波乱万丈の2016-2017シーズンが終わった。「昨季のリーグ覇者」として今シーズンを迎えたレスター・シティだった…
波乱万丈の2016-2017シーズンが終わった。「昨季のリーグ覇者」として今シーズンを迎えたレスター・シティだったが、シーズン序盤から下位に低迷した。ずるずると順位を下げていき、降格ゾーン手前の17位まで転落した2月下旬のタイミングでクラウディオ・ラニエリ監督を解任。アシスタントコーチのクレイグ・シェイクスピアを正指揮官に据えた。
最終節のボーンマス戦、岡崎慎司は出番なくベンチで終えた ここからレスターは、原点のプレッシングサッカーに立ち返って勢いを取り戻した。順調に勝ち点を積み上げ、残り3試合となったところで残留を決め、今シーズンを12位で終えた。
その一方で、初挑戦のチャンピオンズリーグ(CL)では準々決勝まで勝ち進んだ。低迷したリーグ戦とは対照的に躍進し、まるでジェットコースターのようにアップダウンの激しい1年を過ごすことになった。岡崎慎司も「(ラニエリ解任から)怒濤の2~3ヵ月だった」と振り返った。
そして、プレミアリーグ挑戦2年目の岡崎にとっても、起伏の激しいシーズンになった。
昨季は不動のレギュラーとしてピッチに立ち続けたが、夏の市場で獲得したFWイスラム・スリマニやFWアーメド・ムサの新戦力に押し出され、シーズン序盤はベンチ要員に成り下がった。CLグループリーグ初戦となったクラブ・ブルージュ戦(9月14日)ではまさかのメンバー外となり、スーツ姿でスタンドから観戦するという屈辱も味わった。試合後、岡崎にしては珍しく感情をむき出しにし、「昨季はずっと試合に出ていたし、あり得ないと言ったらあり得ない」と、まさかのメンバー外に不満をぶつける一幕もあった。
その先も、ベンチスタートと先発を繰り返す日々。ラニエリが解任される直前の1ヵ月に関して言えば、イタリア人指揮官の構想から完全に外れていたように映った。岡崎も、レスターも、あのときは出口の見えないトンネルに迷い込んでいた。
転機となったのは、指揮官の交代だ。レスターの原点であるプレッシングサッカーに舵を切ったシェイクスピア監督は、この戦術で中心的役割を担う岡崎を先発メンバーに復帰させた。ここからチームはリーグ戦5連勝。「勝利するために、まずは守備から入る」と意を決して試合に臨んでいた岡崎も、献身的な守備と中盤のつなぎで支える”黒子”に徹し、チームが復調する原動力になった。
しかし、一筋縄ではいかないのが、レスターでの岡崎だ。
アトレティコ・マドリードとのCL準決勝ホーム&アウェーの2試合、さらにトッテナム・ホットスパーとのリーグ戦を、「戦術変更により」前半の45分間だけで交代を命じられてしまう。チームが得点を必要としたときに真っ先に交代を命じられるという、FWにとっては受け入れがたい采配でピッチを後にした。
実は、昨シーズンも似たような起用法に悩まされ、レスターで絶対的な地位を築けなかったことを自身の課題として挙げていた。先発で起用されていたが、フル出場は3試合しかなく、戦術変更の犠牲となる形で途中交代することが多かった。つまり、紆余曲折あったものの、まわりまわって昨季の課題にふたたび直面することになったわけだ。
ベンチスタートで最後まで出番を与えられなかったプレミアリーグ最終節のボーンマス戦後、岡崎は次のように語り始めた。
「(自分が出場した試合で)負けたら、次の試合で交代させられるのがレスターのパターン。いつも自分はこうした危険ととなり合わせというか。(出番がないことは)いつでも起こりえると思っているので。
やっぱり、ゴールを決めきれなかったというのが、今シーズン一番できなかったこと。チャンスの数は少なかったけど、そのなかで僕が7~8点獲っていれば、また状況が変わっていたかもしれない。ただ、自分の言い分を言うと、点を獲ろうと思えば守備の細かい部分でプレーがおろそかになり、チームを助けられなくなってしまう。『ゴールを狙おう』と試合前に意気込んだ試合もあまりいいプレーができなかったし、チームもうまく機能しなかった」
最前線には、チームの絶対的存在で得点源のFWジェイミー・バーディーが控えている。たとえば、バーディーと一緒に岡崎が前線に残ってゴールをひたすら目指せば、チームの陣形バランスは必然的に悪くなる。守備陣に難を抱えるレスターであれば、なおさらのことだ。
かといって守備に重きを置いても、チームがリードされる展開になれば交代を命じられる。守備をこなしていれば、チャンスの数は当然少ない。でも守備を怠れば、チームが失点して途中交代の可能性が高まる。もちろん試合には出たいし、ゴールも決めたい。さまざまな考えが交錯し、そして悩み抜いたシーズンだった。
では、レスターで絶対的な存在になるためのカギはどこにあるのか。岡崎によれば、その答えは現時点で見つかっていないという。
「(答えが)見えていないので、今のプレーを続けるしかない。そこで点を獲っていくしかないと思う。『今の役割のなかで(掴んでいく)』というのが答えなんですけど、やっぱりそのためにはゴールのところで自分に期待してもらわないといけないし、僕もその期待に応えないといけない。ただ、(どうすればいいのか)いろいろと見えていない。自分ではこう分析しているけど、最終的には(答えが)見えていない」
今季のリーグ戦得点数は、昨季の5点よりも2つ少ない「3ゴール」。「チームの低迷」や「振り出しに戻った定位置争い」など外的要因に悩まされた事情はあったにせよ、ゴールの数は昨季を下回った。
さらに、気になる去就に関しては、「来季もレスターでプレー? 基本そうなる」とレスターに残留する考えであることを強調しながらも、「オファーがあれば、すべての選択肢を考えることになるのか?」という記者の問いに、「そもそもオファーはないが、選手としてはそれはそうですよね」と含みを持たせた。
レスターで絶対的地位を確立し、岡崎の目標であるふたケタゴールに到達するにはどうすればいいのか。あるいは、自分の持ち味を最大限まで生かしてくれるクラブに籍を移すのか──。プレミアリーグ挑戦2季目で見えた収穫と課題を胸に、自分がさらに成長するための「答え」を、オフの間も探していくことになりそうだ。