アウクスブルク戦に先発、アシストを記録した香川真司 シーズンも終了間際だが、ドルトムントの様子がおかしい。トーマス・…



アウクスブルク戦に先発、アシストを記録した香川真司 シーズンも終了間際だが、ドルトムントの様子がおかしい。トーマス・トゥヘル監督が周囲とうまくいっていないのではないかという報道はかなり以前からあったが、ここにきてハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOがトゥヘルとの間に確執があることを匂わせたり、匿名の選手による監督批判が紙面に踊ったりしている。それも地元紙やスポーツ紙だけでなく、全国紙である南ドイツ新聞でも展開されており、なにやら大事になってきた。当然ながらトゥヘルの退任が近いという見方も浮上している。

 ブンデスリーガ第33節アウクスブルク対ドルトムント戦。ドルトムントはそのあたりの影響もあったのか、パッとしないパフォーマンスで、1-1のドローに終わった。チャンピオンズリーグ(CL)にストレートインできる3位をホッフェンハイムと争っている中、下位相手のドローはいただけない。

 この試合に先発フル出場した香川真司は、「3位争いも十分モチベーションになりえる」と言いながら「相手も残留に向けて必死ですし……。ただ、僕たちもしっかりとここで勝って3位を決定づけたいという気持ちはあったし、勝たないといけなかった。ここで勝ててこそ強いチームで、こういうところで勝ちきれないのはすごく課題ではあると思いますけど」と、疲労感を隠そうともせずに語った。

 この日は特に後半、気温が上がり、選手たちは頻繁に給水しながらプレー。香川は「暑かったのできつかったですけどね」と、足をひきずるように歩いていった。

 トゥヘルの進退と同時に、日本メディアからはもちろん、ドイツメディアにとっても関心事になっているのが香川真司の去就だ。香川には現状ではドルトムントが一番適しているクラブだと、ドルトムント担当記者たちは一様に言う。クラブの規模、優勝争いをしながらCLでも決勝トーナメントに行ける実力、その中でレギュラーを争えるという環境などを含めて、だ。実際、今季の前半戦、香川が出場機会に見放されたときでさえ「香川が移籍する必要はない」というのが大方の声だった。

 筆者自身も、香川が移籍することはないと思っていた。ところが、どうやらその可能性がないわけではなさそうだ。

 先週のホッフェンハイム戦後のことだ。後半35分からの途中出場だった香川には、疲労感に加えて、どことなく考え込むような、極端に言えば弱音が口から出かけているような、そんな雰囲気があった。

「ボランチで起用されることは想定してないのか」というポジションに関する話題となり、こんなやりとりになった。

「いや、あったけど、ダブルボランチという中では、僕の選択肢はなかなか限られてるんじゃないかなと。3ボランチだと使いやすいと思うんですけど、3-4-3のダブルボランチだと、今の監督の選択肢にはないと思う。なかなか使いづらいというのはあるんじゃないですかね、自分で言うのもなんですけど」

――現在のフォーメーションだと、ということ?

「うん。それをこの2年、やってきているので、そう感じますけど」

――ローテーションだからこそ、たまのベンチは受け入れざるをえない?

「そうですね、考え方ですけど。こういう試合(ホッフェンハイム戦)に出られなきゃいけないですし、その悔しさはもちろんありますし、現状はそれを受け入れなきゃいけないところもあるけど、こればかりは受け入れ続けていたらいけないと思っているので、この状況を覆す強い意志、信念は必要だと思ってる。シーズン終盤で(モチベーションの)難しさはありますけど、もう一回ポカール(ドイツ杯決勝)に向けて……。練習での気持ち的にも、この2、3週間、難しさは少なからずあるんですけど、その難しさをどう変えていくかがすごく大事だと思ってる。そういうところは個人としてしっかりやっていきたいと思います」

 2年目となる監督を「今の監督」と表現したあたりも気になるし、「状況を受け入れるばかりでは……」というくだりも引っかかった。このチームで状況を打開するというだけでなく、そこには、自分から動いて、つまり移籍することで打開することも選択肢に入っているように聞こえた。

 一方で、推測の域を出ないが、トゥヘルの去就次第で香川のドルトムント残留の可能性は高まるような気もする。この2年間、香川に監督の采配や起用法について尋ねても、ほとんどいい顔をすることはなかった。それが全てを物語っているように思う。

 アウクスブルク戦後、ドイツメディアでトゥヘルとクラブ幹部の確執や去就に関する報道が過熱していることについて、チームの雰囲気に影響がないかと聞いてみた。

「別にそんなに影響なかったですけど……。試合に影響が出ることはないですね」

 あくまで「試合に影響が出ることはない」というのは、何を意味しているのだろうか。