カタール・ワールドカップに出場する日本代表が準備を進める一方、年代別の日本代表もそれぞれの目標に向かって踏み出している…

 カタール・ワールドカップに出場する日本代表が準備を進める一方、年代別の日本代表もそれぞれの目標に向かって踏み出している。この6月には、2つの日本代表が、それぞれの年代別韓国代表と対戦。その戦いぶりには、これまでにない構図が見えてきた。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■年長のチームを倒したU-21日本代表

 1980年代に入ると、ようやくテクニックのある日本選手が育ってきて、韓国ともある程度互角に戦うことができるようになってきた。そして、1990年にJリーグがスタートしてからは、日韓は互角のライバルとして勝ったり負けたりを繰り返してきた。だが、中盤でのパスの展開などでは明らかに日本が上回るが、フィジカル能力では韓国に敵わず、そして、ストライカーの能力で敗れ去ることが多かったのである。

 そういった過去の歴史を踏まえて今回の日韓戦を見ると、あらゆるポジションで韓国を上回り、しかも、フィジカル能力でも互角以上に戦えたのは画期的と言っていい。

 2019年のUー20ワールドカップでの日韓戦で決勝ゴールを奪われた呉世勲(オ・セフン)も登場したが、日本のCBは彼に仕事をさせなかった。スペインで活躍する、久保建英の同僚である李康仁(イ・ガンイン)に対してもMFやDFが体を当てて続け、そのテクニックを封じることに成功した。

 そして、それをU-21日本代表がやって見せたのである。韓国のメンバーの多くは、3年前のU-20ワールドカップで日本代表を破った時のメンバー、つまりU-23世代だったので、日本は2歳年少のチームだったのだ。

 オリンピックの中間前に行われるAFC Uー23アジアカップには、日本は次のオリンピックを目指すためにU-21代表を送り込んでいる。

 そして、日本代表はリオデジャネイロ・オリンピック予選を兼ねた2016年の第2回大会では決勝で韓国に大逆転勝ちをして優勝しているが、2歳年少の代表で参加した2013年の第1回大会(この時はU-22選手権で、日本はU-20日本代表が参加)も、第5回大会(2018年=東京オリンピックを目指す森保一監督のU-21代表が参加)も、ともに準々決勝敗退に終わっている。

 しかし、今回は2歳年少のチームながら、ライバルの韓国に完勝して準決勝進出を果たしたのだ。あらゆる意味で、画期的と言っていいだろう。

■U-16でも日韓戦

 さて、韓国に3点差で勝利したのは素晴らしい結果だったが、このU-23アジアカップでの日韓戦より4日前には、U-16日本代表もU-16韓国代表に対して3対0の勝利を収めている。

 宮城県仙台市で行われていた「インターナショナル・ドリームカップ」の初戦だった。U-16世代の代表チームを集めて毎年行われている大会である(過去2年は新型コロナウイルス感染症拡大のために中止)。

 その初日に日韓戦が設定されたのだ。

 そして、U-16日本代表は韓国相手にフィジカル勝負を挑んで勝利したのだ。

 この試合はU-23アジアカップでの試合のように「完勝」と言う内容ではなかった。韓国にも決定機はあったが、日本の守備陣がよく耐えて、効率的に得点を積み重ねていった結果としての3対0だった。

■パワーに対して引かなかったCBコンビ

 実際、韓国は攻撃力もあるチームだった。

 なんといっても脅威だったのはワントップのキム・ミンスンだ。身長が185センチで体重77キロ。しかも、そのパワーは数字以上のものだった。

 とくに年代別代表の戦いでは、韓国にはこういう日本にはいないようなパワフルなストライカーを多く見かける。腰回りが大きく、頑丈さを感じさせるのだ。

 そして、4-3-3の右のインサイドハーフに入ったキム・ミョンジュンもドリブルでボールを運びながら正確なパスを繰り出せる優れたプレーメーカーであり、さらに右サイドバックのイ・チャンウの縦へのドリブルにも怖さがあった。

 この強力な韓国の攻撃陣に対して、日本の守備陣、とくにCBの山田佳と永野修都の2人が大健闘。パワフルなキム・ミンスンに対して体を当て続け、そして、決定機には体を投げ出してスライディングをかけ、シュートコースに入ってブロックし続けた。

 前橋育英高校の山田は177センチ、FC東京U-18の永野は180センチ。ともに60キロ台の半ばであり、どちらかといえばフィード能力に長けたテクニカルなタイプのDFなのだ。しかし、彼らは体を張ってプレーして、パワーでかなり上回る相手に対してフィジカル勝負でもけっして負けなかったのだ。

 日本の守備陣の頑張りのおかげで、韓国の選手が倒れて「ファウルを取ってくれ」とばかりに主審の顔を見るような場面が増え、時間の経過とともに韓国のパスは雑になっていった。

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