世界を相手に戦う選手の体を支えるのは、科学的な知見に基づいた普段の食事である。これを常日頃からサポートするのがニュートリションスペシャリスト(管理栄養士)だ。日々変化するアスリートの心身を把握し、より良いパフォーマンスに導いている。

 今回は、ブレイキン代表選手として世界で戦うRAM選手と、効果的な栄養補給で強い身体づくりに貢献する管理栄養士の高倉弥希さんに話を聞いた。2024年パリオリンピック競技大会での活躍が期待されるRAM選手を、どのようにサポートしているのか。2人が活動拠点として使用するトレーニング施設『森永製菓inトレーニングラボ』でその全容を紐解いていく。

選手ありき、トレーナーありきの栄養戦略

 森永製菓inトレーニングラボの特徴は、選手1人に対しトレーナーと栄養士が1人ずつ担当してチームとなってサポートする環境があることだ。高倉さんはそのメリットについて語る。

「栄養士の役割は食事の提供や献立を考えることがイメージされやすいですが、森永製菓inトレーニングラボは選手と一緒に作り上げてきます。栄養でどうアプローチをしたら良いのかは選手ありきですし、トレーナーありきです。栄養士だけが独立せず、みんなでより良いサポートを考えて追及して取り組んでいく体制はなかなかないと思います。トレーニングや練習の過程、強度、疲労が溜まりやすい時期などが、近くで見ているとわかりやすいので、そこを理解してアプローチできるのはここの強みかなと思います」

 また、実戦の場を細かく想定して計画を立て、指導するのも栄養士の重要な役割だ。RAM選手のサポートを始めたのは最近であるため、現在はより細かく探りながら方向性を決めている。

「大会当日の栄養補給の仕方を細かく計画を立てて、試合の前に何をとっていくかとか、そこも今色々試合がある中で、細かく相談して決めているところです。日々ヒアリングで『体調どう?』とか『お腹の調子どう?』とコミュニケーションをとって、その時々によって課題の抽出や、目標に向けて何をしていったら良いのかを作っています」

“心の栄養”としての食事サポート

 課題の改善にも取り組んでいる。RAM選手は「力強さや勢いの良さは自分の取り柄なんですけど、逆に女性らしさっていうのは自分には足りないところだと思っているので、体型からでも自分の欠点、足りないところを補っていきたいです」という。一方、高倉さんは、「RAM選手が目指すものをサポートすることが一番大事だが、それに加えて“心のサポート”もしたい」と続ける。

「食事って色々な役割があって、おいしく食べることもそうですし、ゆっくりリラックスできるのも食事の良いところです。栄養士として、心の栄養としてもサポートするような提案をしたいですね」

 戦い続けるRAM選手を包み込むような温かいサポートとコミュニケーションが、栄養満点の食事を介して行われている。

「やはり自分のことを知らないと、それが合っているか、本当にやるべきことなのかっていうのがわからないと思います。栄養をコントロールするとなったときに、まず自分を知ることがキーポイントだと思います。常に体は変化する可能性があります。夏場なのか冬場なのかで気温や湿度が異なりますし、それによって食欲が変化したり、体の代謝が変わったりもします。自分の体と対話しながら栄養管理をしていくことが重要です」

 高倉さんは、栄養管理の大切さについてこのように話した。森永製菓 in トレーニングラボの心身ともに健康的な栄養サポートが、日々闘うのはもちろん、1人の人間として生きていくRAM選手の人生を彩っている。

写真左:中嶋杏菜さん(パフォーマンススペシャリスト)。中央:RAM選手 右:高倉弥希さん(ニュートリションスペシャリスト)。

RAM
2001年4月11日生まれ、神奈川県出身のブレイカー(ブレイクダンサー)。2018年第3回ユースオリンピック競技大会女子ブレイキン金メダリスト。ダンサーネームをRAMとし活動する。

中嶋杏菜(なかじま・あんな)
びわこ成蹊スポーツ大学卒業。パフォーマンススペシャリスト。

森永製菓inトレーニングラボ
inブランドが契約するトップレベルのアスリートを最先端のトレーニングや栄養指導などを通じてサポートする施設。
〒135-0091 東京都港区台場2-3-2 台場フロンティアビル1階
URL:https://www.morinaga.co.jp/in/support/labo/