サッカー日本代表「パリ世代」インタビュー01藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス/MF)後編 今季横浜F・マリノスに加入した藤…

サッカー日本代表「パリ世代」インタビュー01
藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス/MF)後編

 今季横浜F・マリノスに加入した藤田譲瑠チマは、「パリ世代(2001年以降生まれ)」で構成されるU−21日本代表でも中心的役割を担うことが期待されている。

 2019年U−17ワールドカップに出場するなど、年代別代表での経験豊富な藤田は、U−21代表ではキャプテンを務めることもあり、3月にUAE・ドバイで開かれた国際大会「ドバイカップ」で優勝した際には、カップを頭上に高々と掲げた。

 20歳の藤田は、2年後のパリオリンピック出場について、さらにはその先のキャリアについて、自身の未来をどう描いているのだろうか。

「スカウトの目に止まったのは、思わぬきっかけから」

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藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)2002年2月16日生まれ

---- コロナ禍で海外遠征ができなかったおよそ2年を経て、ドバイカップは久しぶりの国際大会出場でした。

「海外のチームによくある、引いて守って奪ってからカウンターというチームがすごく多くて、環境とか、相手のフィジカル(の強さ)だったりというところも含めて、すごく新鮮というか、懐かしい感じのなかでサッカーができたので、とてもいい経験になりました。

 次のウズベキスタン(6月開催のU−23アジアカップ)もそういうチームがあると思うし、日本と比べて違う環境で試合をやることもあると思うので、そのためのすごくいい準備期間というか、自分たちの心の準備をするうえで、とても大切な時間になったかなと思います」

---- 海外遠征はいつ以来でしたか。

「2019年の(10月にU−17ワールドカップが開かれた)ブラジル以来です」

---- 久しぶりに味わった国際大会ならではの感覚というと?

「審判とのコミュニケーションがとれなかったり、日本と少し違うジャッジだったりというのは、すごく感じました」

---- Jリーグの試合では審判とも言葉が通じるけれど、国際大会だとそうはいかない。

「たとえば、危ないプレーがあった時に、日本の審判だったら少し話してくれたり、伝えやすかったりしますけど、国際大会での審判は全然話も聞き入れてくれない、みたいな感じでした」

---- 国際大会で海外の審判とコミュニケーションをとるには英語も必要だと思います。以前取材した時に「英語は得意じゃない」と言っていましたが、その後上達しましたか。

「まあ、少しは。本当に、少しです(笑)」

---- パリオリンピック出場への意識は強いですか。

「そこでしかできない経験もあると思うので、すごく出たい気持ちがすごくありますし、そこから広がる道も幅広いものになると思います。今後のサッカー人生において、とても大切な大会になるとは思っています」

---- 東京オリンピック直前のキャンプにトレーニングパートナーとして参加して、意識の変化は生まれましたか。

「オリンピックに対する意識というのは、そんなに変わったことはないですけど、サッカーに対する意識は、そのキャンプに参加できたことで変わったことは多かったかなと思います」

---- たとえば、どういうことですか。

「キャンプの最初のほうで地元の大学と練習試合をして、もちろん大学生相手にオリンピックのチームが圧勝というか、内容も圧倒して勝ったんですけど、それなのにハーフタイムのロッカーですごく多くのことを話し合っていたんです。互いの要求の質や量が異次元で、自分が今までに経験してきたどのチームよりも多かったので、衝撃を受けました。

 いわゆる格下のチームと練習試合をやった時のハーフタイムで、あんな量と質の要求を見たことがなかったし、自分も発信したことがなかった。すごい熱量を感じました。海外でやっている選手やレベルの高い選手はこういう試合でもこんなに要求するのか、と思ったのを覚えています」

---- トレーニングパートナーながら、ホンジュラスとの強化試合にもわずかな時間でしたが出場しました。

「正直、あの試合に出たことでの経験と言えるものはそんなにないんですけど、あの試合でもロッカールームでの選手たちの話し合いだったり、モチベーションの上げ方だったり、日本のためにというか、日本を代表する選手として戦う姿を見られたことは、自分にとって大きかったのかなと思います。

 自分としては(もうひとつの強化試合として行なわれた)スペイン戦にすごく出たかったんですけど、ベンチにも入れなかったのでとても残念でした(苦笑)」

---- 藤田選手は2019年U−17ワールドカップに出場し、貴重な国際経験を積んでいるわけですが、どんな印象が残っていますか。

「グループステージはすごくいい形で、無失点で1位突破(2勝1分け)できたので、自分のなかでも優勝する気持ちで臨んでいたのですが、決勝トーナメントに入って1回戦でメキシコにやられてしまったのは本当にもったいなかったです。

 そこでの相手チームとの熱量の差はすごく感じましたし、ちょっと(グループステージの結果に)過信していたところがあったのかなと、その場でも思いましたし......。とても残念でした」

---- 昨年開催予定だったU−20ワールドカップが中止になってしまい、リベンジする機会も失われました。

「自分のなかでも、楽しみにしていた大会でした。もちろん、選ばれるかどうかわからなかったですけど、U−17の時もすごく楽しかったし、そこで得た海外選手との戦い方というものをアップデートする場だとも思っていたので、すごく残念でした」

---- U−17ワールドカップに出場していた選手が、すでにヨーロッパのトップリーグでプレーしています。同世代の活躍を見ていて、どう感じますか。たとえば、スペインのペドリ(バルセロナ)とか、実際に日本が対戦した相手ではアメリカで10番をつけていたジョバンニ・レイナ(ドルトムント)とか。

「ペドリってU−17に出ていたんですか?」

---- 出ていました。グループリーグでは日本と同じ会場でも試合をしていました。

「なんか不思議ですね(笑)。でも、アメリカの10番(レイナ)に関しては、対戦した時にはそこまでレベルの差を感じなかったので悔しいとは思わないですけど、自分も早くそういう大舞台でサッカーをしたいな、という気持ちにはなります」

---- 今後の自分自身のキャリアをどう描いていますか。

「25、26歳でプレミア(イングランド・プレミアリーグ)でプレーしたい。そこから逆算して(今後のキャリアを)考えています。プレミアのなかでも、今で言うマンチェスター・シティとかリバプールとか、優勝するようなチームに入るよりも、中位くらいでそういうチームを倒せるチームに入りたいなと思っています」

---- 強いチームをやっつけることに燃えるタイプですか。

「そのほうが楽しいかなと思います(笑)」

---- 最後にひとつ、藤田選手の名前について聞かせてください。「チマ」にはどんな意味があるのですか。

「何回も親から聞いたような気がするんですけど、由来を覚えるのが苦手で(苦笑)。父がクリスチャンなので、それに関連したことだと思いますけど......。自分も不思議だなと思っていて」

---- というと。

「今まで小学校から高校まで、たとえば作文を書くにしても、自分の名前を「譲瑠」と「チマ」の間に空白を入れて書いていたのに、パスポートを見たら(空白なしで)「JOELCHIMA」ってなっているし、自分のなかでもおかしいなって最近気づいて(笑)。漢字とカタカナがくっついているのも不思議だなと思います」

---- パスポートの名前は、自分でそう登録したからでは?

「でも、パスポートを初めて作ったのは中学生の時で、ほとんどの書類を親に書いてもらいました」

---- 親としては、ミドルネームなどのように「譲瑠」と「チマ」を分けて名付けたわけではなかったのではないか、と。

「はい。だから、自分は『譲瑠チマ』っていう(ひとつの)名前なんですよ。プロに入ってから、自分の名前に気づきました。でも、みんな譲瑠って呼ぶので、よくわかんないですね。不思議です(笑)」

【profile】
藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえるチマ)
2002年2月16日生まれ、東京都町田市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は町田大蔵FCでプレー。東京ヴェルディの下部組織で能力を伸ばし、2019年9月にトップチームデビューを果たす。2021年に徳島ヴォルティスへの完全移籍を経て、2022年より横浜F・マリノスに所属。2019年U−17ワールドカップ日本代表メンバー。ポジション=MF。身長174cm、体重74kg。