各国の首都には、サッカーのビッグクラブがつきものだ。日本の首都・東京にも、J1だけではなくさまざまなカテゴリーで戦うク…

 各国の首都には、サッカーのビッグクラブがつきものだ。日本の首都・東京にも、J1だけではなくさまざまなカテゴリーで戦うクラブが存在する。やはり多くのクラブが集うロンドンのように、東京が「サッカーの大都市」になる日は来るのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■土地取得が難しい東京

 東京都のクラブが、将来Jリーグ入りを目指すとすれば、スタジアム問題は大きな障害になる。

 武蔵野が、かつて武蔵野シティFCとしてJ3リーグ加盟を目指していた時期にも、スタジアム改修は大きな問題となった。武蔵野市立陸上競技場は武蔵野市役所の目の前にあるスタジアムだが、メインスタンド以外は今でも芝生席だけで夜間照明もない。そして、武蔵野市はスタジアム改修には消極的だった。

 東京都内では、他競技と競合することもあるので自治体(市や区)がサッカークラブに優先的にスタジアムを使用させることも、サッカークラブのためにスタジアム改修をすることも難しいのかもしれない。だからといって、自治体以外の主体がスタジアムを新設するとしても、それに適した土地の取得は相当に難しい。

■他競技との競合も考慮して…

 東京23FCは、東京東部を本拠として活動しており、江戸川区立陸上競技場をメインとして使用しているが、JFLに加盟したばかりのクリアソン新宿は、東京西部のいくつかのスタジアムを転々としている。JFLでの初めてのホームゲームを開催した駒沢陸上競技場は世田谷区にあり、東京スタジアム西競技場(AGFフィールド)は調布市にある。つまり、チーム名に反して新宿区には彼らが使用できるスタジアムが存在しないのだ(新宿区には1つだけ大規模な大会を開催できるスタジアムが存在するが、使用料が超高額なのでJ1のトップリーグのクラブでさえ、常時使用することができない)。

 将来、数多くの東京のクラブがJリーグで戦うようになるためには、いくつかのクラブが共同で(できれば、自治体も巻き込んで)サッカー専用スタジアムを建設することは必須だろう。娯楽が多く、プロ野球やBリーグとの競合もある東京で多くの観客を動員するためには観戦環境の良い専用スタジアムが絶対に必要なはずだ。

■関東リーグを侮るべからず

 現在関東リーグで戦っている東京ユナイテッド、東京23FC、そして今シーズンから関東1部に昇格した南葛SCにとっては、関東リーグを勝ち抜いてJFLに昇格することも難事業だ。

 なにしろ、関東リーグ1部には東京の3チーム以外にも、千葉県のブリオベッカ浦安やVONDS市原FC、栃木シティFCなど本気でJFLへの昇格、そしてJリーグ加盟を目指しているチームが目白押しで競争は激しい。

 今シーズン、関東リーグ1部に昇格したばかりの南葛SCは稲本潤一今野泰幸関口訓充といったかつてJ1リーグで活躍した選手多数を獲得して注目を集めているが、第5節までを終了した時点で2分3敗、10チーム中9位と苦戦を強いられている。

 関東リーグというのは、それほど勝ち抜くことが難しいリーグなのだ。

 JFL昇格のためには全国各地の地域リーグ優勝チームを集めた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」で2位以内に入る必要があるが、そのチャンピオンズリーグに出場するためには、様々な例外はあるものの基本的には関東リーグ1部で優勝しなければいけないのだ。

 そして、チャンピオンズリーグ自体も非常に複雑なレギュレーションの下、中1日の連戦で勝敗を決する大会なので勝ち抜くことは至難の業となる。クリアソン新宿のように、関東リーグ1部をわずか2年で通過するというのは奇跡に近いと言ってもいい。

 いずれにしても、東京はそれほど簡単にロンドンにはなれそうもないのである。

(※)クリアソン新宿は5月16日、10月9日のJFL第24節の鈴鹿ポイントゲッターズ戦を新宿区の国立競技場で開催すると発表した。

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