「スタンドにいるお客さまが座りながらでも踊れるように」 札幌ドームのイニング間、あの曲が流れてくるとスタンドがザワつき始…
「スタンドにいるお客さまが座りながらでも踊れるように」
札幌ドームのイニング間、あの曲が流れてくるとスタンドがザワつき始める。愛らしい笑顔で踊るファイターズガールにつられるように、ファンも、ベンチの選手も、思わず体が動き出す。「きつねダンス」は日本ハムの新名物として、全国レベルに人気拡大中だ。
ブームの“火付け役”となったのは、ファイターズスポーツ&エンターテインメント、イベントクリエーショングループの尾暮沙織さん。約2年前、原曲のYlvis「The Fox」をYouTubeで見つけた。球団マスコットのフレップがきつねをモチーフにしたキャラクターであることから「これはおもしろい、いつか使いたいなと温めていました」。そして今年、球場演出が一新されることから提案し、ついに構想が現実になった。
実はこの演出を実行すると決まったのは、開幕の1週間前。曲編集、振り付けとスピード感をもって進められた。原曲のミュージックビデオで使われていたきつねをイメージしたダンスをベースにしながら「さらに初見でもマネしやすく、スタンドにいるお客さまが座りながらでも踊れるようにアレンジしました。小さいお子さまからおじいちゃんおばあちゃん世代まで、誰が見てもパっとできるというのはポイントにしましたね」と尾暮さんは明かす。
初披露時は意外にも「リアクションはほとんどなくて、ポカン」
コメディータッチの曲を使うのは初めて。ファイターズガールも最初は驚きの反応だったという。本拠地開幕戦で初披露となったが、尾暮さんはその時のスタンドの雰囲気について「リアクションはほとんどなくて、ポカンとした感じで見ている方が多かったですね」と振り返った。
しかし「パーソル パ・リーグTV」公式YouTobeや球団公式YouTubeが動画を公開したことでジワジワと人気に火が付き始め、一気に浸透。ついには敵チームの選手までもが音楽に合わせて指を動かすようになった。尾暮さんは喜びながらも「ここまで反応をもらったり話題になると思ってなかったので、正直ちょっと困惑しています」と笑った。
全ての動きできつねをモチーフにしているが「手の動きが特徴的なダンスなので注目して、そこをマネしてやってもらいたい」とポイントを挙げる。きつねの耳を付けて踊るファイターズガールのキュートさも話題。「いっそ見た目からきつねになりきっちゃおうということで」という遊び心も、人気急増に一役買った。
「この曲がかかったら自然と踊りだして、球場にいる人がみんな踊っているというのが理想です」と話す尾暮さん。「一番は、恥ずかしがらずに全力で踊ってもらえれば」と願いを込めた。(町田利衣 / Rie Machida)