「もったいない……かな」――今シーズンを振り返った大迫勇也の口から真っ先に出てきたのはそんな…
「もったいない……かな」――今シーズンを振り返った大迫勇也の口から真っ先に出てきたのはそんな言葉だった。
今季、ブンデスで7ゴール8アシストと結果を残した大迫勇也(ケルン) 今季の大迫はブンデスリーガ30試合に出場し、7ゴール8アシストを記録。ケルンでの初年度となった一昨季の28試合3ゴール4アシスト、苦しんだ昨季の25試合1ゴール1アシストを大きく上回り、ドイツでの自身最高の成績を残してみせた。
リーグ開幕戦こそベンチスタートだったものの、第2節で先発入りすると、第3節でアシストをマーク。続く2試合で連続ゴールを奪って9月のクラブ月間MVPに輝いた。
この活躍が認められて、11月には1年5カ月ぶりに代表復帰を果たす。親善試合オマーン戦でいきなり2ゴールを決めると、さらにW杯アジア最終予選サウジアラビア戦でもブンデスの屈強なDFとの競り合いで身につけた抜群のキープ力を発揮して、勝利に大きく貢献した。
後半戦に入ってもゴールとアシストを重ねていた大迫だったが、3月のW杯予選UAE戦で左ひざを痛めて、リーグ戦を2試合欠場することに。復帰後も扁桃炎を患うなど、シーズン終盤は思うようにプレーすることができなかった。
「やっぱり代表でのケガがもったいなかったなと。最後の5、6試合、ケガもあったし、扁桃炎もあってコンディションが整わず、やっと調子が戻ってきたって感じで終わってしまったから。もったいなかったですね。もうちょっと……ゴールも8点くらいはほしかったですね」
プレーさえできていれば、さらに結果を積み上げることができる自信があっただけに、大迫にも悔いがあるのだろう。
ただ、シーズンを通してみれば、大きな飛躍を遂げたことに疑いはない。それは大迫が残した結果だけでなく、チームにおける存在感からも明らかだ。今季の中盤以降、もはや大迫はペーター・シュテーガー監督にとって外せない選手になっていた。
3月のUAE戦で大迫が負傷した際、クラブは「少なくとも3試合に欠場する」と発表していた。しかし、実際は2試合欠場しただけでメンバー入りし、そのボルシアMG戦では後半から緊急出場した。早く復帰したいという大迫の想いももちろんあったが、シュテーガー監督の強い要望があったことは間違いない。
シュテーガー監督にとって、大迫はチームの足りない部分を補う重要なピースだった。
ケルンは一時期、ケガ人が続出し、中盤が完全に人手不足になった。シュテーガー監督は大迫がFW起用を望んでいることを知っていたが、チーム事情を考えると、幅広い役割を担える大迫をトップ下で起用せざるを得なかった。
時にはボランチとしてプレーすることもあった。2月に行なわれたドイツ杯3回戦ハンブルガーSV戦のことだ。大迫はFWとして先発したものの、ボランチの選手が負傷。ベンチにはボランチを本職とする選手がいたが、シュテーガー監督はそのキープ力と展開力を買って、スクランブルで大迫をボランチに回した。「ケガ人が多かったから仕方ない」と大迫は繰り返したが、シュテーガー監督が大迫をチームにとって欠かせない存在と見なしている何よりの証拠だった。
チームメイトも大迫の実力を完全に認めていた。そのハンブルガー戦では、大迫のパスに味方の選手が反応できないシーンが何度も見られた。そのたびに大迫は苛立ちを隠さない大きなジェスチャーで味方を叱咤していた。
決して口数の多くない大迫だが、プレーに関してチームメイトに要求をすることはこれまでに何度もあった。だが、あれほど感情を爆発させてチームメイトに要求を突きつけるシーンは見たことがなかった。
自己主張の強い欧州の選手たちである。言い返したりしても不思議はないのだが、大迫のパスに反応していれば大きなチャンスになっていたことは明らか。大迫に叱責を受けたチームメイトはただ頷くしかなかった。
ケルンでの3シーズン目を終え、いよいよ来季はロシアW杯を控えた重要な1年になる。前回ブラジルW杯の半年前、大迫は「W杯に出るためには自分はこのままじゃダメだ」という決意を胸に、ドイツ2部への挑戦を決めた。大迫はW杯までの1年で何を求めていくのだろうか。
「やっぱり目に見える結果ですよね。毎年ゴール数も増やさないといけないと思うし、来年は今年以上の成績を残すようにしないといけない。ケルンでしっかりと結果を残すことができれば成長できていると思うし、前回ほど、環境を変えたい願望はないかな。徐々にですけど、ここで成長できている実感はありますし、移籍するにしても、まずはもっとインパクトを残す数字を出さないと。まだ自分の中でそこに全然達していないから、これじゃ移籍はあまりできないかなって」
4年前のように、何かを劇的に変えなければならないという焦りはない。ドイツで揉まれ、日々、よりよいパフォーマンスを求めることで成長できている実感もある。
そんな大迫は、ケルンでさらに成長する大きなチャンスを手にした。リーグ最終節で5位に滑り込んだケルンは、来季のヨーロッパリーグ本戦出場を決めた。クラブにとっては25年ぶりとなる欧州カップ戦出場。2部から這い上がり、力をつけてきたチームにとって、ひとつのマイルストーンとなる。
ドイツ国内には「堅い」と大迫が表現するブンデスのクラブとの試合しかない。サッカーのスタイルも大きく異なる他国のチームと戦うことは、大迫を大きく成長させるはずだ。「ドイツのサッカーに慣れた」ことが好調の要因のひとつと説明する大迫が、未知の相手にどこまで通用するのか。そして戦いの中で何を改善していくのか。今から楽しみでならない。