6回1失点とゲームを作った大谷。試合には敗れたが、本人に勝敗はつかなかった。(C)Getty Images 日本が誇る二…

6回1失点とゲームを作った大谷。試合には敗れたが、本人に勝敗はつかなかった。(C)Getty Images


 日本が誇る二刀流の対応に注目が集まっている。

 現地時間5月11日(日本時間10日)、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、ホームで行われたタンパベイ・レイズ戦に「3番・投手兼DH」の二刀流でスタメン出場。第1打席はファーストゴロ、第2打席は一塁への内野安打、第3打席はショートゴロ、第4打席は空振り三振と、4打数1安打に終わった。試合は延長戦の末、2-4でエンゼルスが敗れている。

【動画】「こんな姿は初めて見た」大谷翔平が見せたベンチへの対応の実際のシーン

 前回登板は無四球11奪三振と、ジョー・マドン監督も「過去最高のピッチング」だと絶賛するほどの完璧な内容を見せた大谷だが、今回の登板には少しの不安要素もあった。それは開幕から大谷とバッテリーを組んできたマックス・スタッシ捕手とカート・スズキ捕手のふたりとも怪我で戦線離脱中という事態だ。

そんな中、この日はオースティン・ロマイン捕手とのコンビで試合に臨んだ。先発マスクをかぶったロマインは、ヤンキース時代に田中将大ともコンビを組んだ経験もあり、日本人投手との試合には慣れている。

 対する対戦相手のレイズは、今季開幕投手を務めたシェーン・マクラナハンを起用。打線もスイッチヒッターを含めた7人の左打者を並べるなど、ここまで比較的左打者に打たれる傾向にある大谷への対策を講じてきた。

 初回はゼロに抑えて順調にすべりだした大谷だったが、二死まで進めた2回、6番のケビン・キーアマイヤーに、高めに浮いたスプリットをスタンドまで運ばれ、先制を許した。

 さらに3回には2者連続の四球でランナーを出すなど制球に苦しむ場面も見られたが、後続をレフトフライ、空振り三振に抑えるなど粘り強い投球で追加点は許さない。

 その後の4回は三振を含む三者凡退に抑え、5回には二死まで簡単に打ち取ったものの、9番にヒットを許すと、ワイルドピッチでピンチを広げてしまう。しかしこのピンチにも動じなかった大谷は、気合の投球で内野ゴロに抑えるピッチング。得点圏ではわずか1割しか打たれていないピンチでの強さを証明した。

 6回には3、4番を緩い変化球で二者連続三振に抑えるなど、見事なピッチングを披露したが、球数が90球を超えたところで降板となった。


 この日の投手・大谷は6回、92球、2四球、5奪三振、1失点、被安打2という成績に終わり、結果的にホームランを打たれた1球に悔いが残る結果となったが、内容としては先発投手としてしっかり試合をつくり、相手投手との高レベルな投手戦を繰り広げた。

 そんな中、注目を集めたのが、投手・大谷にとって最終回となった6回にとった行動だ。二死で4番打者を迎えた場面で、エンゼルスのコーチがマウンドに駆け寄るそぶりを見せた瞬間に、大谷は右手をベンチへ伸ばし「問題ない、こっちへ来ないでくれ」というようなジェスチャーを見せた。

 エンゼルスベンチとしては球数の増えた大谷を心配しての行動のようだったが、大谷は心配はいらないとアピール。ベンチの首脳陣も彼の行動に笑顔を見せた。その自信の通り、4番打者を空振り三振に抑え、堂々とベンチへ戻った。

 この大谷の行動が、SNSを中心に注目を集め、米メディアの『FOX Sports』が「オオタニはマウンドに来ることを望まなかった!」と笑顔の絵文字付きでツイートすると、現地のファンからも「こんな姿は初めて見た。オオタニは本物のヒーローだ!」「次の野球カードの写真だ!」と、その仕草に反響が集まった。

 大谷の降板後にエンゼルスが一時同点に追いつき、勝ち負けはつかなかったものの、ピンチでの気持ちのこもった立ち振る舞いを見せた二刀流の行動は、エースの風格を感じさせた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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