倒れたことも気づかず、コーナーの妻の言葉で正気に「俺はやられたのかと」 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回1分24秒T…

倒れたことも気づかず、コーナーの妻の言葉で正気に「俺はやられたのかと」

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回1分24秒TKO勝ちし、日本人初の3団体王座統一に成功。4団体統一の偉業に王手をかけた。敗れたドネアは1回終了間際のダウンで記憶が飛んだことを明かし、井上の強さを証言した。米メディアが報じている。

 ドネアの記憶は飛んでいた。1回終了間際、井上の右ストレートを左テンプルに浴び、たまらずダウン。目はうつろ、朦朧としながら、コーナーを一度確認すると慌てた様子でファイティングポーズを取った。再開直後の初回終了で助けられ、2回は必死に盛り返そうとするも、最後は連打でコーナーに追い詰められ、左フックを浴びて勝負あり。39歳の生ける伝説はさいたまで散った。

 試合後、取材対応はなかったが、自身のSNSでライブ配信を実施。試合を振り返った。その内容を米専門メディア「ボクシングシーン.com」が紹介。ドネアは1回のダウンシーンを振り返り、「打撃を受けた時、キャンバスに倒れ込んだことさえ気づかなかった」「私はカウンターを決めようとしていたから、パンチが来るのが見えなかった」と証言した。

「今まで食らったパンチの中で最も強烈だったと言える。最初のKOは頭が真っ白になった。あのパンチが来るとは思わなかった」

 その上で「何が起きたのか分からなかった。私はカウンターを狙っていたのに、キャンバスに倒れていた。そしたら審判がカウントしているんだ。『どういうこと?』って感じだった。コーナーを見たら妻が『手をあげて! カウントされているわよ』と言っていた。『マジか! 俺はやられたのか』と思ったよ」と明かし、慌ててファイティングポーズを取った経緯を説明した。

 ドネアは「ありがたいことに健康状態は悪くない」と語ったものの、モンスターの破壊力を身をもって体験したようだ。(THE ANSWER編集部)