国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディース 国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディースは1日、首位に2打差2位で出た西郷真央(島津製作所)の逆転優勝で幕を閉じた。一時は西郷を4打リードしていた台湾出身のテレサ・ルー(太陽…

国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディース

 国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディースは1日、首位に2打差2位で出た西郷真央(島津製作所)の逆転優勝で幕を閉じた。一時は西郷を4打リードしていた台湾出身のテレサ・ルー(太陽生命)は、後半の2ボギーで2位。約5年ぶりのツアー17勝目を逃した。だが、西郷が15番パー4でイーグルを奪った際は、グータッチ。ラウンド後も明るく、「若い子と一緒に回るのはいいね」と言った。渋野日向子(サントリー)と共通するスポーツマンシップ。“これぞ、ゴルファー”を感じさせたテレサのふるまいだった。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 最終日15番パー4。西郷がピンまで残り169ヤードの第2打をカップインさせた。テレサは目を丸くしながら、西郷と左手でグータッチ。ワンショットで1打リードされた緊迫の状況だったが、14歳下のライバルを祝福した。ホールアウト後、その瞬間の心境を明かした。

「すごい、すごい。すごくいいショットでピン筋に行っていたから、『入るんじゃない?』と思ったよ。そうしたら、本当に入った。私は残り120ヤードぐらいだったから、『私も入るんじゃない?』と思ったよ(笑)」

 テレサのショットはピンには寄らず、残り3ホールで西郷に追いつくこともできなかった。悔しくないはずはない。だが、繰り出す言葉は全てポジティブだった。

「悔しいは悔しいけど、そこまでじゃないよ。(西郷は)安定しているし、バンカーがすごくうまい。だから、ボギーを打たないよね。それと、若い子と回るのはいいよね。元気、もらうよ」

渋野と重なる「強くて良い人」という姿

 言葉通り、テレサは元気いっぱいにプレーしていた。ドライビングディスタンスは252.167ヤードで全体1位。15番の第1打は、西郷より40ヤード以上前に飛ばした。

「ドライバーがめっちゃ飛んでいたね。気持ちいいっす。自分のゴルフも良くて楽しかった。もう、少し頑張れば追いつくかもしれないと思ったよ。できなかったけど」

 落ち込んだ様子は見せず、テンポ良く話し続けた。週初めの25日は、全米女子オープン日本予選に出場して36ホールをプレーした。4月上旬には、米女子ツアーのロッテ選手権に出場。2位に入った渋野日向子が優勝を争った相手を称え、応援しながらプレーする姿を見て、「楽しそう。心、広い」と感じたという。

 渋野に感化されるまでもなく、テレサはスポーツマンシップと人間力にあふれている。同組の選手がパットに入る際、対角線上にいたテレビ中継スタッフに「そこ、どいてください」と声を掛けたりもする。

 かつて、宮里藍の父でコーチの優氏は「ゴルファーの前に人格者であれ。ゴルフは人格形成のためのツールだ」と言った。全プロゴルファーがそうした教えを受けている訳ではないだろうが、テレサ、渋野のような「強くていい人」が活躍することで、他の選手も好影響を受ける。この流れが、ゴルフに限らず、スポーツ界全体に広がってほしい。それをあらためて感じさせてくれた大会だった。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)