5月29日、東京競馬場で3歳馬によるGⅠ日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。 3歳ナンバーワン決定戦であり、「競…
5月29日、東京競馬場で3歳馬によるGⅠ日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。
3歳ナンバーワン決定戦であり、「競馬の祭典」とも呼ばれるビッグレース。皐月賞馬のジオグリフと同2着のイクイノックス、2歳王者ドウデュース、GⅠホープフルSのキラーアビリティをはじめ、GⅡ青葉賞のプラダリア、GⅡ弥生賞ディープインパクト記念のアスクビクターモア、GⅡ京都新聞杯のアスクワイルドモア、GⅢ毎日杯のピースオブエイト、GⅢ共同通信杯のダノンベルーガなど、実績馬が順調に調整されてここに臨んでくる。

GⅠ初制覇を狙うジャスティンパレス
このレースを血統的視点から分析していこう。日本ダービーと相性がいい種牡馬といえば、断然、ディープインパクトだ。2018年から昨年まで、ワグネリアン、ロジャーバローズ、コントレイル、シャフリヤールと4連覇中で、合計は7勝。さらに2着が3回、3着も3回と、48頭が出走して13頭が馬券に絡んでいる。
その多くは人気を集めた有力どころだが、2019年に12番人気で勝ったロジャーバローズ、2018年に5番人気で勝ったワグネリアン、2012年は7番人気のトーセンホマレボシが3着に入るなど、それほど人気のない馬の好走も少なくない。視野を広く見て探していこう。
今年のディープインパクト産駒はアスクビクターモア、キラーアビリティ、コマンドライン、ジャスティンパレス、プラダリア、ロードレゼルの6頭が登録。なかでも筆者が注目するのはジャスティンパレス(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。
同馬は昨年9月のデビュー戦(中京・芝2000m)で勝ち上がり、続く黄菊賞(阪神・芝2000m)も勝って連勝。GⅠホープフルS(中山・芝2000m)で2着のあとに皐月賞に向かい、0秒8差の9着に終わっている。
その皐月賞は、内容的には決して悲観するものではなかった。スタートで出遅れて後方からの競馬になり、外を回って徐々にポジションを上げたが、直線では他馬に寄られてややフラついて伸びを欠き、追うのを止めるようなシーンがあった。力を出しきったとは言えず、スムーズな競馬ならもっと上位に入ったはずだ。
新馬戦、黄菊賞は2番手から叩き合いを制したように、本来は先行力も勝負根性もあるタイプ。ひと叩きして調子は上向いているようで、うまくスタートを決めれば十分勝負になるだろう。
ジャスティンパレスは血統も素晴らしい。半兄パレスマリス(父カーリン)は米クラシックの最終戦・米GⅠベルモントS(ダート12F)の他、マイルの米GⅠメトロポリタンH(ダート8F)も勝った、スタミナとスピードを兼備する名馬。さらに現5歳の半兄アイアンバローズ(父オルフェーヴル)は、GⅡステイヤーズSとGⅡ阪神大賞典で2着、GⅠ天皇賞・春で5着というステイヤーだ。
母の父ロイヤルアンセムは、加GIカナディアン国際(芝12F)など芝10F85y~12FのGⅠを3勝。母系の血からも距離延長は間違いなくプラスに働くだろう。
2頭目は過去の傾向でなく、今年の平地GⅠの血統的傾向から占ってみよう。今年の桜花賞以降のGⅠは、「非サンデーサイレンス系でキングカメハメハの孫」という血統馬が6連勝中。サンデーサイレンス系が勝てないレースが続いている。
今回、この条件に当てはまるのは皐月賞馬ジオグリフなど3頭いるが、今回はあえて、ジオグリフと同じ父ドレフォン、母の父キングカメハメハというデシエルト(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)を狙ってみたい。
同馬はデビューからの3連勝で若葉S(阪神・芝2000m)を勝利。皐月賞はパドックでも落ち着きを欠いていたが、スタート直後も落馬寸前のつまずきでリズムを崩した。2番手先行も失速して16着惨敗と、明らかな敗因があった。
父ドレフォンは米GⅠBCスプリントを勝ったダートのスプリンターではあるものの、GⅠ秋華賞3着のアロマティコから皐月賞馬ジオグリフを出したように、母の特徴をそのまま出すタイプの種牡馬にも思える。また、デシエルトの母アドマイヤセプターも芝1200mのGⅢ京阪杯で2着に入ったスプリンターだが、その全弟ドゥラメンテは、今年に入り、父として天皇賞・春のタイトルホルダー、牝馬2冠のスターズオンアースを出して大ブレイク。この"血の勢い"に乗るのもありだろう。
以上、今年の日本ダービーはジャスティンパレス、デシエルトの2頭に期待する。