Amazon プライム・ビデオで独占生配信 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回TKO勝ちし、日本人初の3団体王座統一に…

Amazon プライム・ビデオで独占生配信

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回TKO勝ちし、日本人初の3団体王座統一に成功した。WBAは7度目(正規王座を含む)、IBFは5度目の防衛に成功し、自身の持つ日本人の世界戦連勝記録を「18」に更新。日本人に馴染み深いWBCのバンタム級王座を奪い、4団体統一の偉業に王手をかけた。戦績は29歳の井上が23勝、39歳のドネアが42勝7敗。

 衝撃を演じたリングで井上が、勝利の凱歌を上げた。勝利インタビュー。「やりました!」と言い、喜びを表現した。

「懐かしい……2年7か月前、ここでドネアとWBSS決勝を戦って以来のこの熱気、本当に力もらいました。ありがとうございました!」

 宣言通りの圧勝劇。「自分はやる前から必ず言葉にしていたのが、『ドラマにするつもりない』『この試合は一方的に勝つ』。この結果にほっとしているし、この先、一つ上のステージにいけると思う」と振り返った。

 1回については「ドネアの左フック、開始早々もらって緊張感がついた。そのおかげで、しっかりとピリついて試合を立て直すことできた。最後の右ストレートはあまり感触なかったけど、インターバル中に映像を観たら、かなり効くタイミングで入っていた。これは自分がやってきたこと間違いないぞと思って2ラウンドに入った」

 2回については「2ラウンド目だったので、ドネアの返しの左フックだったり、パンチはまだ生きているように感じた。それほど攻め急がなかったけど、ただここで終わらせないと、この先のステージに進めないと思った。この2ラウンドでしっかりと決めようと攻めた」

 また、対戦したドネアに対しても感謝。「ドネアがいたからこそ、バンタムで輝けた。WBSS決勝から今日まで、ドネアまたWBCで返り咲き、2人のリングに上がったことがこの感動を呼んだ。ドネアに本当に感謝したい」と述べた。

 そして、今後については「まず、自分が目標としている4団体統一が年内に叶うとするなら、まだバンタム級で戦う。もし困難、または叶わないならスーパーバンタム級に上げて新たなステージで挑戦していきたい」と話した。

 試合はあっという間の瞬殺劇だった。井上は布袋寅泰の生パフォーマンスで入場した。姿を見せると、約1万8000人の大観衆が熱狂。ドネアは登場時にお辞儀を披露し、日本のファンは拍手喝采だ。待ちに待ったビッグマッチ。緊張感が充満する中、開演のゴングが鳴り響いた。

 開始直後、ドネアがファーストパンチで左フックを出して牽制。前戦から続く“13ラウンド目”だが、初回は様子を見る展開だった。井上が手を出すと、ドネアが右ストレートや左フックを返す。息詰まる攻防の中、井上の右ストレートが左テンプルを貫いた。ドネアはたまらずダウン。立ち上がったが、再開直後に初回終了のゴングに救われた。

 2回、井上が左フックを浴びせてぐらつかせた。ロープに追い詰めて猛攻。反撃に出るドネアに左ボディーを入れ、さらにダメージを与えた。最後は猛ラッシュ。2度目のダウンを奪い、早々に決着した。衝撃の展開に観衆は立ち上がって大熱狂。井上はコーナーに上がって歓声に応え、ドネアと抱擁を交わした。会場からはドネアコールも沸き上がり、敗者を称えた。

 2019年11月7日のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝以来、2年7か月ぶりの再戦。当時は井上が歴史的死闘の末に判定勝ちし、多くの海外メディアから「年間最高試合」に選ばれた。互いにリスペクトし合う間柄だが、再戦に向けて対面後はほどんど目を合わさず、握手もしなかった。

 両者ともボクシング界の主要4団体の統一を目標に掲げており、残るWBO王座はポール・バトラー(英国)が保持している。4団体統一は長いボクシング史でも世界で8人しか達成しておらず、バンタム級では初の偉業。年内にも井上とバトラー戦が実現する機運が高まっている。

 WBCの世界バンタム級王座はファイティング原田、辰吉丈一郎、薬師寺保栄、長谷川穂積、山中慎介ら名王者たちが巻いた日本のファンに馴染み深い栄光のタイトル。12戦連続防衛を果たした山中氏が17年8月にルイス・ネリ(メキシコ)に奪われたのち、ネリの体重超過による王座剥奪などを経て、井上が日本に取り戻した。(THE ANSWER編集部)