国内メジャー今季初戦・ワールドレディスサロンパス杯最終日 女子ゴルフの国内メジャー今季初戦・ワールドレディスサロンパス杯最終日が8日、茨城GC西C(6680ヤード、パー72)で行われた。「新世紀世代」の20歳・山下美夢有(加賀電子)が3バー…

国内メジャー今季初戦・ワールドレディスサロンパス杯最終日

 女子ゴルフの国内メジャー今季初戦・ワールドレディスサロンパス杯最終日が8日、茨城GC西C(6680ヤード、パー72)で行われた。「新世紀世代」の20歳・山下美夢有(加賀電子)が3バーディー、2ボギーの71で回り、通算12アンダーで初のメジャー優勝を大会史上初の完全Vで飾った。ツアー優勝は昨年のKKT杯バンテリンレディスオープン以来2勝目。2位は通算9アンダーの青木瀬令奈、3位は通算6アンダーで稲見萌寧、石川明日香の2人。2位から出た安田祐香(NEC)は通算4アンダーで7位だった。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 山下は家族全員の前で優勝を飾った。グリーン脇で山下の優勝インタビューを見ながら涙した母・有貴さんは言った。

「言葉にならないくらいです。(3日前の)誕生日プレゼントと母の日のいい思い出になりました。週末しか一緒にいられなくて、結構、つらいこともあったと思います。でも、弱音を吐かない。成長を感じます」

 父・勝臣さんは「うれしいの一言です」と言い、「前半で3打差に詰められた時はどうなることかと思いました」と安堵の表情で振り返った。

 共働きの両親はゴールデンウィークを利用して、4日間大会では普段は来られない初日、第2日も観戦した。父は練習日からコーチをして、「ハンドファーストになりすぎていて、タイミングが取れていない。トップで間を置いて」とアドバイス。結果、山下のショットは劇的に良くなり、初日の大会コースレコード「64」につながった。

 第2日は「74」とスコアを落としたが、「焦らないでいい」と声を掛けて、第3日の「67」を呼び込んだ。そして、前夜は「欲張らず、これまで通りセンター狙いでいこう」と伝えていた。

 ただ、勝臣さんは「(センター狙いが)できていませんでしたね」と苦笑いし、「やっぱり、緊張していました。5番(パー5)もいつもなら刻むこところを2オン狙いでした。まあ、何とか持ち直してくれて良かったです」と言った。

山下が語った両親への感謝「父はとにかく一生懸命、母は笑わせてくれる」

 山下がゴルフを始めたのは5歳からで、勝臣さんも同時にクラブを握り始めた。山下と一緒にゴルフを学び、研究し、自分で試した練習やトレーニング法を山下に勧め、ここまでたどり着いた。ツアールーキーだった2年前の夏には、山下のために約300万円を先行投資し、弾道計測器「トラックマン」を購入した。全ては「子供のため」だった。山下も父には深く感謝している。

「父は私と弟、妹のためにとにかく一生懸命で、いろんなことを考えて、サポートしてくれます。私のクセも全部分かっているので、見てくれたらすぐに修正ができます。(父がコーチの)スタイルは変えるつもりはないですし、うまくいかない時は自分でも考えて修正していきます」

 両親の明るさにも助けられている。この日の取材対応でも、2人で話にオチをつけた。

勝臣さん「最近、ハンマーを使ったトレーニングをやらせようと思ったら、10キロあって僕でも無理でした(笑)。今は(倉庫に)眠っています」

有貴さん「娘の名前(美夢有)は『美しい夢の有る子という思いで』つけましたが、最初は美夢だったのですが、私の名前から一字を入れたくて、こうなりました。でも、病院で『アラビア語みたいやな』と言われまして(笑)」

 山下によると、「(大会期間中も)母が面白いことを言って、私を笑わせてくれました」という。その感謝も込めて、優勝インタビュー時、山下は涙声で「ママ、いつも支えてくれてありがとう」と言った。同じ気持ちの弟・勝将さん(近大2年)、妹・蘭さん(中学3年)も涙した。

 まさに家族でつかんだメジャー優勝。有貴さんは「名前通り、夢をつかむことができました。でも、また新しい夢に向かって頑張ってほしいですね」と言った。もちろん、今後も支えていくつもりだ。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)