京都国際高からドラフト7位で阪神に入団した中川勇斗 心地よいミット音を響かせて投手陣をリードし、直球、変化球は構えたミッ…

京都国際高からドラフト7位で阪神に入団した中川勇斗

 心地よいミット音を響かせて投手陣をリードし、直球、変化球は構えたミットに吸い込まれていく。巧みな捕球技術を見せるのは阪神のドラフト7位ルーキー・中川勇斗捕手だ。2軍で“ノムラの教え”を吸収しつつ、高校時代から高く評価されていたフレーミングを磨き、1軍の舞台を見据えている。

 3月12日に行われた中日とのオープン戦(甲子園)では、高卒一番乗りで1軍デビューを飾った。3-0の9回から捕手として出場し、齋藤とのバッテリーで1回を無安打無失点に抑えて試合を締めくくった。京都国際高時代には春夏連続で甲子園出場を果たしており“凱旋”となったが「雰囲気は変わらず、緊張感もなかったです、試合に入っても落ち着いてプレーできた」と、物怖じすることはなく、他球団のスカウトも「高卒とは思えない落ち着き」と目を見張るほどだ。

 そんな中川の武器の1つは高校時代から高く評価されていたフレーミングだ。本人も「自分の長所でもあるのでそこは(レベルを)落とさないようにしたい」と、ファームでも1軍経験のある投手たちをリードし、高卒とは思えない“ミット捌き”を見せている。

野村克則2軍バッテリーコーチから“ノムラの教え”を吸収

“フレーミング”とは際どいコースのボールをストライクに見せる技術だが、中川は「ボールをストライクにする、というのは意識していません。一番は綺麗なキャッチングを目指しています。まずはストライクをストライクに見せることが大事だと思っています」と語る。

 ファームでは“ノムラの教え”に耳を傾ける。2軍のバッテリーコーチはヤクルト、阪神などで監督を務めた野村克也を父に持つ野村克則コーチだ。配球面など高校からプロのレベルに進化していく過程の中でも「“長所を落とさない”という野村コーチの教えがあります。まだまだ1軍レベルには到達していないと思いますが、徐々にですが上手くなっているという実感はあります」と成長を感じている。

 ある試合でこんなこともあった。野村コーチが相手走者の仕草を見てマスクを被る中川に言葉を投げかけた。「走ってくるぞ」。すると、実際に走者がスタートを切り、二盗を阻止することができた。野村コーチの、プロの捕手の細かなところも見逃さない眼を思い知らされた。

同級生のロッテ・松川に「自分はやることをやって松川に負けない活躍をしていきたい」

 チームには梅野隆太郎、坂本誠志郎とレベルの高い先輩捕手が1軍に君臨している。「他球団の捕手も見る癖があるのですが、どの選手もレベルが高い。実際に先輩方の姿をみても肩の強さやスローイングの正確性が凄いなと感じました。まだまだ、自分に足りないところが多い」とプロのレベルの高さを実感している。

 他球団では同級生のロッテ・松川虎生が1軍に定着し、佐々木朗希投手と完全試合も達成した。メディアでも注目を集めるライバルの存在にも「特別意識しているわけじゃないですが、自分はやることをやって松川に負けない活躍をしていきたい」と静かに闘志を燃やしている。

 春季キャンプ、オープン戦を経て、開幕から1か月が過ぎた。ここまでの過程を振り返り「こうなることは予想していました。レベルの高さに慣れるのが、まだまだだと思う」と口にする。それでも「今年の目標は1軍出場。プロは1軍で活躍しないと意味がない。何年目とか関係なく1年目から活躍していきたい」。未来の正捕手候補は一つ一つの課題を消化して1軍の舞台を目指す。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)