プロレスリングWAVEの象徴・レジーナ王者に君臨する野崎渚。7.17後楽園で、“波女”の称号を手にすべくプロミネンスの鈴季すずと対戦する。昨年野崎はプロレスデビュー15周年。その後リング上でさらに輝きを増した。彼女の…

プロレスリングWAVEの象徴・レジーナ王者に君臨する野崎渚。7.17後楽園で、“波女”の称号を手にすべくプロミネンスの鈴季すずと対戦する。昨年野崎はプロレスデビュー15周年。その後リング上でさらに輝きを増した。彼女の中で何が変化したのか?前編では野崎の生い立ちからWAVE選手の印象などをインタビュー。野崎の素顔に迫る。

――野崎選手は、小さい頃どんな子供でしたか?

野崎:私は4人姉妹の2番目、姉妹に上下関係がなく友達感覚。基本的におっとりした子供でしたね(笑)。親が「このままだと良くない」と思い、小学3年からバレーボールをやることになりました。それで運動神経が良くなりましたね。結果的にバレーボールは中学3年まで続けました。ただ中学3年の時にはプロレスをやると決めていたので、そこまで本気で取り組んでいませんでしたね(苦笑)。

――プロレスに興味を持ったキッカケを教えて下さい。

野崎:父がプロレス大好きで、小さい頃から家族で観戦していました。私がプロレスを観始めた頃、プロレスは格闘技ブームに押され気味。ただ私が真剣にプロレスを追っかけ始めたのは中学に入ってからです。

中学3年の時、その後自分が所属するNEO女子プロレスの大会が地元長野で開催されました。今まで色々な団体を見てきたけど、初めてリング上で戦う自分の姿が想像できた。

元々NEO女子プロレスは好きな団体。初めて生観戦できることで興奮していました。リング上で戦っている選手の中に自分の姿をイメージできたんです。それで大会の帰り道、父に「プロレスやりたい」と話しました。

――お父さんの反応はどうでしたか?

野崎:反対されませんでした。元々中学3年生までしっかり通えば、その後の進路は自分の好きなようにしていいと。ただ「自宅の近くにレスリングの強い高校があるので、高校3年間そこに通ってもいいのではないか?」と提案されましたね。でも自分的にはすぐにでもNEO女子プロレスに入団したかったので、中学在学中に履歴書を送りました。中学卒業1ヶ月前に入門テストを受け合格、中学を卒業した2日後に上京しNEOに入門しています。

――すごい行動力ですね。

野崎:若かったからですね(笑)。今は40歳でデビューする方もいますけど、若いからこそ出来る行動力もあるので。

NEOには2006年3月に入門、途中怪我もありデビューしたのが入門から8ヶ月後の11月でした。私が新人の頃はギリギリ「付き人制度」や昔ながらの上下関係もあったので正直シンどかった(苦笑)。

今は巡業で夜時間があったら楽しくご飯や飲みに行きますが、あの頃若手時代は試合後、先輩の洗濯がありました。だからコインランドリーを探して洗って干す。そして移動バスの掃除…とにかく雑用が多いのと自分自身怪我も多くて辛い思い出しかないですね。

――そうですか、辛い思い出は止めましょう(苦笑)。その後、怪我もあり一時期プロレスから離れていました。野崎さんをプロレスに引き戻してくれたのは何でしたか?

野崎:NEO時代の先輩である宮崎有妃さんの現役復帰です。この時期「このままでは良くない」とずっと考えていました。プロレスラーとしてデビューしたのならキチンと引退したいと。

SNSでプロレスと関係のないことを投稿しても「復帰を待っています」とコメントをくれる人がいる。「1人でも待っていてくれるファンがいるなら、その人のためにも…」という思いがあった。その矢先、宮崎さんが復帰した。「これはチャンスだ」って思いました。そこで宮崎さんに「キチンと引退をしたい」と相談しました。あの頃宮崎さんは飲食店に勤務しWAVE専属フリーランスとして日曜日限定でリングに上がっていたんです。それで私も同じように専属フリーでWAVEに参戦させてもらいました。

――プロレスを休んでいる間、心の変化があったのですね。ところでその宮崎さん達WAVEの皆さんが宅飲みをしている動画を拝見しました。WAVEの皆さんは仲が良いですよね。

野崎:それはきっと所属選手が少ないこともあると思います。宮崎さんと私は年齢が10歳以上離れています。でも宮崎さんはフランクに私に接してくれる。そのフランクさがみんなに伝わったからかもしれませんね。

――WAVE所属メンバーに対する野崎選手の印象を伺いたいのですが、まず桜花由美選手から教えて頂けますか?

野崎:私にとって桜花さんは「意外と抜けている人」かな(笑)。WAVEに所属する前は「しっかりしている」イメージでした。ただ所属して仕事の話をしている時、「大丈夫かな?」と感じることが時々ありますね。多分、社長業で色々なことを同時に考えているからだと思います。

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――そばにいるから分かることですね。GAMIさんはいかがでしょうか?

野崎:GAMIさんとはプロレスの話をすることが多いですね。事務所でも飲みに行った時でもプロレスの話しかしないかな。

 

私の試合にアドバイスもくれるし、他の団体のプロレスの話もします。2人でプヲタみたいな会話(笑)私は父の影響で小さい頃からプロレスを観ているし今でも他団体のプロレス観戦をします。その時、1番GAMIさんとプロレスの話をしますね。

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――NEO女子プロレスからの先輩である宮崎さんは?

野崎:15歳からお世話になっている先輩。ありとあらゆることを教えてくれた先輩です。プロレス以外、社会人としての常識とか学びました。あとプロレスラーとしての飲み方も教えて貰いました(笑)

――宮崎さんはかなりの量を飲みそうですね(苦笑)。旧姓・広田さくら選手はいかがでしょうか?

野崎:子供さんがいるのでプライベートでご飯や飲みに行くのは普段ないですけど、たまたまご一緒する時は本当に楽しいです。広田さんはリング上だけでなくプライベートでも楽しい人(笑)。

広田さんのレスラーとしての印象は「誰にも真似できないスタイルを持っている」。真似しようとすると、みんな大火傷をしてしまう。広田さんしかできないプロレスだと私は認識しています。

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狐伯が所属して1年経っていない。彼女自身、分からないことが多いと思います。だからこそ優しく教えるというか…分からないことを怒っても言われた方は分からないじゃないですか。だから理解してもらえる様に接します。リング上では手加減せず行きますけど(笑)。

――WAVEはいろいろなファイトスタイルの先輩方がいるし他団体の選手もリングに上がります。他の選手の良い部分を自分の中に取り入れることはありますか?

野崎:ありますね。特に宮崎さんのプロレスを結構取り入れています。宮崎さんの動きを真似しようとしても身体能力が高いレスラーなので真似はできないけど、試合運びやムーンサルトに行くまでの技の畳み掛けとか声の出し方。「この場面でこの声を出すだけでお客さんを惹きつけることができる」とか。もちろん宮崎さんだけでなく広田さんや桜花さんから学ぶことは多いですね。

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――レスラーには自分の中で緻密に考えて試合をするタイプと、ある程度相手の動きに合わせるタイプがいますが野崎選手はどちらのタイプでしょうか?

野崎:出たところ勝負はあまりないですね。例えば、「この絞め技を最終的にかける」と決めた場合、「この瞬間にこの技をかけて、相手が攻めてきたら、こうやって展開を作って締め技に持っていこう」と考えるタイプ。昔、相手を調子に乗せて一気に締めることをしていました。面白いくらいに引っ掛かるのが水波綾でした(笑)。ただ相手の技を受ける必要があるので身体的にかなりシンドいですけど(苦笑)。
<後編につづく>

<インフォメーション>
7.17後楽園ホールにて女子プロレス界最大の大会『CATCH THE WAVE 2022決勝戦〜Regina di WAVE〜WAVE認定シングル選手権試合〜』<王者> 野崎渚vs<挑戦者>鈴季すずが行われます。
日時:7月17日(日) 後楽園ホール大会 10:30開場/11:30開始
詳細はプロレスリングWAVEのWEBサイトをご覧ください。

今回、7.17後楽園大会プロレスリングWAVEペアチケット5組10名様にプレゼントします。詳しくは まるすぽ Twitterをご覧ください。
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取材・文・編集/大楽 聡詞
写真提供/プロレスリングWAVE