ソフトバンクが「3度目の危機」に襲われた。16日のオリックス戦(京セラD)でアクシデントは起きた。この日の先発は侍ジャパンとしてWBCに出場し、一躍、その名を世界に知らしめた千賀滉大。前週と同じくオリックスのエース金子千尋との息詰まる投手戦…

ソフトバンクが「3度目の危機」に襲われた。16日のオリックス戦(京セラD)でアクシデントは起きた。この日の先発は侍ジャパンとしてWBCに出場し、一躍、その名を世界に知らしめた千賀滉大。前週と同じくオリックスのエース金子千尋との息詰まる投手戦が展開されるものと思われていた。

■千賀がオリックス戦で緊急降板、今後の動向が不透明に

 ソフトバンクが「3度目の危機」に襲われた。16日のオリックス戦(京セラD)でアクシデントは起きた。この日の先発は侍ジャパンとしてWBCに出場し、一躍、その名を世界に知らしめた千賀滉大。前週と同じくオリックスのエース金子千尋との息詰まる投手戦が展開されるものと思われていた。

 だが、その予想は、すぐに消し去られてしまう。初回、先頭の武田を右飛に取ると、駿太を打席に迎える。見逃し2球で簡単に追い込んだが、そこから粘られ、8球目でようやく空振り三振に奪った。ここで佐藤義則投手コーチが、トレーナーを伴って慌ててマウンドへ。一言、二言交わすと、千賀はトレーナーに付き添われてベンチへと消え、そのままマウンドへ戻ってくることはなかった。

 しばらくして、工藤公康監督は石川柊太への交代を告げた。わずか9球。大黒柱の緊急降板は、チームの非常事態を表していた。球団の発表によると、右腕は背中の違和感を訴えたようで、試合中に大阪市内の病院へと検査へ向かった。

 現状では、その診断結果等は明らかになっておらず、症状や全治等の詳細は不明だ。ただ、今季ここまで5勝を挙げ、ソフトバンクの大黒柱として奮闘してきた千賀が離脱となれば、その影響は計り知れない。既に、昨季の最多勝・和田毅が左肘の張り、そして2年連続2桁勝利を挙げてきた武田翔太が右肩の炎症で離脱中。開幕ローテ投手から、3人が離脱する異常事態となるのだ。

■千賀の代役候補は…

 和田と武田の離脱は、摂津正、そして中継ぎから配置転換された寺原隼人をローテに入れ、何とか凌いできたソフトバンク。左右の両輪を欠きながら、チームは2位まで浮上し、改めてその強さを見せつけてきていた。

 では、千賀が離脱となった場合、その代役は誰が務めるのか。

 その筆頭候補には、山田大樹の名前が挙がる可能性が最も高い。ちょうどオリックス戦が行われていた同時刻、2軍本拠地のタマホームスタジアム筑後で今季初のナイターで行われたウエスタンリーグの中日戦で左腕は先発。6回を投げて4安打の好投。2点を失ったものの、これは味方の失策が絡んだものであり、自責点はゼロだった。

 現在、ウエスタンリーグで先発している中で、最も安定感があるのは山田である。4月30日の広島戦(由宇)で9回4安打1失点で完投するなど、ここ4試合で28イニングを投げて自責点はわずかに2。防御率0.64をマークしている。

■山田自身は1軍登板“渇望”、千賀離脱の場合に救世主に?

 もう1人のベテラン左腕、大隣憲司は14日の阪神戦(上富田)で5回13失点と大炎上しており、現状では山田の方が状態がいい。

 ここまで安定した投球を続けながら、上からのお声がかからない状況。「状態がいいとは思っていないし、1軍でやらないと分からない。(2軍で抑えても)意味がないといえば、意味がない。いいかどうか実感しづらいし、これが正解かどうか分からない」と山田自身も、1軍での登板に飢えている。

 その他に候補に挙がるとすれば、オリックス戦で2番手で登板した石川か、1軍で中継ぎ待機している松本裕樹、そして17日のウエスタンリーグ中日戦(タマスタ筑後)で先発予定の高橋純平、同じく18日の同戦で先発予定の笠原大芽といったところか。

 千賀が軽症であることが1番だが、離脱となった場合、誰がチームの救世主となるだろうか。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani