飯塚智広氏は選手で五輪出場、NTT東日本の監督で17年都市対抗V 打撃の上達に大切なのは“イメージと感覚”。中日と巨人で…
飯塚智広氏は選手で五輪出場、NTT東日本の監督で17年都市対抗V
打撃の上達に大切なのは“イメージと感覚”。中日と巨人で通算1912安打を記録した井端弘和氏と亜大時代に「最強の1、2番」を組み、昨年までNTT東日本で監督を務めた飯塚智広氏は、少年野球の子どもたちに感覚を磨く大切さを説く。素振りも、打球をイメージしてスイングすると打撃が向上するという。
昨年末までNTT東日本の監督を率いた飯塚氏は2017年、都市対抗野球大会でチームを36年ぶり2度目の優勝に導いた。身長163センチと小柄ながら、現役時代は長打力と確実性を兼ね備えた外野手として活躍。亜大では主に1番に座り、井端氏と組んだコンビは「最強の1、2番」とも評された。NTT東日本に所属していた2000年には、シドニー五輪日本代表にも選ばれている。
飯塚氏が少年野球の頃から打撃で大切にしてきたのが、イメージと感覚だった。どのようにバットとボールを当てると、どんな打球が飛ぶのか感覚で覚えていった。もちろん、スイングの力強さやスピードは重要だが、バットを振る最大の目的は「イメージ作り」と強調する。
「単にバットを振ってボールが飛んでいったというのは、寝たらすぐに忘れてしまいます。本数をノルマにする練習も同じです。小、中学生の頃は入射角や反射角という言葉は知りませんでしたが、それを結果的に意識して練習していました」
感覚は数値化されないため、身に付いているかどうか判断しづらい面がある。他人と共有するのも難しい。飯塚氏が少年野球の子どもたちに勧めるのは、狙ったところへ打つ練習だ。「小学生に感覚といっても分からないかもしれません。『あそこを狙って打ってごらん』と伝えて、狙った場所に打球が飛んだら『どうやったらあそこに打てたの?』と聞いて答えさせると練習になると思います」。
素振りで打球の方向や質もイメージ、元巨人・篠塚氏の流し打ちがヒント
素振りでも、イメージと感覚を意識する。コース、高さ、球種など投手を思い浮かべながらのスイングを勧める指導者は多いが、飯塚氏はプラスアルファを求める。「バットを振った後に打球方向や質もイメージすると、実際に打球を飛ばした時の感覚が磨かれます」。イメージをつくっていくことで、ボールを捉える確率が上がっていくという。
飯塚氏が打撃の感覚を知ったのは、小学生の頃だった。同じ左打者だった元巨人・篠塚和典氏が得意にしていた流し打ちをまねしていた。毎日繰り返していると、三遊間を抜ける打球をイメージ通りに打てるようになり「バットの出し方と打球の飛び方を感覚でつかんだ原点でした」と振り返る。
指導者になっても、考え方は変わらなかった。感覚が身に付いている選手と、何も意識せずバットを振っている選手の差をはっきり感じたという。
「打撃ではヘッドを走らせるという表現をしますが、『どういうことですか?』と聞く選手が増えてきました。野球が上手いから社会人まで進んできているのは間違いありませんが、やらされている練習が多かったのかなと感じます。感覚を磨くのは考えたり、工夫したりする力につながります。より良い打ち方を発明するようなものなので、楽しみながら自主的に練習するようにもなります」
ヒットを打ちたい。打球を遠くに飛ばしたい。イメージと感覚が、思いを形にする助けとなる。(間淳 / Jun Aida)