プロレスリングWAVEの象徴・レジーナ王者に君臨する野崎渚。7.17後楽園で、“波女”の称号を手にすべくプロミネンスの鈴季すずと対戦。7.3名古屋大会の試合後、野崎はレジーナのベルトを賭けることを提案した。本来、波女…

プロレスリングWAVEの象徴・レジーナ王者に君臨する野崎渚。7.17後楽園で、“波女”の称号を手にすべくプロミネンスの鈴季すずと対戦。7.3名古屋大会の試合後、野崎はレジーナのベルトを賭けることを提案した。本来、波女がレジーナに挑戦できる権利を得る。なぜ野崎は、そのような行動に出たのか。

<前編はこちら>

――CATCH THE WAVE 2022に賭ける野崎選手の思いが、いつも以上に強い気がします。少し遡って昨年のCATCH THE WAVE 2021から振り返って頂けますか。

野崎:昨年のCATCH THE WAVEの波女 高瀬みゆきが怪我でレジーナ戦を欠場。代わりに3位だった私と米山香織選手が挑戦者決定戦を行い、私がレジーナに挑戦することになりました。ただ波女になれなかった私が挑戦することでどれだけのファンの方が納得するのか。私自身の15周年イヤーも控えていた。「所詮、高瀬の代打」と言われないように自分をステップアップさせていかなければいけない。色々なことを考えました。

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そこでNEOの先輩 田村様から受け継いだ技「コブラクラッチ・スープレックス」を出すべきじゃないかと思いました。「本来ならレジーナには高瀬が挑戦するはずだったのにね」という声に負けたくない一心でしたね。

――かなりプレッシャーを感じていたんですね。

野崎:私はプレッシャーを感じたことがないです。ただそのような状況に負けたくないだけですね(笑)

――そうでしたか。昨年の野崎選手と今年の野崎選手の試合を比較すると、格段に今年の野崎選手が進化しているように感じます。

野崎:去年、2度目のレジーナ戴冠。さらに今年ディアナのW.W.W.D認定世界シングル王座を獲得したのが大きいと思います。二冠王者になったことで「もっと強く」という気持ちが湧き上がりましたね。

――二冠王者として2団体のシングル王者になるのは背負うものを違いますか?

野崎:違いますね。WAVEでもディアナでも「強さの象徴であり続けたいし、私がトップでいたい」。言葉にするのが難しいですが、私がディアナのベルトを巻いてトップにいるということは井上京子さんよりジャガー横田さんより上にいるわけです。それだけの責任を背負ってリングに立っている。周りから「えっ、野崎が二冠王なの?」と思われたくない。逆に「こんなにすごい人がチャンピオンなんだ」と思われたくて…結局、私は強くて凄いレスラーだと思われたいんですね(笑)。

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――それはレスラーとして当然のことですよ。僕は今年4月辺りの野崎選手の動きと昨年の動きを見比べて、漫画「ワンピース」に例えると野崎選手の戦闘スタイルのギアが「ギア2」「ギア3」と変化しているように感じました。

野崎:そこを目指しているので(笑)。今年に関していうと二冠王者になったことや、後楽園還暦祭のプロデューサーの早福さんが私と井上京子さんの試合を観たことがキッカケで女子の還暦祭も行われることになった。「頑張っていれば報われることがある」と思い、もっともっと上に行きたい気持ちが強くなりましたね。

――なるほど、責任感や周りの声が野崎選手をあと押ししてくれたのですね。そして高いモチベーションのままCATCH THE WAVE 2022がスタートしました。今回、野崎選手は蹴撃ブロック。同ブロックは中森華子選手・清水ひかり選手・SAKI選手。やはり中森選手との対戦を楽しみにしていたファンが多いと思います。

野崎:同期対決ですね。私はレジーナのチャンピオンでありながら6.1新木場で中森に敗れました。そのせいで決勝リーグ進出が、他の選手の結果次第になった。それがとにかく悔しかった。もちろん同期なので中森華子の強さは知っている。

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「決勝リーグは敗者復活か」と思った矢先、6.18千葉で中森が沙恵と引き分け、6.22新宿で私と中森のブロック1位決定戦が行われることになった。「これは神様からのプレゼント、絶対に勝たなければいけない。また負けて敗者復活から上がって、また中森がいたら負けるかもしれない。ここで私が勝って1位通過し、敗者復活から中森が上がってきて戦うのとは結果が変わる」と考えました。だから意地でも勝ちたかった。

 

――6.1で敗れた借りを6.22に返すことができた。

野崎:本当に良かったと思います。

――決勝リーグは7.1新宿でプロミネンスのリーダー格・世羅りさ選手とぶつかりましたね。

野崎:初戦でいきなり世羅(苦笑)。去年のキャッチは決勝がトーナメント戦でした。決勝戦で当たると予想していた高瀬みゆきと準決勝で対戦。お客さんは盛り上がります、でも内心はイヤですね。だって決勝で対戦したら面白いと思っていた2人のうちの1人が消えるわけですから(苦笑)。

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今回はリーグ戦で負けても終わるわけではないけど「初戦から世羅か、去年と似ているな…」と感じました。7.1新宿、お客さんの盛り上がりをリング上で感じて「よぅ〜し、やるぞ!」と頭を切り替えましたが…負けましたね。

――決勝リーグは3連戦、7.2大阪は米山香織選手でしたね。

野崎:蹴撃ブロックということもあり、今年のキャッチは蹴り技を中心に試合を組み立てていました。7.1世羅に負けたことで「私には何があるのか」を考えました。そこで出た答えが絞め技です。すぐに気持ちを切り替え、翌日の試合で米山さんが逃げられないように両手両足の動きを封じフォルダブルで勝ちました。なにがなんでも勝たなければいけない試合だったので。

――そして3連戦の最後がピアレスティーンズロードのタッグパートナー SAKI選手でした。

野崎:SAKIちゃんとは今年何度も対戦しているし、お互いの手の内も知り尽くしている。でも最終戦は是が非でも勝つ必要があった。今まで蹴って勝ったことはあるけど、締め落としたことはなかった。だから「前日(7.2)同様に絞め技を使えばチャンスがあるかも…」と思い、今まで使っていなかった絞め技 BLACK OUTを使いました。

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――なるほど。野崎選手の引き出しの多さを感じました。2ヶ月以上に及ぶCATCH THE WAVE 2022、最後に残ったのはプロエミネンスの鈴季すず選手です。なぜレジーナのベルトを賭けることにしたのですか?

野崎:すずは若くして勢いと実力を兼ね備えているレスラー。鈴季すずだからこそベルトを賭ける価値があると思ったからです。

私は7.3名古屋大会でSAKIちゃんに勝利しマイクで大会を締めました。リングアナが退場のアナウンスをしている時、「ちょっと待って」と。

すずとはタッグを組んだこともないし対戦したこともない。本当に初対戦なんです。「すずと波女をかけて試合をする」と決まった時、直感で「レジーナを賭ければ、さらに面白い試合になるんじゃないか?」と。

――7.17後楽園は「波女」を決めるだけで十分なはず。万が一、野崎選手が負けたとしても、鈴季すず選手は波女になりレジーナに挑戦する権利が与えられる。今回レジーナを賭ける必要があったのかと…野崎選手にとってリスクしかないじゃないですか。

野崎:あっ…全然考えてなかったです。勢いで言っちゃいました(笑)。でもここまで来たら勝てば良いだけ。
それに私は今年「波女」を取れなかったら終わりだと思っています。自分を追い込むために大事なベルトを賭けた気がしますね。
2019年にWAVEがReboot(リブート)してから波女になっていない。波女の称号だけを狙う戦いよりベルトという守るべきものを賭けた方が、自分自身強くなれると思ったんです。

――今年「野崎渚」は攻めてますね。

野崎:攻めてますね、自分を追い込んでるし。(少し考えて…)でもお客さんが盛り上がってくれたら、それで良いかな。

――最後に7.17後楽園ホール、鈴季すずとの対決に向けて意気込みをお願いします。

野崎:1度も肌を触れたこともないレスラーとベルトを賭けたことも波女を争うこともなかったので、本当に楽しみなんです。もしかしたら噛み合わないかもしれない…絶対にないと思いますけど。すずとは熱くて激しい試合ができると確信しているので、それを楽しみつつ波女の称号獲得と大切なベルトを守ってCATCH THE WAVE 2022を「これがWAVEだ、野崎様の決定」で締めたいと思います。

<インフォメーション>
7.17後楽園ホールにて女子プロレス界最大の大会『CATCH THE WAVE 2022決勝戦〜Regina di WAVE〜WAVE認定シングル選手権試合〜』<王者> 野崎渚vs<挑戦者>鈴季すずが行われます。
日時:7月17日(日)後楽園ホール大会 10:30開場/11:30開始
詳細はプロレスリングWAVEのWEBサイトをご覧ください。

今回、7.17後楽園大会プロレスリングWAVEペアチケット5組10名様にプレゼントします。詳しくは まるすぽ Twitterをご覧ください。

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取材・文・編集/大楽 聡詞
写真提供/プロレスリングWAVE