プロ野球において守備の華とも言える遊撃手のポジション。各チームの守備自慢が集うこのポジションで、No.1のディフェンス…

 プロ野球において守備の華とも言える遊撃手のポジション。各チームの守備自慢が集うこのポジションで、No.1のディフェンス力を誇る選手は誰なのか? 90年代のヤクルト黄金時代を支え、ゴールデングラブ賞を10回獲得した(遊撃手6回、三塁手4回)名手・宮本慎也氏に、これまで見てきたなかで最も上手いと思った遊撃手、また現役選手で一番上手いと思う遊撃手について語ってもらった。



ゴールデングラブ賞4回の受賞を誇る小坂誠

なんであの打球に追いつけるの?

 評価というのはその人の好みで変わってくるので、意見は分かれると思うのですが、「うまいな」と感じる遊撃手はたくさんいました。川相昌弘さん(元巨人ほか)は僕が目指したところですし、進藤達哉さん(元横浜)、奈良原浩さん(元日本ハムほか)、久慈照嘉さん(元阪神ほか)のキャッチング、フィールディングも「さすがプロ」でした。

 僕と近い世代では、石井琢朗(元横浜ほか)はスローイングが抜群に安定していて、松井稼頭央(元西武ほか)は強肩を生かしたカットプレーがすごかった。井端弘和(元中日ほか)、金子誠(元日本ハム)もミスの少ない選手でしたし、いいショートはいっぱいいましたね。

 そのなかでも抜けてうまかったのが小坂誠(元ロッテほか)です。打球判断や一歩目の反応は僕も負けていないと思っていましたが、小坂にはプラス脚力がありました。極端に言えば、プロのレベルに達している選手の3倍ぐらい守備範囲が広かった。決して強肩ではなかったですが、投げミスも少ないですし、圧倒的なスピードでカバーしていました。

 ヒットになりそうな打球でも、サッと追いついて簡単にアウトにしてしまう。一見、なんでもないプレーに見えるのですが、グラウンドレベルで見ていたら「なんであの打球に追いつけるの?」と驚きしかなかったですね。僕のなかではNo.1遊撃手は小坂ですね。

 僕ですか? 僕は徐々に......の選手でしたからね。それこそ野村克也さんに「ゴロを捕って投げるだけの選手」と言われていましたから。周りが見えて、それが徐々に蓄積されていったというか、脂が乗りきっている時は、まあまあ自信はありましたけど......。

現役No.1遊撃手は?

 現役選手なら、今宮健太(ソフトバンク)はスーパーな守備をしますし、肩も強い。その今宮と同じく5度のゴールデングラブ賞に輝いている坂本勇人(巨人)も名遊撃手のひとりだと思います。

 坂本は手足が長いので派手そうに見えますが、ものすごく堅実なプレーをする選手です。僕の現役時代、一緒に自主トレをしていろいろな話をしましたが、とくにキャッチボールについてはうるさく言いました。最初は理解できなかったそうなのですが、1年半後ぐらいに「やっと意味がわかって、できるようになりました」と言ってきました。守備の安定感は球界屈指だと思います。

 坂本に関しては、プレーそのものもすごいですが、ずっとショートのレギュラーとしてやっていることが驚きです。僕の統計上、ショートのポジションで試合に出続けられるのは長くても干支のひと回り(12年)なのですが、坂本は15年もやっている。体の強さも大きな才能ですよね。

 ただ、現役でNo.1は誰かと聞かれたら、今は源田壮亮(西武)です。守備範囲はもちろんですが、打球に対する入り方がすばらしい。送球も強肩には見えないですけど、強いボールを投げられますし、ミスも少ない。

 以前、源田のグラブを見させてもらったのですが、僕が使っていたのとはまったく違っていて、彼は親指部分で引っかけて捕るんです。だからシングルハンドでキャッチすることが多い。私のように右手を添えて両手で捕るタイプではないですが、トータル的に見て、現役では源田がNo.1遊撃手だと思います。

 遊撃手に限らずですが、いい内野手というのは凡打をきちんとアウトにする。そのためには、やはりスローイングが大事で、この部分に不安があるとしっかりアウトにできません。そして遊撃手なら、周りが見えるということですね。ポジショニング、一歩目の動きだし、声かけのタイミング。これらを兼ね備えているショートが名遊撃手だと、私は思っています。