プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャー 児玉隆志氏インタビュー第3回 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)とWBC世界同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)の3団体統一戦が7日にさいたまスーパーアリ…

プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャー 児玉隆志氏インタビュー第3回

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)とWBC世界同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)の3団体統一戦が7日にさいたまスーパーアリーナで行われる。「モンスター」の異名を取り、世界のボクシングシーンで注目される井上の試合を独占ライブ配信するのが、動画配信サービス大手「Amazon Prime Video(アマゾン・プライム・ビデオ)」だ。4月に「日本ボクシング史上最大のビッグマッチ」と謳われた村田諒太(帝拳)とゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)のWBAスーパー&IBF世界ミドル級王座統一戦でスポーツのライブ配信に初参戦。独占配信し、スポーツビジネスの世界で強いインパクトを残した。

 映画、ドラマ、バラエティ、アニメなどのエンタメコンテンツを主軸とする同社が乗り出した「スポーツのライブ配信」の第2弾。全階級を通じた最強ボクサーランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で海外メディアにこぞってトップ3に推される29歳・井上が、マニー・パッキャオに次ぐフィリピンの英雄ドネアと2度目の対戦を迎える。同社の日本における映像コンテンツ製作と買い付けの責任者を務めるプライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャー・児玉隆志氏の「THE ANSWER」インタビュー。最終回となる第3回は「井上―ドネア戦」の配信にかける期待を明かした。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 日本のボクシングファン垂涎の試合が、またやってきた。

 井上尚弥―ノニト・ドネア。

 2019年11月、階級別の世界一を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で激突した両者の再戦。フルラウンドの死闘で井上が制し、ボクシングの聖書と呼ばれる米専門誌「リング」に「年間最高試合」に選ばれた名勝負の第2弾が幕を開ける。

「日本ボクシング史上最大のビッグマッチ」と謳われた村田―ゴロフキン戦に続き、独占ライブ配信するのが「Amazon プライム・ビデオ」だ。

 児玉氏は、期待感を隠さない。

「4月に凄い戦いを観てしまった後ではありますが、井上選手とドネア選手の2人であれば、それに勝るとも劣らない内容になると思います。井上選手はボクシング界でまだまだこれからタイトルの数を増やしていくだろう、まさにライジングスターであり、絶頂期のボクサー。今や『日本を代表するスポーツ選手を挙げて』と言われれば、野球の大谷翔平選手、サッカーの久保建英選手らとともに名前が出る存在でしょう。それほど、スポーツ界に影響力を持った選手だと思っています」

 村田の次は、井上。日本のボクシング2大スターを中継するのは、自然な流れに見えるが、前回と異なる期待もある。

「我々の調査では、村田選手と井上選手のファン層は、半分は被っていますが、半分は違うと認識しています。なので、村田選手の試合を観ていただいた人とは違う方々に『Amazon プライム・ビデオ』のファンになっていただけるんじゃないかというのが、最も大きな期待の一つです」

村田戦の認知率は25%「いかにお客様に気づいていただくか」

 第2弾のミッションは認知率の向上だ。村田戦でこれまでボクシングを観たことがなかった女性会員が視聴したケースも多く、「Amazon プライム・ビデオ」ならではの新規のスポーツファン獲得に手応えを掴んだが、満足感はない。

「村田選手の試合を観られるという(会員の)認知率はおよそ25%だったと考えています。我々の商材はすべて冷凍食品のようなもの。いつ観てもいいものばかりでしたが、スポーツは瞬間的な生もの。『何時何分、ここに来てください』という領域は扱ったことがなく、オペレーション上の挑戦でした。いかにお客様に気づいていただき、認知率を上げられるか。今までボクシングを観ていなかったライトユーザーで『じゃあ、観てみよう』という人が、それとともに増えるはずです」

 初めてのライブ配信で掴んだ収穫もある。

 すでにスポーツコンテンツで先行していた同社の海外チームの知見をもとに、「一番怖かった」という配信事故がなく、「映像が滑らかに動いていた」という高評価も得られた。ボクシングファンはシニア層も多い。村田―ゴロフキン戦では試合当日のさいたまアリーナに「Amazon プライム・ビデオはどうすれば観られるのか」という問い合わせもあったが、今回は視聴したい人の機会損失を生まないように腐心してきた。

 今後の井上戦中継について、状況次第としながら「もちろん、我々としてはこれからも関わっていきたい」と情熱を燃やす児玉氏。一方で「常に交渉はしています」と言い、ボクシング以外も2~3つのコンテンツが候補になっているという。ユーザーからの分かりやすさを求め、こだわるのは「独占配信」だ。

 村田戦、井上戦は、未来への第1ラウンドに過ぎない。「Amazon プライム」なら、月会費500円で、ショッピングも音楽も雑誌も、そして、スポーツをはじめとした動画も楽しめる――。新時代の生活に、新しい視聴のカタチを、これからも追い求めていく。

■Amazon プライム・ビデオ

 2015年9月に開始した定額制動画配信サービス。会員数は全世界2億人以上。月会費500円、年会費4900円。プライム会員は「プライム・ビデオ」のほか、Eコマースの配送特典、音楽配信などのサービスが利用できる(サービス開始日、会員費は日本のもの)。プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャーの児玉隆志氏は慶大卒業後、ニューヨーク大でMBAを取得。地上波放送業界、ウォルト・ディズニー・ジャパンなどを経て、2017年10月にアマゾンジャパンに入社。日本における映像コンテンツ製作および買い付けの責任者を務める。(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)