ブンデスリーガも最終節となったドルトムント対ブレーメン。バイエルンの優勝、ライプツィヒの2位は確定していたが、3位…

 ブンデスリーガも最終節となったドルトムント対ブレーメン。バイエルンの優勝、ライプツィヒの2位は確定していたが、3位ドルトムントは、チャンピオンズリーグ(CL)の予選に回らなければならない4位に転落する可能性も残していた。

 前半7分という早い時間帯に先制したのはブレーメンだったが、ドルトムントは結果的に4-3と逆転勝利を収めた。先発フル出場した香川真司の試合評は言い得て妙だった。

「いい終わり方だった。劇的にスタジアムが盛り上がった。でも守備がなかなか安定しない、今季を象徴していた」



最終節ブレーメン戦に先発フル出場した香川真司 ドルトムントはやっとのことで3位を確定させ、来季CL出場権を獲得した。予選からのスタートで夏のバカンスが短くなることもなくなった。

 涙、涙の試合だった。理由のひとつはマルク・バルトラの復帰だ。

 4月11日のCLモナコ戦に向かう途中で爆弾被害にあったバルトラがこの日、フル出場を果たした。本来はベンチスタートの予定だったが、試合前のウォーミングアップで主将のマルセル・シュメルツァーが負傷したため、代役として急きょピッチに立った。右腕にはまだギプスが装着されたまま。黄色のテーピングであたかもインナーのようにみせかけているが、ぎこちない動きは切なかった。

 3失点していることからもわかるとおり、最高の出来とは言い難いが、それでも勝利で終えた。試合後、サポーターにあいさつに行ったバルトラは、声援に耳を傾けながら長袖のインナーでそっと涙をぬぐっていた。香川が語る。

「試合後は泣いていたので……。彼も(事件によるショックを)乗り越える上でサポーターの存在は大きかったと思うし、(仲間の)選手の存在も大きかったと思う。いろいろな感情が彼なりにあったと思います」

 もうひとつの涙は、オーバメヤンだ。この日はPKを含め2得点で合計31得点とし、バイエルンのロベルト・レバンドフスキを抑えてブンデスリーガの得点王になった。

 試合後に、まずゴール裏のサポーターにあいさつに向かった選手たちは、その後、バックスタンドや反対側のゴール裏へ移動。その途中、場内アナウンスによりオーバメヤンが得点王となったことが発表された。

 再びドルトムント側のゴール裏へ猛ダッシュで戻ったオーバメヤンはサポーターに大きく手を振った。その後、ピッチでは簡単な表彰式も行なわれ、トロフィーが渡された。選手たちがアーチを作り、その下を通過しながらもみくちゃにされるオーバメヤンは、笑いながらも涙を隠そうとしなかった。PSGへの移籍が噂されるオーバメヤンだが、おそらくそれは本当なのだろうと推測されるシーンだった。

 しかし、そんな喜びの輪の中に指揮官トーマス・トゥヘルの姿はなかった。何か理由があったのかもしれないが、ドイツの主要各紙で報じられ続けた選手との不仲説に信ぴょう性を与えているように見えた。3位という成績は合格点と言えるが、トゥヘルの去就と来季監督人事は不透明だ。

 そして香川はといえば、ここ数試合と同様、疲れを隠せない様子でミックスゾーンに現れた。言葉を発するのと同時に空気が漏れていく、そんな感じだった。

 もっとも試合では、相手の守備が緩かったこともあり、比較的よくボールを保持しながら、ドルトムントの攻撃を仕切っていた。

「相手もバイタルの守備は緩かったので。あとはラファ(ゲレイロ)とマルコ(ロイス)といい距離感でやれれば、ある程度の相手ならやれるんじゃないかと手応えを感じた。いい感じで崩せたので、そこからもっとゴールをとるべきだったとは思うんですけど、すごくやっていて面白かったですし、あの感覚は大事にしたいと思います。次の(ドイツ杯)決勝でも見せていきたいと思います」

 32分にはロイスの同点弾もアシスト。ペナルティエリア手前で中盤からの縦パスを受け、そのまま前を向いて絶妙なタイミングでスルーパスを通した。香川は「何十回、何百回と練習してきた形」と、してやったりという表情を見せた。後半には、めったに見せない熱いプレーで今季3枚目のイエローももらう気合いの入りようだった。

 苦しんだシーズンであったのは間違いない。だが香川は、その苦戦そのものがいい経験だったと捉えようとしている。

「すごくいい1年だったと思っている。もちろん出られない時期が多かったですけど、その時期にどう取り組むか、どういうメンタリティでいるかというのがすごく大事だと、あらためて気づいた。1年ずっと活躍し続けるということがどれだけ難しいか。ある程度の波は必ずあると思っているので、シーズンの中でそれを経験できてすごくよかった。また来シーズン、自分の経験に活かしていきたいと思っています」
 
 今季はドイツ杯決勝を残すのみ。香川の去就もまだはっきりしておらず、今後の注目はピッチ外の動向に移っていく。