小笠原歩(北海道銀行フォルティウス)、藤澤五月(LS北見)、松村千秋(中部電力)、小穴桃里(富士急)、北澤育恵(中部電力)、藤澤五月(ロコ・ソラーレ)、吉村紗也香(北海道銀行フォルティウス)――。 これは、2014年ソチ五輪の翌シーズン、…

 小笠原歩(北海道銀行フォルティウス)、藤澤五月(LS北見)、松村千秋(中部電力)、小穴桃里(富士急)、北澤育恵(中部電力)、藤澤五月(ロコ・ソラーレ)、吉村紗也香(北海道銀行フォルティウス)――。

 これは、2014年ソチ五輪の翌シーズン、2015年以降の日本カーリング選手権を制したスキップ、あるいはフォースの名前を並べたものだ(チーム名や所属は当時のもの)。

 藤澤こそ2度の優勝を果たしているが、ここ最近は毎年、勝者が目まぐるしく入れ替わってきた。優勝候補がその実力を存分に示した大会もあれば、本命と目されたチームがアイスの読みに苦しんで敗れたり、ダークホースが躍進して戴冠を遂げたりした年もある。

 それでもこの間、メンバーやチームの状況は違うが、表彰台を独占してきたのは、ロコ・ソラーレ、フォルティウス、中部電力、富士急の4チーム。これらが「4強」と呼ばれる所以だ。

 迎えた今年、5月22日から行なわれる第39回 全農 日本カーリング選手権(北海道北見市・アドヴィックス常呂カーリングホール)も、これら「4強」が中心となることは間違いない。

 昨年の決勝でしのぎを削ったスキップ2人、フォルティウスの吉村が「毎年、レベルが上がっていっている」と言えば、それに同意してロコ・ソラーレの藤澤が「どこが勝つか、本当にわからない」と語るとおり、今年の大会は過去最高レベルかつ、過去に例を見ない熾烈な争いとなるだろう。

 そんななか、最も注目を集めるのは、やはり北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレだ。

 技術面、戦術面で世界レベルを誇り、ホームリンクというアドバンテージもある。長いシーズンを過ごしてきた勤続疲労だけが気がかりだが、大きな不安は見当たらない。



北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレ

 昨年9月の五輪代表決定戦で先に2勝を挙げてロコ・ソラーレを追い込んだ、前回王者のフォルティウスも万全の準備を整えてきた。

 例年よりも長いシーズンを送ってきたこともあって、シーズン途中でしっかり基礎に取り組む時間も作ってきたという。その結果、「投げのまとまりがよくなった」とセカンドの近江谷杏菜は手応えを語る。

 新メンバーであるフィフスの小林未奈を除けば、4選手が常呂町出身。"準ホーム"で戦えることもプラスに働くだろう。昨年同様、うまく流れに乗ることができれば、2014年の中部電力以来8年ぶりの連覇も夢ではない。

 3月の世界選手権(カナダ・プリンスジョージ)を戦ってきた中部電力も、3年ぶりの優勝を虎視眈々と狙う。今季半ばから、これまでバイスでフォースだった北澤育恵をスキップに固定。彼女を中心としたチーム作りにギアを入れ直した。

 世界選手権は新型コロナウイルスの陽性者が出たことで途中棄権となってしまったが、6勝を挙げるなどポテンシャルの高さは存分に示した。勝負強い北澤までショットをつなぐことができれば、勝機は十分だ。

 富士急はスキップの小穴桃里が第一子を妊娠。今大会はリザーブに回って、苫米地美智子→石垣真央→小谷有理沙(スキップ)→小谷優奈というラインナップで戦う。

 北海道銀行フォルティウス在籍時にソチ五輪にも出場している苫米地は、ミックスダブルスの世界選手権に日本人最多の4度出場。安定したドローに定評があり、セットアップの部分でアドバンテージを作る場面が増えるだろう。となれば、石垣、小谷有の4投でしっかりと強い石を作りたいところだ。

 昨夏のどうぎんクラシックでは、フォルティウス、中部電力、ロコ・ソラーレのすべてに土をつけて初優勝を飾ったが、その時にMVP級の活躍を見せたのが小谷優だった。好調を維持する小谷優と、吉村、北澤、藤澤らの投げ合いは、間違いなく今大会のハイライトになるだろう。

 五輪銀メダルチーム、アジア王者、世界選手権代表、そしてその3チームすべてに土をつけたダークホース。役者はそろった。しかも、 初日からロコ・ソラーレvs中部電力、2日目には富士急vsフォルティウスといった具合で、ほぼ毎日、「4強」同士の試合が組まれている。

 息をつく暇のない濃厚な8日間の激闘。長い、長いシーズンの最後に笑うのは、はたしてどのチームだろうか。