序盤から快調に本塁打を量産する選手は毎年生まれるものだが… 本塁打王をめぐる争いは、各種タイトルの中でも特に注目を集める…
序盤から快調に本塁打を量産する選手は毎年生まれるものだが…
本塁打王をめぐる争いは、各種タイトルの中でも特に注目を集める。開幕直後から本塁打を量産する選手には大きな期待がかかるものだが、長いシーズンでは調子の波や故障はつきもの。序盤戦における本塁打ランキングの情勢が、そのまま最終結果に反映されるとは限らない。今回は、2016年以降のパ・リーグで本塁打王を獲得した選手たちの月別成績と、最初の2か月で記録した本塁打数を紹介。そこから見えてくる傾向について、あらためて考えていきたい。
まず始めに、2016年以降のパ・リーグ本塁打王が最初の2か月で記録した本塁打数と、その本数がシーズン全体における本塁打数の中で占めた割合について見ていこう。
2016年のレアード(日本ハム)と2017年のデスパイネ(ソフトバンク)は、いずれも4月終了時点で5本塁打を記録。その年記録した本塁打数の15%未満と、割合としても多くはなかった。また、2021年の杉本(オリックス)も同期間では4本塁打と、シーズン全体のちょうど1/8にとどまっていた。
一方で、山川(西武)は2018年と2019年に、2年連続で11本塁打を放った。最初の2か月で全体の25%前後の本塁打数を稼いでおり、本塁打王を獲得したシーズンはいずれも春先から好調だったことがうかがえる。
2020年は6月開幕という変則的なシーズンであり、最初の2か月における試合数も、従来に比べて多かった。それでも、浅村(楽天)は6月と7月だけで同年の約4割を占めるほどの本塁打を記録。特殊な日程を加味してもなお、驚異的なスタートダッシュと言えよう。
現在も活躍を続ける助っ人2名は、本塁打王獲得年の傾向も近かった
日本ハム時代のレアードは、春先はあまり調子が上がらず、シーズンが進むにつれて本塁打数が増えてくる傾向にあった。自身初の本塁打王を獲得した2016年も例外ではなく、4月終了時点では打率.222、5本塁打とやや低調な成績だった。
しかし、5月だけで12本塁打を放って打率.326という大活躍を見せると、続く6月も打率.333と好調を維持。7月以降は打率を落としたものの、9月には9本と最終盤に再び数字を伸ばした。最終的には2位のメヒア(西武)に4本差をつけて、見事にホームラン王の栄冠に輝いている。
2017年のデスパイネも4月までは打撃の調子がさほど上がらなかったが、こちらもレアードと同じく5月だけで2桁の10本塁打を記録。同月は打率.312、26打点と、打撃3部門全てで優れた成績を記録した。
そこから2か月間は打率、本塁打数ともにやや数字を落としたが、8月に7本、9月に6本と終盤に本塁打数を伸ばしていき、自身初めて30発の大台をクリアした。最終的には前年キングのレアードとの争いを制し、本塁打と打点の2冠王となった。
両者とも4月まではエンジンがかからなかったものの、揃って5月に2桁本塁打を放つ活躍を披露。その後も月間4~5本ほどのペースで本塁打を積み上げつつ、終盤に一気に調子を上げてタイトル争いを勝ち抜いた。現在に至るまでパ・リーグで活躍を続ける2名の助っ人は、それぞれ本塁打王を獲得したシーズンの経過も似通っていたといえよう。
今季独走の山川、2年連続本塁打王の時期の傾向は?
山川は2018年から2年連続で本塁打王に輝いたが、いずれの年もスタートダッシュに成功していた点は興味深い。2018年は5月と6月に少し調子を落としたが、7月以降は3か月連続で8本塁打以上とアーチを量産。最終的には47本まで数字を伸ばし、自身初の栄冠を手にした。
翌2019年は前年に苦しんだ5月に11本と出色の活躍を見せ、最初の3か月で22本という驚異的なペースでアーチを量産。その後は7月に打率.173という深刻な不振にも陥ったが、8月には月間9本と調子を取り戻し、最終的には2年連続40本という快挙を達成。苦しい時期もありながら、前年に続いて王座を守り抜いた。
4月末までにハイペースで本塁打を積み上げ、そこから一旦調子を落とすものの、夏場に再び量産体制に入り、シーズン終盤にかけて数字を伸ばす。月ごとの細かい数字こそ異なるものの、山川選手が本塁打王を獲得した2年間は、いずれも似た経過をたどっていた。
シーズン開幕からまさに絶好調だった2022年はその再来も期待だ。途中離脱があったものの、5月10日現在トップの14本塁打を記録している。過去2年間の不振を脱却し、いよいよ完全復活の気配を感じさせただけに、今季は期待大と言えそうだ。
「安定感」の浅村、傾向が日本人離れしている杉本
2020年の浅村は7月までに13本塁打と序盤から好調で、中田(日本ハム)とし烈な本塁打王争いを繰り広げた。9月には月別最多の10本を放ち、自身初の本塁打王に向けて猛チャージ。最終的には1本差で競り勝ち、タイトルを手中に収めている。
7月以降に打率.300を超えた月は一度もなかったものの、7~10月の4か月における安打数はほぼ同じ。大きく調子を落とした期間はなく、1か月だけで9本以上を記録した月も2度存在した。過密日程の中で全試合に出場しながら、稀に見る安定感を発揮した点は特筆ものだ。
昨年の杉本は4月終了時点で打率こそ.319と好調だったが、本塁打は4本とさほど多くなかった。だが、5月に8本塁打と大きくペースを上げると、6月は5本塁打に加えて打率.375を記録。7月はわずか1本塁打で打率.146と深刻な不振に陥ったが、そこから2か月連続で打率.300を超える数字を残し、最終的には打率.300、30本塁打をクリアしてみせた。
4月まではさほど本塁打が増えなかったが、5月に数字を伸ばし、夏場の不振を経て終盤に再び調子を上げた。身長190センチ、体重104キロの体格を活かした打撃には日本人離れした迫力があり、シーズンの経過にも外国人選手のような傾向が見られた点は興味深い。
タイトル獲得年の山川と浅村は、4月末の時点で本塁打ランキングの上位に位置し、そのまま1位の座を確保した。序盤の好調を、タイトル獲得につなげた例と言えよう。その一方で、レアード、デスパイネ、杉本の3選手は、序盤の本塁打数こそ決して多くはなかったものの、5月以降に本塁打を量産する月を生み出し、最終的に見事な成績を記録している。
今季の本塁打王は、快調に本塁打を積み上げている選手の中から生まれるのか、それとも中盤戦以降になってから、一気に数字を伸ばしてくる選手が現れるのか。全日程終了後に、本塁打王に輝いた選手の月別成績を後から確認してみると、今回の記事に現れたようなその選手の傾向や、さまざまな発見が見出せるかもしれない。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)