初スタメンでの大活躍に「まずはチームが勝つようにと」■ソフトバンク 11ー1 広島(交流戦・28日・PayPayドーム)…
初スタメンでの大活躍に「まずはチームが勝つようにと」
■ソフトバンク 11ー1 広島(交流戦・28日・PayPayドーム)
ソフトバンクの渡邉陸捕手が衝撃の本拠地デビューを飾った。28日、PayPayドームで行われた広島戦でプロ初スタメンを飾ると、育成出身捕手は第1打席でプロ初安打初本塁打を放ち、第2打席でもソロ本塁打をかっ飛ばした。この日、4打数3安打5打点の大暴れ。試合後には「初スタメンでまずはチームが勝つようにと思って挑みました。それが結果的にホームランにも繋がったと思います」と安堵の笑みを浮かべた。
4年目の新星が本拠地のファンに強烈なインパクトを残した。1点を先制されて迎えた2回。柳町の適時打などで逆転し、なおも1死一、二塁のチャンスで渡邉陸は打席へ。広島先発の森下が投じた2球目を捉えると、打球は左翼ホームランテラス席へ飛び込んだ。プロ初安打プロ初本塁打となる3ランだった。
さらに、4回1死での第2打席では、再び森下のボールを捉えて左中間のホームランテラス席へ。プロ初本塁打から2打席連発となる2号ソロに本拠地もどよめいた。7回の第3打席でも三遊間を破る適時打。プロ初安打、初本塁打、初打点、初の2打席連発、初の猛打賞……。“初モノづくし”で強烈なインパクトを残し、チームの大勝に貢献した。
「多少は緊張はありましたけど、みんな先輩方もスタッフの方も『頑張れ』と声をかけてくれました。試合に入る前は緊張しましたけど、試合に入ってからはそんなに緊張なくプレーできました」。リード面でも、先制点こそ奪われたものの、同じ育成出身の大関友久投手をリード。7回1失点の好投に導いた。攻守で初スタメンとは思えぬ存在感を示していた。
捕手を辞めようと思っていた渡邉陸に岩井スカウト「捕手で獲ったんだから」
センセーショナルな初スタメンとなった渡邉陸だが、一時は捕手を辞めようとしていた時期もある。2018年の育成ドラフト1巡目で鹿児島の神村学園から入団したものの、もともと、腰に不安を抱えていた。捕手の練習をこなすと、腰に痛みが出た。育成2年目の2020年頃は、この肉体的な不安から、捕手を続けることを諦めようと思っていた。
そんな渡邉陸の気持ちを思い止まらせてくれたのは、プロ入り時の担当スカウトだった岩井隆之氏だった。ある時、岩井スカウトに言葉をかけられた。「お前のことはキャッチャーとして獲ったんだから」。この一言に胸を打たれた。「キャッチャーで獲ってもらったんだから、キャッチャーで活躍したい」。捕手としてプロ野球の世界で勝負していくことを、改めて決意した瞬間だった。
腰の不安を無くすためにトレーニングに励み、武器であるバッティングも磨いた。昨秋のキャンプでは小久保裕紀2軍監督から、テークバックで二度引きする悪癖を指摘された。オフの間に徹底して修正。「オフの間に自分で練習して直してきた。これはなかなかできない」と小久保2軍監督も驚くほどの成長ぶりを見せた。
オフに自主トレを共にした中村晃外野手からも、そのポテンシャルを絶賛されていた渡邉陸。あの時、岩井スカウトからの“言葉”がなかったら……。この日のセンセーショナルな活躍もなかったかもしれない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)