中日の大野雄大投手(33)が5月6日の阪神戦で完全試合を逃したことで、久々に名前が登場したのが西武の西口文也。大野は9…
中日の大野雄大投手(33)が5月6日の阪神戦で完全試合を逃したことで、久々に名前が登場したのが西武の西口文也。大野は9回までパーフェクトに抑えながら、延長10回に安打を許して大記録を達成できなかったが、2005年8月27日楽天戦の西口以来2人目の珍事だった。
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西武2軍監督の西口は、大野について球団を通じてコメントし「僕と一緒ですね。自分の時も0対0で延長に突入しましたが、記録よりも点を与えないことに集中していました。勝ちたかったので、10回に1本打たれた後の方がさらにギアが入った、と記憶しています。大野投手も同じ気持ちだったんじゃないですかね」。大野も西口も9回まで援護なく、延長で完全を逃しての1安打完封が同じなら、9月26日の誕生日まで一緒(西口=1972年、大野=1988年)という運命めいたものまで感じさせた。
共通点が重なった2人だが、西口の不運ぶりには大野もかなわない。完全試合こそ逃したが、大野は2019年9月14日阪神戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成している。かたや西口は9回2死からノーヒットノーランを2度も逃した「持ってない男」として有名だ。
西口はキレのあるスライダーを武器に通算182勝をマークした。200勝を目指していた晩年は、勝ち投手の権利を得て降板するも救援がことごとく打たれ、貴重な白星が1ヶ月で3度消されたことも。西武リリーフ陣の「西口さんのために」の思いが重圧となって空回りし、「仕方ない」と言うばかりだった。
西口は和歌山商から立正大を経て、94年ドラフト3位で西武に入団。2ケタ勝利が10度、沢村賞を獲得するエースだったが、性格はマイペースで、年俸などにも無頓着。金額に関わらずすぐにハンコを押してしまうため、若手選手から苦言を呈されることも。他球団からの高額オファーには見向きもせず、「数十億円をドブに捨てた」ともいわれた。
かくして日本一不運な男と形容されることが多い西口だが、屈託のない笑顔はいつも変わらない。ライオンズ一筋21年間の現役生活を終え「ノーヒットノーラン未遂2回、完全試合未遂1回」と自虐ネタにし、「あの時、運を使わなくて良かったと思える日が来るかもしれない」という名ゼリフを残した。
完全試合、ノーヒットノーランの記録がかかる投手が出るたび、多くの野球ファンは悲運のエース西口を思い出すことだろう。記録を逃し続けたことで、人々の記憶に残り続ける投手になった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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