日本文理の田中晴也は投打でドラフト上位指名が見込まれる大器 7月9日に開幕した第104回全国高校野球選手権新潟大会。注目…

日本文理の田中晴也は投打でドラフト上位指名が見込まれる大器

 7月9日に開幕した第104回全国高校野球選手権新潟大会。注目は投打でドラフト上位の評価を受けている日本文理の田中晴也投手だ。「甲子園での悔しさは甲子園でしか返せないと思うので」。昨年の“借り”を返すため、自身2度目の夏の全国舞台を目指す。

 身長186センチ、体重92キロの体躯はグラウンドでもひと際目立つ。力感のないフォームから繰り出される148キロの直球が武器。「よく『フォーム以上に差し込まれるね』とは言われます。本当は力強いフォームで投げたいんですけどね(笑)。ただ、まだまだスピードに関しては出ると思います」。

 少年野球チームに所属したのは小学2年生の頃だが、物心付いた時には父の影響で野球に親しんでいた。マリナーズのイチロー外野手やレッドソックスの松坂大輔投手ら、当時MLBで活躍していた日本人選手に憧れた。「自分では覚えていないんですけど、お母さんに『イチローを真似したんだと思うよ』と言われています」。気付いた時には、左打ちになっていた。

高1の自粛期間で体重5キロ増…鈴木監督「見るからにデカくなっていた」

 長岡南中の軟式野球部に入部すると徐々に頭角を現す。3年時には新潟選抜で全国4強入り。そこでチームメートだった現主将の竹野聖智捕手らとともに日本文理に進学したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で入学後すぐ休校になった。休校明けの6月、入学式以来顔を合わせた田中の変貌ぶりに鈴木崇監督は驚きを隠せなかったという。

「見るからにデカくなっていたんですよ」

 鈴木監督も将来のエース候補と期待していたが、体の負担を考えて野手からの育成も視野に入れていた。しかし、自粛期間中も近くのジムや公園でトレーニングを怠らなかった田中の体重は、入学時からわずか2か月で5キロ以上アップ。同校OBで元ヤクルト・本間忠コーチの指導もあり、1年終わりには140キロ近くを計測するようになった。

「もっと早くから投手としていけるのではないか」と、鈴木監督は1年冬から投手として本格育成。期待に応えて田中は昨年、エースとして夏の新潟大会優勝に貢献し、甲子園の舞台を踏んだ。

昨夏甲子園では初戦で敦賀気比に8回8失点敗退「悔しかったです」

 しかし、初の聖地はほろ苦かった。1回戦で敦賀気比打線につかまり、2回までに6点を奪われた。「決して悪い球ではなかったんですけど……」。その後も粘りながら8回まで投げたが15安打を浴びて8失点で敗退。打者としては1安打に終わった。

「3年生の夏を終わらせたくないという思いでやっていた。悔しかったです。あまり甲子園が思い出の場所という感覚はないんです。ただ、自分を成長させてくれた場所ではありました」

 自分の直球が全国レベルでは通用しないことが分かった。打者としてもチームに貢献できなかった。武器を磨く必要があった。自ら勉強して初動負荷トレーニングも取り入れた。昨秋の北信越大会では自己最速の148キロをマーク。野手として出場した今春の新潟大会決勝では、東京学館新潟を相手に場外弾含む2本のアーチをかけた。

 そのポテンシャルは高校ナンバーワンの呼び声も高い。NPB12球団のスカウトも注目するが、本人は「あまり意識していません」ときっぱり。「周りの方とも相談はしていますけど。まずは甲子園に出たい。それからです」。借りは同じ舞台で返すつもりだ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)