腹筋が切れていると明かしたナダル現地7月7日、ウィンブルドン準決勝進出を決めていた第2シードのラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク4位)が急きょ記者会見を開き、大会を棄権することを発表。その結果…

腹筋が切れていると明かしたナダル

現地7月7日、ウィンブルドン準決勝進出を決めていた第2シードのラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク4位)が急きょ記者会見を開き、大会を棄権することを発表。その結果、ニック・キリオス(オーストラリア/同40位)が初めてグランドスラム決勝に進出することが決まった。

【動画】「ケガが悪化することが目に見えている」ナダル記者会見

ナダルは会見の冒頭で、「残念ながら、トーナメントを棄権しなければならない。昨日も言ったけど、腹部の痛みに悩まされている。筋肉が切れているんだ。1日中考えていたので、連絡するのが遅くなった。今まで何度も非常に厳しい状況でもプレーを試みてきたけど、今度ばかりはプレーを続けたら、ケガが悪化することが目に見えている。それが今言えること。とても残念だけどね」と語っている。

ナダルは準決勝後の会見で、腹筋について「さまざまな意見を知ること、適切な方法をすべて確認する必要がある。ウィンブルドンで優勝することより、健康はもっと大切だからね」と医師たちの意見などを聞いたうえで、健康を第一に適切な決断をするとしていたが、7日に行った練習後には棄権することを決めた。

以下は会見での一問一答である。

「残念ながら、トーナメントを棄権しなければならない。昨日も言ったけど、腹部の痛みに悩まされている。筋肉が切れているんだ。1日中考えていたので、連絡するのが遅くなった。今まで何度も非常に厳しい状況でもプレーを試みてきたけど、今度ばかりはプレーを続けたらケガが悪化することが目に見えている。それが今言えること。とても残念だけどね」


「この状況で2試合勝つのは無理と思って判断したんだ」

Q.準決勝で勝てないと思っての決断なのか、それともプレーして悪化することを心配しての決断なのでしょうか?

「この状況で2試合勝つのは無理と思って判断したんだ。スピードを出してサーブが打てないだけでなく、サーブを打つための通常の動作ができない。自分が2試合(準決勝、決勝)に勝つことを想像してみて、目標を達成するために必要なレベルでプレーする競争力が持てない。そして、事態を悪化させる可能性が高い状態で、試合に臨みたくはない。2週間ほど前までは、足のケガで自分のキャリアは非常に厳しいと考えていた。今、その状況は良くなっている。でも、それが僕のテニスキャリアをストップさせる最も危険なことなんだ。いつも言っているように、一番大切なのは、タイトルよりも幸せだ。ここにいるためにどれだけ努力してきたか、みんなが知っているとしてもね。でも、リスクを冒してプレーして、2ヵ月、3ヵ月と競技から離れるわけにはいかない。もしそうなっていたら、僕が決めたことであり、それに耐えなければならない。とても悲しいし、とても苦しいことになってしまった」

Q.年間グランドスラムへの挑戦が終わってしまったことについては、どう考えていますか?

「いや、それは考えたこともない。日々の幸せと、日々の仕事のことだけだ。ただ、自分が本当に好きだと思うことのためにプレーするだけ。全豪では大会中、あまり問題がなかったんだ。長く休んだケガからの復帰だったけどね。全仏は精神的にも肉体的にも非常に厳しいものだった。その後は、状況が良くなってきた。でも、ここにいるという事実がどれだけこの大会を重視していて、プレーしたかったかを示している。ここでプレーするチャンスを得るために、可能な限りベストな方法を取った。準決勝に進出しているので、ここ2、3日はとてもいいプレーができていた。特に昨日は、試合の最初のほうで、とても高いレベルでプレーができたと思う。あのようなプレーができるなら、チャンスはあるだろうと感じていた」


腹筋のケガは1週間前から「でも、昨日最悪になった」

Q .準々決勝の第2セット、お父さんはプレーを止めるべきだと伝えていました。それでも続けた、その判断は正しかったのでしょうか?

「正しい判断だった。試合に勝ったわけだし。僕は、その瞬間に感じたことをやっただけ。決断を下す時、あとで振り返って、こうすべきだったというような選手ではないし、そういう人間でもない。もちろん、失敗から学ぶことはある。テニスのキャリアを通じてそうしてきた。失敗を繰り返さないように心がけている。準々決勝のコートから離れたくなかった。昨日も言ったように、最初の5、6ゲームの後、棄権の可能性がずっと頭の中にあったけど、最後まで戦う方法を見つけた。それは僕の誇りだ。その上でケガを確認し、自分の健康や将来のことを考え、決断したんだ」

Q.ケガはいつごろしたものですか? 回復までどのくらいかかるのでしょうか? 

「1週間前から腹筋に問題があったんだが、なんとかコントロールできていたんだ。でも、昨日最悪になった。この1週間の間、どんなことが起こるかテストをしていた。数年前、いや、数日前にあった小さなことが、昨日の試合のあとにより大きなことになったのは明らかだ。回復までは3~4週間はかかると思う。その間に、予定がこなせるようになればいいなと思っている。今はまだプレーを続けることはできないけど、1週間後にはベースラインからプレーできるようになると思う。もちろん、しばらくサーブは打たないけどね。ベースラインからプレーすることは、それほど大きなことではない。ベースラインから打てるのは、ある意味、ポジティブなことなんだ。そうすれば、自分の予定を立てられるからね」

Q.痛みが蓄積してひどくなったということでしょうか?

「難しいけど、この腹部の感じはある瞬間に悪化したね。昨日は (第2セット)3-2のサービスゲームが、それを感じ始めた瞬間だった。間違っていなければ、4-3でサーブした時により悪化した。そこで、サーブのスピードを落としたり、動きを変えたりする方法を見つけたんだ。そうすることで、悪化させることなく、試合を終わらせられた。僕はいつも、一歩一歩やっていくタイプなんだ。まずは試合を終わらせたかった。勝利できたけど、その後にやるべきことがある。テストは、自分が持っているものを出すということ。選択肢は常にあるけど、今回のケースは(プレーしなければ)足のように悪化するようなものでもない。プレーしたら、悪化するのは目に見えていた」


■ウィンブルドン2022
[THE CHAMPIONSHIP WIMBLEDON]
・大会日程/2022年6月27日(月)〜7月10日(日)
・開催地/イギリス・ウィンブルドン:オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(時差8時間)
・賞金総額/4035万ポンド(66億6160万円)
・男女シングルス優勝賞金/200万ポンド(3億3030万円)
・サーフェス/グラス(芝)コート
・TV中継・放送予定/WOWOW、NHK

【特集】ウィンブルドン2022の記事はこちら