボール非保持側だ。そのため、PSGがスピードを持って奪いに来れば浦和も素早いプレーを強制される展開になる。ただでさえJリーグはヨーロッパに加えてインテンシティが高くないうえ、ふだん縦に速く攻め込むことが少ない浦和にとっては、早い判断の下でのビルドアップには苦戦している印象を受けた。

 さらに、MNM(メッシ、エムバペ、ネイマール)が3トップに入った川崎フロンターレ戦とは違い、浦和戦ではキリアン・エムバペ、パブロ・サラビア、マウロ・イカルディが3トップに入っていた。この3人は守備をきっちり行うため、クリーンなビルドアップによる前進は2、3回ほどしか見られなかった。

 J1ではこれほどまで強度の高い守備を長時間行うチームはないが、試合のなかでスイッチを入れてハイインテンシティで奪いに来るチームはいくつもある。そのプレッシングをスムーズにかわせるかどうかは、浦和にとって課題となりそうだ。

■課題だけではなく、収穫も見つかる

 ただ、見つかったのは課題だけではない。

ミドルプレスを主体としていた川崎とは異なり、浦和は思い切ってハイプレスを敢行。選択肢を限定しつつ人をつかまえて自由なビルドアップを防いでいた。実際、敵陣で奪ってから数回チャンスを迎えており、それを決めていればまた違った展開になった可能性もある。

 何度か陣形をひっくり返されて致命的なシーンを迎えたが、このレベルの相手なのでそれは仕方ないだろう。最初の45分間、狙い通りの形から得点を許さなかったことは大きな収穫だ。

 それでも、実際にピッチで戦った選手は力量不足を感じている。

「こうやって負けて、みんながすがすがしい思いでいるということはまだまだ大きな差があるということ」とは、試合後の酒井宏樹のコメント。かつてマルセイユにてPSGと何度か戦った日本代表DFの言葉には、説得力が十二分にある。

 浦和は世界最高峰のクラブとの試合で感じた「差」をどこまで縮められるのか。また、新たに見つかった課題をどこまで改善できるか。その答えの第一段階が見られるのは、7月30日に行われるJ1第23節になるだろう。この試合では、同じくPSGに敗れた川崎と相まみえることになっている。

 残り1週間でチームの完成度を高めて、赤い悪魔はJ1王者を食いにかかる。

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