ブンデスリーガのレギュラーシーズンが終了した。最後の最後まで予断を許さなかったのは降格争いだ。入れ替えプレーオフの可能性が高かったハンブルガーSVは最終節、自力で残留を決めた。すでに降格が決まっているインゴルシュタット、ダルムシュタッ…

 ブンデスリーガのレギュラーシーズンが終了した。最後の最後まで予断を許さなかったのは降格争いだ。入れ替えプレーオフの可能性が高かったハンブルガーSVは最終節、自力で残留を決めた。すでに降格が決まっているインゴルシュタット、ダルムシュタットのほか、ヴォルフスブルクが16位でプレーオフに回る。

 一方、上位争いのほうは、あえて言えば途中で白けてしまった。バイエルンの優勝はもちろん、ライプツィヒの2位も早々と決まり、3位ドルトムント以下の不甲斐なさが目立った。

 そんな中でブンデス1部に所属する日本人選手は、一時期のような華やかな活躍こそなかったものの、コンスタントに戦い続けていた。彼らの今シーズンを振り返るとともに、今オフの移籍の可能性を探ってみた(採点は10点満点。平均は6とする)。



最終節マインツ戦で今季7点目を決めた大迫勇也(ケルン)香川真司(ドルトムント) 

 出場21(先発13)、得点1、採点6。シーズン序盤に代表戦でケガを負い、戻ってきたときにはラファエル・ゲレイロやウスマン・デンベレらが台頭していた。出場機会が激減し、明らかに表情から余裕が消えた。ただしシーズン後半戦は出場機会を取り戻し、存在感を見せている。

 だが、香川本人が言うように「得点に絡むこと、ゴール前で変化をつけられること」がプレーヤーとしての特徴なのであれば、わずか1ゴールは不満と言わざるをえない。チームが2連覇した時代の主力選手であり、サポーターのみならず番記者からの評価もあいかわらず高い。しかしトーマス・トゥヘル監督の動向次第で、香川自身の去就も注目される。

大迫勇也(ケルン) 

 出場30(先発27)、得点7、採点8。チームは5位フィニッシュ。来季のヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得という大躍進に貢献した。中盤での起用が続いたのは、フィジカル、技術だけでなく、個人戦術力が高く評価されたからだとポジティブに解釈すべきだろう。途中、膝の負傷なども乗り越えての7得点は、評価に値する。

「チャンピオンズリーグ(CL)なんかに出ちゃったら、このチームは崩壊しちゃいますよ」と、大迫は控えめにチームを評価していたが、CLよりもさらに過酷なELで、どんな活躍を見せてくれるだろうか。

原口元気(ヘルタ・ベルリン) 

 出場31(先発23)、得点1、採点6。序盤の活躍はどこへやら、最後は失速した印象が強い。原口の調子に合わせるようにチームも勢いを失い、6位で終えられたのは奇跡的といってもいい終盤の戦いぶりだった。

 昨季から「自分は点を取る選手。他のチームに行くべきかも……」と、移籍願望を隠さなかったが、1得点は自他ともに満足できない数字だ。EL出場権を得たことでヘルタに残留する選択肢もありだが、癖の強いパル・ダルダイ監督のもとではストレスもたまるはず。プレミア行きが報道されるなど、その去就が注目される。

長谷部誠(フランクフルト) 

 出場22(先発21)、得点1、採点6.5。ニコ・コバチ監督との相性がよく、リベロとして新境地を開拓して大きな賛辞を受けた。今季は奥寺康彦氏が保持していたブンデス日本人最多となる234試合出場という記録も塗り替えた。それだけに3月11日、バイエルン戦で負ったケガで長期離脱することになったのは残念だ。来季の開幕に間に合うかどうかも微妙なところで、日本代表のメンバー争いにも影響が出ている。

宇佐美貴史(アウクスブルク)

 出場11(先発5)、得点0、採点5.5。奮闘も実らず定位置を確保することができず、シーズン終盤はベンチ外が続いた。守備の徹底、前線からのプレス、カウンターという下位のチームに典型的な戦い方と、宇佐美のプレースタイルは、最後まで融合することはなかった。だが、そのあたりのことは移籍前から織り込み済みだったはず。自分にフィットするチームを探すのか、もう一度ここで勝負を続けるのか。早いうちに輝きを取り戻す必要がある。

酒井高徳(ハンブルガーSV)

 出場33(先発29)、得点1、採点7。昨年11月、チームキャプテンに就任した。不調に陥ったチームへのカンフル剤として、指揮官マルクス・ギズドルに指名され、大々的な発表もされた。そんな期待に十分応えたシーズンとなった。一時は最下位に沈んでいたチームは粘り強く戦えるようになり、順位も上昇していった。

 ただし、降格圏を脱出したことで気が緩んだのか、ラスト5試合は再び残留争いに巻き込まれて苦戦した。最後はヴォルフスブルクとの直接対決を制して、ようやく残留を決めた。ピッチでどのドイツ人よりも熱く戦う姿は、見る者の胸を打った。両サイドバック、さらにはボランチと、複数ポジションをこなすが、もう少しプレーの安定感を向上させたいところではある。

武藤嘉紀(マインツ)

 出場19(先発10)、5得点、採点7。たび重なる負傷で離脱する期間も長かったが、効率のよい働きぶりが目立った。先発が10試合なのに5得点は、悪い数字ではない。与えられたポジションがどうであっても言い訳せず、前線での働きにこだわるのは、本人のメンタリティもあるが、マルティン・シュミット監督やチームメイトからの評価の証だ。とはいえ、ワンランク上のチームで戦うには、フォワードとしての強さ、得点力、さらに1列下がった場合の技術、器用さがほしい。来季こそ1シーズンを通しての活躍を見せる必要がある。

内田篤人(シャルケ)

 今季中の復帰を目指したが、出場したのは12月のELザルツブルク戦だけだった。今年に入ってからは実戦復帰も近いかと思われたが、マルクス・ヴァインツィアル監督が試したかった時期に小さな負傷を繰り返した。そして完治した頃には、順位争いが激しくなり、メンバーを変えづらい状況になっていた。それでも最近の練習では、主力と遜色ないプレーを見せている。来季は試合に出られる環境が必要だろう。7シーズン在籍したシャルケとの別れも近いか?

 以上、8人の選手たちにとっては、来年に控えるロシアW杯に向けても、来季の戦いは重要になる。今オフの日本人選手の動向はいつも以上に要注目だ。