■仙台は先発6人を入れ替えて連敗阻止へ 6月11日に行なわれたJ2リーグ前半戦ラストマッチ、2位のベガルタ仙台はスリリ…

■仙台は先発6人を入れ替えて連敗阻止へ

 6月11日に行なわれたJ2リーグ前半戦ラストマッチ、2位のベガルタ仙台はスリリングな攻防を繰り広げた。

 アウェイの徳島ヴォルティス戦に臨んだ仙台は、前節から先発を6人入れ替えた。GKストイシッチが10試合ぶりにスタメンに名を連ね、右CBには平岡康裕ではなく吉野恭平が起用された。吉野は7試合ぶりの先発だ。

 さらに右サイドバックの真瀬拓海、ダブルボランチの一角を担うレアンドロ・デサバトが6試合ぶりにスタメン入りした。ケガから復帰した名倉巧は、3試合ぶりに2列目右サイドに立つ。

 前線では中山仁斗が15試合ぶりに先発した。背番号9のパートナーは、遠藤康が務める。

 保有戦力が充実していることもあり、仙台の原崎政人監督は試合ごとに細かなメンバー変更をしてきた。しかし今回は、ジェフユナイテッド千葉に0対2で押し切られ、6試合ぶりの黒星を喫した前節を受けての変更だ。連敗を避けるためにもチームに活力を与える意味が、込められていたと考えられる。

■GKストイシッチの好守が試合を作る

 前半開始早々の2分、仙台はいきなりピンチに見舞われる。徳島MFエウシーニョのタテパスを杉森考起に受けられ、FW一美和成にフィニッシュへ持ち込まれる。しかし、GKストイシッチがファインセーブで防ぎ、いきなりのビハインドは免れた。

 2列目の右に名倉、左に氣田亮真を配し、遠藤が前線で流動的に動く並びは、「個」による突破とコンビネーションを両立させるものだ。さらに中山が最前線に構えることで、ポストプレーを起点とした攻撃も見込める。中央からもサイドからも崩せる。

 だが、前半のチャンスは一度限りだった。28分、中山が左サイドでDFふたりを剥がし、ゴール前へグラウンダーのラストパスを通す。走り込んだ遠藤が左足で合わせたが、ワクをとらえることはできなかった。

 0対0で迎えた後半は、ボランチ中島元彦のミドルシュートが攻撃の活路となる。背番号44のパンチ力のある一撃が、56分、57分と相手守備陣を脅かす。仙台が試合の流れを引き寄せつつあるなかで、ラスト20分付近から試合は動いていく。

■氣田という「個」が同点弾を演出するが…

 69分、仙台はビハインドを背負ってしまう。それから2分後、古巣対戦となった内田裕斗が決めて同点に追いつく。それまで決定的なシーンを作れずにいた氣田が、左サイドで相手を抜き去りゴール前へラストパスを通す。相手CBにカットしきれなかったボールが残ると、左SBのポジションから入り込んでいた内田が蹴り込んだのだった。

 1対1の同点とした直後、原崎監督はデサバトと氣田を下げ、MFフォギーニョとMF加藤千尋を投入する。攻撃の出力を上げるための交代だったが、次に得点を奪うのは仙台ではなかった。80分、またもリードを奪われてしまう。

 原崎監督がすぐに動く。81分、遠藤と内田に代えてFW皆川佑介とDF若狭大志を送り込む。左CBのキム・テヒョンが左SBへスライドし、吉野と若狭が最終ライン中央に入る。前線は皆川と富樫の2トップだ。1対2のままでは終われない、何としても追いつく、とのはっきりとしたメッセージだ。

■終了直前のPKで勝点1を得る

 しかし、時間は確実に過ぎていく。アディショナルタイムが残り1分を切ろうかとした90+4分、キム・テヒョンのクロスに飛び込んだ右SB真瀬が、徳島DF田向泰輝に倒される。主審は長い笛を吹いた。

 PKである。徳島の選手が主審に詰め寄るものの、田向の手は真瀬のユニフォームを引っ張っていた。PKは妥当だっただろう。このところ途中出場が続いていた右SBが、最後に大きな仕事をやってのけた。

 PKは皆川が決めた。右足から放ったキックはGKホセ・アウレリオ・スアレスに止められたが、弾かれたボールを冷静に蹴り込んだ。90+7分の劇的な同点弾で、仙台は勝点を「0」から「1」に変えたのだった。

 試合後の原崎監督は「勝点3を取りに来たので、結果的には残念ですが、この試合展開で勝点1を持って帰ることができるのは、選手が良くやってくれたと思います」と試合を総括した。2試合連続で勝利を逃した一方で、2度のビハインドを跳ね返した粘り強さは評価できる。

 次節は3位横浜との上位対決である。J1昇格争いを左右する大一番であり、アウェイでは1対2で敗れている。勝点3を取り切らなければいけない。

 原崎監督は「前半の入りを大事にしたい」と話す。18節の岡山戦からは1勝2分1敗と、ややペースダウンしている。ここ4試合は前半の得点がない。この試合でも開始早々にビッグチャンスを作られた。試合の入りからパワーを注いで主導権を握っていくことが、仙台のテーマになるだろう。

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