高木豊が語る「1番打者」パ・リーグ編(セ・リーグ編:「両リーグでナンバーワン」と絶賛する選手は?>>) 高木豊氏に聞く、…
高木豊が語る「1番打者」
パ・リーグ編
(セ・リーグ編:「両リーグでナンバーワン」と絶賛する選手は?>>)
高木豊氏に聞く、12球団の1番打者。前編のセ・リーグ編に続き、パ・リーグの選手たちについて聞いた。

チームの開幕ダッシュに貢献したソフトバンクの三森(左)と楽天の西川
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――まずは楽天からお聞きします。今季から加入した西川遥輝選手がほとんどの試合で1番を務めていますが、ここまでの働きぶりはどうですか?
高木豊(以下:高木) 開幕からしばらくは、文句のつけようがありませんでした。打率、出塁率がよかったですし、打点も稼いでいた。頻繁に出塁しては隙を見て走り、勝負強さもあって、開幕ダッシュに大きく貢献しましたね。ただ、5月に入ってから打率が急激に落ちて、チームも失速してしまいました。
――逆に言うと、西川選手の働きがチームを押し上げていた大きな要因だったことがわかります。1番としてのいい部分とは?
高木 ボール球を振らないこと。スイングスピードがめちゃくちゃ速いので、ボールを引きつけられて、選球眼もよくなるんです。引きつけられるといっても、本当に1、2cmぐらいの差なんですけど、それが大きいんです。
また、盗塁の技術に関してはものすごい能力を持っています。盗塁を"やめられる勇気"があるから、失敗が少ない。慎重さも兼ね備えているので、80回走ったとしたら60回は成功すると思いますよ。本来の力を出せば、ダントツで盗塁王を獲れるはずです。昨年は、盗塁王になったとはいえ盗塁数は24でした。彼にとっては少なすぎる。もっと走れますよ。
――次にソフトバンクですが、今季は三森大貴選手が1番に定着しています。5月は月間打率が.204と調子を落としていますが、開幕当初からいい働きをしてきたように感じます。
高木 昨年も1番を打つケースはありましたけど、今年はすでに6本塁打を打っていることでもわかるように、長打力が出てきました。一軍の野球、1番の打順にも慣れてきた感があります。あと、左打者なのに左投手を打つのがうまいですね。左右関係なく打てるというのは、レギュラーになる選手の条件のひとつです。
強いて言えば、出塁率を.380くらいまで上げてほしい。あとは、もう少し走れたらいいなと思います。藤本博史監督がサインを出さないのかもしれませんが、能力はあると思います。
――三森選手は1番としての雰囲気が出てきた?
高木 そうですね。特に「絶対当ててくるだろうな」というような"いやらしさ"を感じます。最初から体を少し開き気味で構えていて、そんなに引っ張るつもりはないけれど、長打が出ている。困ったら反対方向に打てるし、嫌なボールがきた時の"逃げ方"もだいぶわかってきましたよね。
――西武は鈴木将平選手が開幕から1番を務めましたが、23試合出場で打率.202、出塁率.211(6月6日時点。以下同)と低迷。以降は、源田壮亮選手(故障で離脱中)や若林楽人選手など多くの選手が起用されています。その中で1番に適任の選手は誰でしょうか?
高木 適任に近いのは源田ですが、どうしても打率が低いですね。毎年、打率.270くらいですから、出塁率が1割上がったとしても.360~.370。1番を任せるなら、もう少し出塁率を上げたいところです。足は使えますけど、打者としては下位か、バントやエンドランなど"つなぎ"に徹する2番のほうがいいかと。
1番を任せてもいいと思うのは、若林です。昨年、44試合で20盗塁している足が魅力で、ベースランニングもうまい。昨年6月に左膝を手術している影響は気になりますが、ある程度走れるのであれば、間違いなく1番に相応しいのは彼です。
――続いてオリックスですが、昨季に続き、福田周平選手が1番を務めています。
高木 昨季は交流戦で5割ぐらいの出塁率を残すなど、爆発的な力を発揮する時期がありますよね。適任であることは確かなんですけど、安定感はほしい。シーズンごとに成績がまったく違うと、ちょっと困りますからね。
――ときどき1番で起用される佐野皓大選手はどうですか?
高木 足があるのはいいのですが、性格的に1番打者じゃないのかなと思います。長打に魅力を感じているのか、なんとか出塁するというより、「ホームランを打ちたい。振って当たらなかったら仕方ない」という感じに見えてしまうんです。やはり思考が1番に適していないと、出塁率は上がってこないですよ。
――1番は何が何でも塁に出るという姿勢が大切?
高木 フォアボールやエラー、内野安打、ポテンヒット......「出塁できるならなんでもいい」と泥臭くいけるんだったらいいですけど、スマートにホームランを打ってベースを一周回って帰ってきたいという考えは、1番にはいらないです。
――ロッテは、オープン戦で首位打者と最多盗塁をマークした髙部瑛斗選手が、開幕から1番打者を務めてきました。5月27日の試合から、昨季に最多安打と盗塁王のタイトルを獲得した荻野貴司選手が復帰しましたが、安定した活躍を見せていました。
高木 髙部はいい1番打者になりますよ。ただ、1番というよりも、将来的には3番打者タイプかなと思います。バットコントロールがいいので、勝負を決められる打者になっていくんじゃないかと。今後、いろいろな投手に慣れて経験を積んでいくと打率も上がっていくはずです。あんなにバットコントロールのいい打者はそうそう出てこないですよ。
――バットコントロールのレベルが高い?
高木 高いですし、伸びしろをすごく感じます。出塁率はそれほど高くないですが.310くらいは打てる打者だと思います。足も速いですしね。ロッテとしては髙部が1番に定着し、ほかに3番を任せられる打者が育ってくれば、すごく嫌な打線になると思います。
――最後に日本ハムですが、1番打者に限らず、どの打順も多くの選手が起用されています。ただ、最近の試合では、首位打者の松本剛選手が務めることが多くなっています。
高木 1番打者をまだ決めていないんでしょうね。今年4月に(腰椎椎間板ヘルニアの)手術を受けて出遅れていますけど、僕は五十幡亮汰が適任だと思っています。12球団の中でもトップクラスの"特別な足"を持っていることは、やはり魅力的です。
五十幡のいない現状のメンバーで考えると、松本が適任でしょう。今季は打率、出塁率ともに高いですし、足もある。今は近藤健介が故障で離脱していますが、戻ってきたら、1番・松本、3番・近藤という打順が組めて得点が計算できます。
日本ハムは将来的なクリーンナップを考えると、万波中正や清宮幸太郎、野村佑希、今川優馬といった長打力を秘めた候補がたくさんいますが、1番や2番の候補が少ない。だから、今は手探り状態かもしれませんが、今後のことを考えて松本を1番で起用していくのもいいと思います。
逆に、松本がクリーンナップにいても、そこまで怖くないですよね。それなら、打率.250くらいでホームランを30~40本打つ可能性を秘めた、万波や清宮たちがクリーンナップに並ぶほうが怖い。そういった打者たちの前でチャンスメイクする役割を担うのが、松本や近藤だと思います。
(歴代最高の1番打者:世界の盗塁王、もうひとりの「バケモノ」のすごさ>>)