6.12さいたまスーパーアリーナで開催するCyberFight Festival 2022。ガンバレ☆プロレスはDDTプロレスのEruptionと対抗戦を行う。そして7.10大田区総合体育館「WRESTLE SEKIGAHARA」ではスター…

6.12さいたまスーパーアリーナで開催するCyberFight Festival 2022。ガンバレ☆プロレスはDDTプロレスのEruptionと対抗戦を行う。そして7.10大田区総合体育館「WRESTLE SEKIGAHARA」ではスターダムのウナギ・サヤカとシングル対決! 現在はガンバレ☆プロレスの女子レスラーのエースとして君臨している。今回は東京女子参戦とぽっちゃり女子プロレス。

<(1)はこちら>

■東京女子プロレス参戦

――東京女子への参戦はいかがでしたか?

まなせ:今まで観てきたプロレスとは違う景色を見ました。東京女子は「人を幸せにするプロレス」です。プロレスは基本的にドロドロした感情が戦いの根底にあります。でも野外で雨の中戦った坂崎ユカちゃんとの試合がすごく楽しかったんです。雨で濡れるリング上で滑りながら攻撃するけどユカちゃんは「キャッキャ」って笑っている。「お客さんだけじゃなく対戦相手も幸せにするプロレスもあるんだ」と教えてくれたのが東京女子ですね。

――たしかに東京女子は観戦し終わった後、一本の映画を観た後のような爽快感がありますよね。

まなせ:それが東京女子の魅力。私は東京女子に4年半参戦させて貰いました。今までのレスラー人生の中で1番長かった団体です。それはきっと幸せな気持ちでいられたからかもしれませんね。

■ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦

――そんな中、2019年4月王子で「ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦」が行われ、今成夢人選手とシングル対決しましたね。

まなせ:これは試合前の印象が強かったです。東京女子代表の甲田哲也さんから4月14日のスケジュールだけ押さえられていました。何をするかは分かりません。そしたらガンプロのTwitterに「まなせゆうな、ガンバレ☆プロレス参戦決定!」と。そして「ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦」の文字も。「えっ、なにこれ?」という気持ちと「なんだよ『ぽっちゃり』って、ふざけた名前だな」と(笑)。

記者会見の日まで周りは「ぽっちゃり」というキーワードで楽しんでいて、なおさら怒りだけが募りました。その記者会見で今成さんが私に対して「スターダムの時は『愛川ゆず季2世』、アクトレス・ガールズではセンターでデビューしたのに何もなってねぇじゃん!」とめちゃくちゃ言われました。

さらに今成さんは「俺は期待されずにプロレスをやっているけど、お前は期待されてプロレスをやっている。まなせはなんのために試合やっているんだよ!」と。その時の今成さんへの感情は「嫌いでイラっとする」でした。

試合前日、東京女子の選手から「今成さんとの試合楽しみにしている!」と声をかけられるけど、私は男性と試合をするのも初めてでナーバスになっていました。当日も焦り過ぎてリングシューズを忘れ、大家健さんに借りたぐらいですから(笑)。

――足のサイズが大家さんと一緒なんですね(笑)。

まなせ:そうです。大家さんは「まなせさんのセコンドに付こうと思って短いシューズを持ってきた」というシューズを、そのまま借りました(苦笑)。その時から大家さんは私のことを応援してくれる。それが自分の団体の選手じゃなくても「一生懸命な人を応援してくれる」のが大家さんなんです。

今成さんとのシングルマッチ、リング上から見える風景は東京女子のものとは違いました。東京⼥⼦はみんな私より背が低いし可愛い。戦っていると私がいじめているように⾒えるみたいで、私への応援をあまり感じられませんでした。でも「ぽちゃ⼥」の時、久しぶりに「応援してもらえる気持ち良さ」を感じることができました。ガンプロのお客さんは温かい⽅が多いので所属選⼿でない私にも「頑張れ〜」と声援を送ってくれたんです。もちろん東京⼥⼦のファンの⽅も沢⼭応援に来てくれました。

――まなせさんは純粋にファンから応援されたかったのですね。

まなせ:はい、残念ながら試合には負けてしまったけど、最後に今成さんがマイクで「煽りVTRが好きで私も作ってもらいたい」という私のツイートを見ていてくれてたと。

今成さんはDDTの映像班で煽りVTRも作成します。煽りVTRはメインイベントであったり試合にテーマがあったり選ばれた選手のみ作られるもの。でも私は東京女子では選ばれなかった。今成さんは「ぽっちゃり女子でまなせゆうなに煽りVTRを作ってやりたかった。だから試合前にまなせさんの映像をTwitterであげた」と。あんなに試合前嫌いだった人が、私のことをすごく見てて考えてくれたんです。

――「ぽちゃ女」を経験することで、また違った感情が芽生えたんですね。

まなせ:「もう1回プロレスを頑張りたい」と思いました。ただぽちゃ女の試合後、東京女子後楽園大会の私の試合を見た今成さんから「ぽちゃ女やったよね?あれどういうことだったか分かる?」と怒られました。映像班の今成さんは、これまでの私の試合をレンズ越しに見ててくれました。私がぽちゃ女でやった「ガムシャラな戦い」を東京女子のリング上でしなかった、と今成さんは感じていました。

それで改めて「ぽちゃ女で戦った気持ちを東京女子のリングで出さないとダメだ」と思いましたね。これが第6回東京プリンセスカップ前。正直なところ東京女子での自分の立ち位置に迷っていました。私がしっかりとした試合をできていないので東京女子のためにもなっていない。最後の最後に「東京女子らしい戦いではなく、『まなせゆうな』らしい試合をしてみよう」と。

それでプリンセスカップ前、呪いのように「私はこの大会に賭けている」とブログやTwitterに書きまくって、自分を言い訳できないように追い込みました。私のプロレス人生はケガが多くネガティブなことを考える時間が多かった。でもそんな内から滲み出てくるマイナスの声を全て無視し「私が東京女子でテッペンを獲るんだ。存在意義を示してやる」と思いました。
<(3)につづく>

<インフォメーション>
6.12さいたまスーパーアリーナ「CYBER FIGHT FESTIVAL 2022」にて坂口征夫・赤井沙希・岡谷秀樹vs大家健・まなせゆうな・渡瀬瑞基が行われます。
また7.10大田区総合体育館でガンバレ☆プロレス最大のイベント「WRESTLE SEKIGAHARA」にて、まなせゆうなvsウナギ・サヤカ(スターダム所属)が行われます。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください!
試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで配信されます。

まなせゆうな Twitter
ガンバレ☆プロレス Twitter
DDTプロレスリング Twitter

取材・文・編集/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング