ほさかななさんは小学時に東京都大会でMVPを受賞 スラッガーのような豪快なスイングで注目されている野球女子がいる。現役大…

ほさかななさんは小学時に東京都大会でMVPを受賞

 スラッガーのような豪快なスイングで注目されている野球女子がいる。現役大学生、ほさかななさん。素振りの動画をSNSにアップすると、あっという間に野球ファンの間で話題となった。そのスイングは、東京都の大会でMVPを受賞した小学生時代につくり上げられた。一度は野球が嫌になった挫折を乗り越え、自分だからできる方法で女子野球を広めようとしている。

 わずか4秒の動画。豪快に振り抜いている1キロのマスコットバットは小学高学年からの相棒だ。2年半前、日課としている素振りの動画を何気なくツイッターに投稿したほさかさんの存在は瞬く間に野球界へ知れ渡った。

「特別なことをしたわけではないのに反響が大きくて驚きました。『女子のスイングとは思えない』、『かっこいい』など、たくさんのコメントをいただきました」

 4月に大学4年生になったほさかさんは現在、軟式と硬式2つのチームでプレーしながらYouTubeを中心に女子野球を広めている。野球を始めたのは小学3年生の時。地元・東京都の少年野球チームに入った。小学5、6年生では江東区の女子選抜チームのメンバーに選出。4番、捕手、主将とチームの中心選手だった。都大会で優勝した際はMVPにも選ばれている。当時について「三振か長打、本塁打を警戒される打者でした。女子のスイングではなかったと思います」と振り返る。

1キロのマスコットバットを使って毎日5時間打撃練習

 今、話題になっているスイングは、この頃に磨かれた。ほさかさんが所属していた少年野球チームのコーチが、そのスイングに惚れ込んだ。平日の夕方になると、ほさかさんの自宅を訪れた。1キロのマスコットバットで素振りをしたり、駐車場にネットを張ってシャトルや柔らかいボールを使って打撃練習をしたり、ほぼ毎日5時間ほどバットを振ったという。ほさかさんは「本塁打を打てたのも、今のスイングがあるのも、その時の練習があったからです」と明かす。

 中学では中高一貫の学校に進み、女子硬式野球部に入った。打力は大きな武器となり、高校では1年生から試合に出ていた。しかし、高校3年生になった時、野球人生で初めての挫折を経験する。チーム方針が小技を多用する「スモールベースボール」に変わり、ほさかさんは出場機会を失った。

「私の力不足もありましたが、細かい野球ができる選手がチームにフィットしていました。チーム全体でスイングをコンパクトにするようになる中、豪快にバットを振る自分のスタイルを変えたくない思いを捨てられませんでした。野球が嫌になって辞めようと思いました」

 高校最後の全国大会は、途中出場で何度かグラウンドに立っただけだった。ほさかさんは野球を辞めて、大学では好きなアニメのキャラクターの影響からラクロスに挑戦しようと決めていた。ところが、野球との縁は続く。クラブチームを立ち上げた先輩から声をかけられて、体験会に参加。そこで、もう一度野球をやりたいと思う出会いがあった。

体験会で掛けられた監督の言葉で取り戻したスイングへの自信

「監督に打撃を評価してもらって自信がつきました。『豪快なスイングが魅力なんだから、ひたすら飛ばせ』と久しぶりに言われて、思い切りスイングしてもいいんだと救われました」

 女子硬式野球クラブチーム「東京BRILLIANT」(現在活動休止中)の監督にトレードマークのフルスイングを認められ、バットを振る喜びを取り戻した。ほさかさんはチームに入団し、再び野球のある日常を送ることになった。そして、野球の楽しみや女子野球を知ってもらいたい気持ちが強くなった。プロ野球選手を夢見た中学、高校時代とは違って競技者としては一線を退いたからこそ、新しい思いが芽生えていた。

「今までは結果を出したくてバットを振っていましたが、見せ方を意識するようになりました。中田翔選手のように空振りで歓声が上がるスイングを見せたい。1つの作品になるような選手になりたいと思っています。見せる野球で女子野球を広める方法があってもいいんじゃないのかなと考えています」

 どん欲に結果を追い求めるスタイルから「見せる野球」へ。現役大学生の野球女子ほさかさんは、特徴を生かした情報発信で女子野球の認知度を上げ、裾野を広げようとしている。(間淳 / Jun Aida)