現在、株式会社PCPの代表を務める傍ら、トップトレーナーとしても活躍している吉田輝幸氏。LDH所属のグループを始めとしたアーティストやプロアスリートのパフォーマンスアップを指導し、一方でビジネスパーソン向けのパーソナルジムを展開するなどフィ…
現在、株式会社PCPの代表を務める傍ら、トップトレーナーとしても活躍している吉田輝幸氏。
LDH所属のグループを始めとしたアーティストやプロアスリートのパフォーマンスアップを指導し、一方でビジネスパーソン向けのパーソナルジムを展開するなどフィールドは多岐にわたる。また、昨年にはスポチュニティのアンバサダーに就任した。
吉田氏がこれまでどんな想いを持って活動の幅を広げてきたのか。その歩んできた軌跡と今後実現したい世界について話を伺った。
(取材 / 文:白石怜平)
今、吉田さんはどんな活動をメインに行っていますか
株式会社PCPという現在13期目の会社なんですけども、代表を務めています。加えて「パフォーマンススペシャリスト」いわゆるパーソナルトレーナーとしても活動しています。
PCPとしてのメインの軸は大きく分けると3つありまして、パーソナルトレーニングジムの運営・パーソナルトレーナー養成スクール・コンサルティング。他にも出張トレーニングやオンラインレッスンも行っています。
パフォーマンススペシャリストとしては、活動内容の一つとしてEXPG高等学院(※)のカリキュラムのアドバイスなどを行っています。
(※)LDH所属のアーティストを数多く輩出している総合エンタテインメントスクール「EXPG STUDIO BY LDH」の運営会社でもある株式会社expgが開校した高校
スポチュニティのアンバサダー就任となったきっかけを教えてください
19年から21年までグロービス経営大学院に通っていて、その繋がりでスポチュニティ代表の川戸温志さんと知り合いました。
私は、世界で活躍できるアスリートの支援をしたいと考えています。アスリートが能力を上げていくためには、「技術」・「メンタル」そして「トレーニング」が大きな柱になります。
ただ、トレーニングに投資できるだけのお金を持っている方はごく一部です。トレーニングも重要な”柱”ですし、その面においてアスリートのサポートができる体制をつくりたいという想いがありました。
川戸さんとも『これから活躍しそうなアスリートや、経済力に不安のあるアスリートたちに向けて、トレーニングをさせてあげられる仕組みができないか』と19年ごろに話をしていました。
そんな中で、21年に卒業するタイミングで川戸さんに『アンバサダーとして一緒にやりませんか』とオファーを頂き参画することになりました。
トレーナーを目指すことになったのはどんな経緯だったのでしょうか
大学2年生の頃からフィットネスクラブでアルバイトをしていたのが最初です。大学(国士舘大学)も体育学部だったので身体の勉強をしているうちに、トレーニングの専門家を目指していきたいという想いが芽生えました。
あと、大学で陸上の短距離をやっていたのですが、大事な試合の前に大概怪我をしてしまっていた。これまで調子良く来ていたのに試合直前に肉離れを起こしてしまうことがあり、自分でも何が原因なのかよくわからなかった。
自分がプレーヤーとして満足に活躍できなかったことで、正しいトレーニングとは何かを追求したいと思いました。そして、トレーナーとして世界で活躍する方々をサポートしていきたいと思い、大学卒業後にアスリート専門でサポートしている会社へ入社しました。
吉田さん自身がさらに羽ばたこうと考えたのはいつ頃でしょうか
入社3年目(2000年)頃、アメリカへ3ヶ月間のインターンシップに行った時でした。
インターンシップでは、NFLやMLBの選手がオフシーズンになると100人、150人と来るようなジムでお手伝いをしていました。
そこで、体重130kgある選手たちが50mを5秒で走っている姿を見て驚いたんです。現地ではもちろん筋力トレーニングもやりますが、身体の使い方・動かし方というのを徹底的に鍛えていたんです。
日本で働いているときには、『身体を大きくして筋肉をつければパワーがついて、いいパフォーマンスを出せる』という考えでやっていたのですが、本当にそれで良いのか疑問を抱いていました。
アメリカで行っていたトレーニングの理論に共感しましたし、かつ向こうでは当時からしっかりとエビデンスを取ってやっていました。なので、『このトレーニングにはこういった研究結果があり、結果どうなるか』というのも検証してやってるので間違いないと。
そこで自分のやりたいトレーニングの方向性が確立できたので独立を決めました。
法人化をされてからはどんな活動をしていましたか?
07年に独立して個人事業主としての活動をしながら、09年に法人化させてPCPを立ち上げました。
会社員時代からお付き合いのあるアスリートやお客様を通じて活動の幅が広がっていき、法人化直前の08年にLDHさんのサポートさせていただくことになりました。
私一人だと事業を回すのが難しくなったので、法人化したのがきっかけでした。最初はLDHさんのサポートと、ワンルーム位の広さでパーソナルジムを運営していましたね。
設立から約10年間は主にこれら活動をメインに行っていましたが、昨年11月にパーソナルジムの展開を始めました。
10年間行った活動からなぜ広げようと思ったのでしょうか?
展開を考え始めたのはここ1年半ほどなのですが、それまでは店舗の展開はしないと考えていました。
トレーナーの養成も含めて、仕組み化は難しいと思っていました。ノウハウを100%教えきることは難しく、たとえ教え込んだとしても誰かを介せばどうしてもクオリティは自分の70%、80%になってしまうのではないかと。
当初、クオリティを下げてまでこのトレーニングを浸透させようとは考えていませんでしたが、試しに弊社のトレーナーに一度トレーニングをやってもらったら、お客様が結果を出すことができてすごく喜んでいただきました。
自分だけのノウハウで抱えるのではなく、それが皆さまに役立つトレーニングを提供できる内容であるなら、このまま限られた人しかサポートできないというのではなく、プログラムをしっかりと理解したトレーナーを増やしていくべきだという考えに変わってきました。
当時5、6人ほどでしたから、この人数で教えられる範囲ってどのくらいだろうと考えると限られてしまう。それであれば仕組み化をすることで、『我々の考えを実践できるトレーナーを日本全国に拡散させたい』・『僕らと同じ想いを持ったトレーナーを増やしていく活動をしないといけない』そう感じたんです。
そして11月から新たにパーソナルジムの展開を始めました。その想いを聞かせてください
元々あった中目黒に加えて2店舗目が江東区の辰巳に、続いて同じ江東区の月島で3店舗目がオープンしました。
人生100年時代と言われていて、私の年代(1975年生)もそうですが、今後40代・50代の人たちが働く年齢も上がってくると思います。我々以上の年代が元気でい続けていないと日本が厳しい状況になるかもしれないと。
また、私はずっとアスリートを指導していてパフォーマンスアップの領域をお手伝いしてきました。ただ、ビジネスパーソンもアスリートと一緒と考えていて、よく出すキーワードで昔から”ビジネスアスリート”と言っているのですが、ビジネスマンもアスリートだと。
なのでビジネスパーソン向けのジムを出したいと考えていました。マイナス20歳の体を40代・50代・60代の方々が目指して持久力や柔軟性、瞬発性などトータルでフィジカルを上げていく。
アスリートに向けて取り組んできたことをビジネスパーソンに向けて展開していきたいというのが、パーソナルジムを開くことになった1つの想いです。
さらにもう1つが先ほど話したことと繋がるのですが、パーソナルトレーナーの働き口を広げていく。我々のやっているトレーニングというのが少し特殊で、フィットネスクラブにトレーナーとして登録しても我々の手法だと教えるのが難しいんです。
特殊なマシンを使ったり特殊な計測をするので、環境の面からも我々が店舗を広げていかないとトレーナーが活躍できる場所を提供することができないためです。
この2つの想いを持って展開を進めています。
色々お聞かせいただきましたが、最後に今後の目標を教えてください
アスリートにおいては、引き続き世界で活躍できるアスリートを増やしていきたいです。金の卵がたくさんいますので、スポチュニティの仕組みを活用しながら資金に困ってるアスリートをサポートすることでより良いトレーニングを提供できたらと思っています。
また、パフォーマンスアップにおいてはトレーニングをやると創造性も高まっていくと思っていますので、パーソナルジムを通じて元気な人をたくさん増やしていきたいです。
実は日本のフィットネス人口は3%~4%しかいません。(※HRSAによる『世界のフィットネスクラブ会員数2018年)
ですが、他の先進国では約20%ある。これを見ても日本のフィットネス人口はとても低いんです。
僕らの業界では15年以上も前から”目指せ10%”と言っていましたし、トレーニングをしていると言われていても1%しか伸びてない。
なので、運動する方たちが日本で増えるような活動をもっとしなければいけないと考えています。もっと身近に運動ができるサポートを引き続きやっていきたいですね。
◆吉田輝幸(よしだてるゆき)
1975年生まれ。国士舘大学体育学部卒業。グロービス経営大学院卒業。MBA(経営学修士)。
トップトレーナーであり、MBAホルダーという異色な経歴を持つ。「トレーニングで日本を元気に!!」をビジョンに掲げて活動している。
大学卒業後に本格的にトレーナーの道へ進み、トレーナー歴は25年以上。
トップアスリートやアーティスト、経営者などのトレーナーとして活躍する。ビジネスパーソンもアスリートと位置付けてビジネスアスリートへ向けたパフォーマンスアップのプログラムを提供している。
現在はメジャーリーガーなどのプロアスリートやEXILEなどのアーティストのパフォーマンスアップに従事し、ビジネスパーソンの為のパーソナルジムReBoot(辰巳、月島)においてプロデューサーを務めている。
パーソナルトレーナー養成スクールも開校しトレーナー育成にも力を入れており、2020年4月からEXPG高等学院でカリキュラムアドバイザーに就任。
最新書籍は「6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング」(幻冬舎)