1982年にプロ入りしてから、巨人の捕手として20年プレーし、その後は15年間にわたりコーチとしてチームを支えてきた村…

 1982年にプロ入りしてから、巨人の捕手として20年プレーし、その後は15年間にわたりコーチとしてチームを支えてきた村田真一氏。7月15日配信の記事では、「これぞエースと唸ったライバル球団の5人」を挙げてもらったが、今回は「バッテリーを組みたい現役投手5人」について語ってもらった。はたして村田氏は、誰のどんなボールに興味を持っているのだろうか。



これまで沢村賞に2度輝いた巨人の菅野智之

菅野智之(巨人)

 最初に頭に浮かんだのは、菅野智之投手です。菅野投手は、私が一軍打撃コーチをしていた2013年に入団以来、最多勝3回、最優秀防御率4回のタイトルを獲得し、日本代表のエースとしても活躍しました。

 菅野投手の武器は、150キロを超すストレートと、スライダーを中心とした多彩な変化球。しかもどの球種も絶妙なコントロールを誇り、構えたところに寸分の狂いもなく投げ込んでくる。これほどリードしていて、楽しいピッチャーはいないと思います。

 とはいえ、ここ1、2年は苦しんでいます。ここまで(7月19日現在)6勝5敗、防御率3.56と、ものすごく悪いわけではありませんが、それでも周囲が納得しないのは、菅野が超一流だからです。

 とはいえ、今年33歳を迎えるシーズン。どんな投手でも本格派から技巧派に投球スタイルを見直す時期です。単純に菅野投手の球を受けてみたいと同時に、捕手として投手のよさを引き出したいという思いもあります。いま以上に低めの両サイドに投げ分けさせるリードをしたいですね。

佐々木朗希(ロッテ)

 好投手の多いパ・リーグで最初に名前を挙げるとすれば、今年4月に完全試合を達成した佐々木朗希投手です。完全試合は1994年の槙原寛己以来で、じつはその時の捕手が私でした。槙原も入団当初は常時150キロをマークするなど、球界でも指折りの速球派で、まさしく佐々木投手のような存在でした。

 そんな槙原も160キロに到達したことはなかった。だから、一度でいいから「160キロ」がどんなものなのか、体感してみたいですね。ストレートのほかにも、佐々木投手は140キロ台後半のフォーク、スライダーがあって、縦に大きく割れるカーブもある。バッターにしてみれば、何を待てばいいのか......迷うでしょうね。

 とはいえ、受ける捕手とすれば、やはりストレート中心の配球になると思います。佐々木投手のストレートはベース付近でも加速してくるようなイメージがあり、バットに当てるだけでも困難なボールです。空振り、ファウルで打者を追い込んで、少しでも優位な状況で勝負したいですね。

山本由伸(オリックス)

 誰がなんと言おうと、現役No. 1投手は山本由伸投手です。昨年は最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振、最多完封と「投手五冠」を達成しましたが、これはNPB史上8人目のことだそうです。それだけでも、山本投手が球史に残るピッチャーであるということがわかります。

 150キロを超すストレート、フォーク、カットボール、スライダー、シュート、カーブ......すべての球種をカウント球にも勝負球にも使える。制球力も安定していて、おまけにタフ。プロのなかでも抜けた存在だと思います。

 これだけのボールを自由自在に操るのですから、リードするキャッチャーは楽しい反面、難しさもあるはず。僕なら、その日一番いいボールを軸に組み立てていくと思うのですが、それでも迷いが出てくるかもしれません。ただ山本投手はストレートも速くて強いですから、あくまで基本はストレートになるでしょうね。

千賀滉大(ソフトバンク)

 球種的に受けてみたいのが、千賀滉大投手の"お化けフォーク"です。千賀投手のフォークはストレートの軌道から鋭角に落ちる。しかも、カウントをとるフォークと、空振りをとるフォークの2種類を使い分けているように見えます。

 山本由伸投手より球種は多くありませんが、千賀投手のフォークはわかっていても打つのが難しいボール。空振りを奪えるボールがあるのは、投手にとって最大の強みです。バッターとしても追い込まれるとフォークがあるので、それまでに勝負したい。そうなれば球数も減り、千賀投手の思うツボになるわけです。

 フォークと160キロを超すストレートを武器に、2019年は227個で最多奪三振のタイトルを獲得しました。三振を多く奪えるのは、好投手の証ですからね。正直、しっかり捕球できるか不安しかありませんが、球界最高峰のフォークをこの目でじっくり見てみたかったですね。

宮城大弥(オリックス)

 佐々木朗希投手のほかに、若手で興味があるのが宮城大弥投手です。プロ2年目の昨シーズン、13勝をマークしてパ・リーグ新人王に選ばれるなど、飛躍の1年になりました。

 宮城投手のストレートは145キロぐらいと、驚くほど速くはありませんが、125キロのスライダー、115キロのチェンジアップ、105キロのカーブと、緩急を駆使して投げ込む "技巧派"のタイプです。

 速球派のボールを受けるのも楽しいですが、宮城投手のような技巧派とバッテリーを組み、配球を考えながらリードするのもまた違った楽しみがあります。とくに球界を代表するスラッガーとの対決はしびれるでしょうね。