2021-22ラ・リーガベストイレブン MF&FW編  GK&DF編はこちら>>レアル・マドリードが、2シーズンぶり通算…

2021-22ラ・リーガベストイレブン MF&FW編  GK&DF編はこちら>>

レアル・マドリードが、2シーズンぶり通算35回目の優勝を達成したラ・リーガ。今季の各チーム、選手のプレーぶりを自国スペイン人の記者はどう見ているか。スペイン最大手スポーツ紙マルカのマリオ・コルテガナ記者に、今季のベストイレブンを選出してもらった。まずは、MFとFWの選手を紹介する。

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スペイン人記者が選んだ、ラ・リーガベストイレブン

苦境のバルサを支えた天賦の才能

MF/ペドリ(バルセロナ/スペイン)

 今季は、ペドリがトップレベルの選手であることを再認識させられるシーズンだった。怪我に苦しみリーガ出場数が12試合と少ないながらも、中盤での効果的なプレーは人目を引き、ベストイレブン選出に値した。

 彼にボールが集まるのは、それを決して失わないことを皆がわかっているため。ピッチ上のあらゆる場所、とくに攻撃の最後の局面における視野の広さは天賦の才能である。またリオネル・メッシが退団し、シャビ・エルナンデスが監督に就任したことでシュートチャンスが増え、よりよい結果を残せるようになった。

 昨年12月まで、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権を逃すのではないかと危惧されていたバルサが、歴史的な嘲笑を浴びずに済んだのは、ペドリの功績が大きかった。

 ユーロと東京五輪にも参加した昨季の過密日程がたたり、今季開幕直後に重傷を負い、リーガ復帰を果たしたのは1月末だった。その後、ペドリを擁したチームは一気に調子を上げていき、リーガ10戦連続無敗を達成して9試合で勝利を収めた。

 一方、ペドリが先月、再び戦線離脱したあと、バルサが8試合のうち4試合しか勝てていないのは、彼の存在の大きさを示すものとなっている。



少ない出場数ながら強烈な活躍を見せたペドリ photo by Getty Images

MF/ルカ・モドリッチ (レアル・マドリード/クロアチア)

 レアル・マドリードのリーガ優勝はモドリッチ抜きに成し得なかっただろう。

 シーズン序盤はそのパフォーマンスの低さにより、今季がラストイヤーになるのではないかと思われていた。しかしそこから本来の力を取り戻し、最終的には2023年までの契約延長が決定したことで世界中のサッカーファンを喜ばせた(※正式発表はまだ行なわれていない)。

 バロンドールを受賞した時のように、36歳にして今なおチームの頭脳となり、ゲームのリズムを作り出す役目を担った。また先のレバンテ戦では華麗なパスで3アシストを記録し、正確無比な右足アウトサイドを武器にリーガ屈指のパサーとして君臨し続けている。

チームの中心として活躍

MF/ダニエル・パレホ(ビジャレアル/スペイン)

 パレホは33歳にして、まだまだ成長できると証明してみせた。ウナイ・エメリ監督に、今季とくに多く起用された選手のひとりとなり、チームの中心的な役割を果たした。

 ボランチの位置から巧みなゲームメイクを見せただけでなく、積極的に高い位置でもプレーし、敵陣でのパスがリーガで4番目に多い選手になったのは評価に値する。

 パレホがリーガ開幕からの3試合を欠場し、チームがそのすべてで引き分けに終わったことは、彼の重要性を示す一例となっている。

 またビジャレアルが今季、レアル・マドリードやアトレティコ・マドリード相手にリーガで一度も負けなかったことや、CLでベスト4まで進出したことは、パレホのベテランとしての経験が大きく影響した。

MF/ナビル・フェキル(ベティス/フランス)

 今季、ヨーロッパリーグでサポーターに夢を与え、コパ・デル・レイに優勝し、さらにCL出場権獲得まであと一歩というところまで迫ったベティスの勇姿は、今後も長く記憶されるはずだ。そしてその成功を収めた最大の要因は、フェキルの存在だろう。

 柔軟さと力強さを兼ね備え、安定したパフォーマンスでチームの大黒柱となり、マヌエル・ペジェグリーニ監督の絶大な信頼を得ていた。

 被ファール数がトップ、デュエル勝利数、クロス成功数がそれぞれ2位と、リーガ最高峰の攻撃的MFと言っても過言ではない。シーズンを通じて相手チームにとって大きな脅威となっていた。

FW/イアゴ・アスパス(セルタ/スペイン)

 イアゴ・アスパスはベテランらしくシーズンを通じてすばらしい決定力を発揮し続け、18ゴールでリーガのスペイン人得点王に贈られるサラ賞を獲得。今回が4度目の受賞で、ダビド・ビジャ(元バレンシア、バルセロナなど)の最多記録に並んだ。

 攻撃のどんなポジションにも、どんな試合のシナリオにも適応できるワイルドカードである。

 ペナルティーエリア内でゴールへの嗅覚を発揮するだけでなく、ボールを受けるために中盤まで下がって攻撃を組み立て、サイドから縦に深いところまで進入してアシストも記録した。

 セルタのレジェンド、アレクサンドル・モストボイ(ロシア)が以前、クラブ史上最高の選手としてイアゴ・アスパスを指名したことは何の不思議もない。

34歳にしてバロンドール級

FW/カリム・ベンゼマ (レアル・マドリード/フランス)

 34歳にしてバロンドール受賞に値する程のパフォーマンスを披露しているベンゼマを、どのような言葉で語ればいいのだろうか。

 クリスティアーノ・ロナウド退団後、キャプテンシーを発揮し、さらなる進化を続けている。"エル・ガト(猫:ベンゼマの愛称のひとつ)"は27ゴールを決め、ずっとメッシとロナウドに阻まれてきたピチチ賞(リーガ得点王)を今季、初めて受賞した。

 ベンゼマは9番(CF)と10番(攻撃的MF)の役目を果たせるオールラウンドプレーヤーだ。 時として彼を"10番の選手"と呼ぶのは、とくに左サイドで下がった時にゲームの流れを作る能力を備えているからだ。

 一方、本来の"9番の選手"としてはペナルティーエリア内で常に危険な存在になっている。彼は以前「完璧な選手になりたい」と言っていたが、間違いなくすでにそうなっている。

FW/ヴィニシウス(レアル・マドリード/ブラジル)

 ヴィニシウスは、今季のリーガで最も成長著しい選手だった。

 昨夏、コパ・アメリカへの参加でプレシーズン期間が短かったこともあり、シーズン開幕後は控えだったが、ガレス・ベイルの怪我やエデン・アザールのパフォーマンスの悪さにより、レギュラーの座をすぐさま射止めた。

 シーズンが進むにつれ、これまでになかった決定力の高さやゴール前での冷静さを身につけて急成長し、リーガでラウール・デ・トマース(エスパニョール)と並ぶ17ゴールを決め得点ランキングで3位となった。

 また、ウスマン・デンベレ(バルセロナ)と並び、PK獲得数を含んだアシスト数でリーガ最多の13回を記録し、大きな武器であるドリブルの成功数はダントツのトップと、レアル・マドリードの左サイドで圧倒的な存在感を放っていた。