早大スポーツ科学学術院教授・鳥居俊氏が解説 プロ野球選手がよく悩まされる腰の痛み。原因の一つとして挙げられるのが腰椎分離…

早大スポーツ科学学術院教授・鳥居俊氏が解説

 プロ野球選手がよく悩まされる腰の痛み。原因の一つとして挙げられるのが腰椎分離症と呼ばれる怪我だ。成長期のスポーツ障害を専門とする早大スポーツ科学学術院の鳥居俊教授は「腰椎分離症は小学校高学年から中学生の時期の運動に起因していることが多い」と説明する。原因や対策はあるのだろうか。

 腰椎分離症とは、腰の背骨の後ろ側にあるリング状の構造をしている「椎弓(ついきゅう)」とよばれる部分が折れて分離してしまった状態のことをいう。

 プロ野球選手の多くが持っているといわれているが、鳥居氏は「原因の多くは成長期」と断言する。実際に自身の研究室で、東京都、埼玉県内で野球をやっている中学生約100人にMRI検査を実施。約2割に腰椎分離症の症状が見られたという。

「骨が成長している時に筋肉が引っ張られることで硬くなり、柔軟性がなくなります。その時に腰をねじったり、過度に動かしたりすることが分離症につながります」

 初期段階は疲労骨折から始まる。その時点では痛みが出にくく、レントゲン検査でもはっきり写らないことが多い。そのため放置されることが多く、痛みが出た時には既にすでに分離症まで症状が進んでいるケースがほとんどだ。では、痛みもないのに、どのように判断すればいいのだろうか。

“誘発テスト”で動きが硬くなったり、痛みが出たりしないかを確認

 磁力と電波を用いるMRI検査では、初期段階の疲労骨折から確認できる。だが、高額のためMRI設備がない病院もある。もちろん検査ができるのに越したことはないが、痛みがない中、遠くの病院に出向いたりするのは現実的ではない。鳥居氏は“体の硬さ”の変化で気付くことができると話す。

「体が硬くなったり、腰を後ろに反れなくなったりしていないかを見るのが大事です」

“誘発テスト”と呼ばれるものもある。腰を反らしたり捻ったりした時に痛みが出たり、体が明らかに硬くなったりしていた場合は腰椎分離症の可能性が高いそうだ。

「疲労骨折の時点ではコルセットで固定するなどして短期間の治療で治りますが、分離症まで進んだ場合は治すとしたら手術しかありません。いかに早く気付けるかか大事になります」

 子どもたちの中には「痛い」と言えない子も多い。子どもの未来を守るためにも、周りにいる大人が“小さな変化”に気付けることが大事になってくる。(川村虎大 / Kodai Kawamura)