レンジャーズのダルビッシュ有投手への注目度が米国で日に日に高まっている。チームは現在6連勝中で、ア・リーグ西地区2位まで浮上してきたものの、ここまで19勝20敗の借金1。トレード期限の7月までにプレーオフ進出が厳しい状況になったら、他球団か…

レンジャーズのダルビッシュ有投手への注目度が米国で日に日に高まっている。チームは現在6連勝中で、ア・リーグ西地区2位まで浮上してきたものの、ここまで19勝20敗の借金1。トレード期限の7月までにプレーオフ進出が厳しい状況になったら、他球団から有望な若手を獲得するために、今季限りで6年契約が満了するエース右腕をトレードに出すとの見方が強い。

■レンジャーズは6連勝と“復調”気味も…「大きな問題を抱えている」

 レンジャーズのダルビッシュ有投手への注目度が米国で日に日に高まっている。チームは現在6連勝中で、ア・リーグ西地区2位まで浮上してきたものの、ここまで19勝20敗の借金1。トレード期限の7月までにプレーオフ進出が厳しい状況になったら、他球団から有望な若手を獲得するために、今季限りで6年契約が満了するエース右腕をトレードに出すとの見方が強い。

 一方で、レンジャーズとダルビッシュは強い信頼関係を築いているため、放出の可能性は低いとの報道もある。「FOXスポーツ」の敏腕記者、ケン・ローゼンタール氏は両者が「『ユニークな関係』を築いている」と表現していた。

 そして、トレードに出すにはダルビッシュが「良すぎる」とする報道も新たに出てきた。地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」は、ESPNラジオでアナリストのティム・カージャン氏が語った内容についてレポート。「レンジャーズはハメルズを欠き、大きな問題を抱えている。ダルビッシュをトレードに出すには、あまりに良すぎるだろう」との見出しで伝えている。

 記事によると、同氏はダルビッシュと「2枚看板」を形成するはずだった左腕ハメルズの負傷離脱は、レンジャーズにとってあまりにも痛いと指摘。「今、非常に苦しい局面を迎えている。それはみんなも知っての通り。火を見るより明らかだ。今季の勝ちパターンは、大量得点することだったが、その様子はまだ見られない。また、本来なら(先発ローテには)メジャー屈指の“1-2パンチ”がいるはずだった。でも、今となっては、そのうちの1人(ハメルズ)があと7週間は戦列を離れる」。このまま浮上を続けていきたいレンジャーズだが、ハメルズ抜きでもそれが可能なのか、未知数だ。

■「彼がどんな球を投げるのか疑う余地はない」

「加えて、アストロズが実に状態がよく、シーズン終了までこの状態を保つかもしれないという事実から目をそらしてはならない。だから、私はレンジャーズがプレーオフに行くことすら難しいと思う。あれだけの期間、コール・ハメルズなしには、そう簡単に勝ち残ることはできない」

 アストロズの充実ぶりを見れば、地区優勝は極めて厳しい。もちろん、2位以下でも勝率次第でプレーオフ進出が可能だが、同氏は「難しい」と明言している。

 そこで浮上するのが、ダルビッシュのトレードだ。チームが低迷すれば、好調の球団に主力を放出し、その代わりに若手有望株を獲得しようとするのは、メジャーでは常識的な動き。今季限りで契約が切れてFAになるダルビッシュはまさに理想的な“人材”で、シーズン中に契約延長とならない限り、他チームが7月に獲得を目指す可能性は高い。

 カージャン氏はラジオの中で「彼がどんな球を投げるのか疑う余地はないし、彼が調子のいい時は、打者は手も足も出せない、先発1番手であることは間違いない」と、ダルビッシュの能力を絶賛したという。一方で「だが、年間32試合に先発できるのか、先発する日は常にベストを出し切ることができるのか、言い換えれば、多少の怪我を押してでも投げられるのか? 完璧な状況が整っていなくても投げられるのか? こういった大きな疑問が浮かんでくる」とも指摘する。

「『先発投手にこれだけ大きな契約を与えるべきか?』と考えた時、チームが声を大にして問うのが、こういった疑問だ。ほぼ全投手が持つ怪我の既往歴を考えると、今となっては(1年を健康に投げきることは)かなり難しいことだ。しかも、彼の場合、この先どれだけ丈夫でいられるか判断しづらく、さらにその傾向は強いと言えるだろう」

■「もらいすぎと思うほどの見返りがない限り、トレードには出せない」

 メジャーでもトップクラスの実力を誇ることに疑いの余地はないが、安定感には一抹の不安があると見ているようだ。その上で、「ダルビッシュをトレードに出した場合の見返り」をレンジャーズがどれだけ得られるかについては、以下のように述べたという。

「ダルビッシュに健康面の問題がまったくなく、ペナントレース中にトレードに出すことになった場合、レンジャーズは驚くほどの見返りをもらわなければならないだろう。『ワオ、こんなに多くの見返りをもらったんだ』って、みんなが驚くほどに。だが、シーズン終了後はフリーエージェントになるとしても、もらいすぎと思うほどの見返りがない限り、トレードには出せない。彼はそれくらいいい投手だから」

 逆に言えば、レンジャーズからダルビッシュを獲得しようとした場合、他球団は相当な“代償”を覚悟しなくてはならないということになる。若手有望株はそれぞれの球団の財産となるだけに、どのような判断を下すのか。

 ダルビッシュは今季、8試合登板で3勝2敗、防御率2.96と上々のスタートを切った。トミー・ジョン手術からの復帰2年目で、4月23日のロイヤルズ戦から今月5日のマリナーズ戦までは3試合連続で110球以上を投げるなど、健康面での不安も感じさせない。13勝9敗、防御率2.83、277奪三振でサイ・ヤング賞投票の2位に入った2013年シーズンを超える成績を残す可能性も十分にある。

 好投を続ければ続けるほど、周囲は騒がしくなる。ダルビッシュは今季、どんなシーズンを過ごすことになるのか。この先も1球1球に熱視線が送られる。