「(ドイツW杯・サプライズ選出された)巻誠一郎選手へ、オシム監督から一言頂けますか?」 「阿部勇樹が選ばれなかったのは、残念だ。」 今も記憶に残るオシム語録の一つ、メディアが度肝を抜いた瞬間だった。教え子の祝辞ではなく、自身の感情だけを…

「(ドイツW杯・サプライズ選出された)巻誠一郎選手へ、オシム監督から一言頂けますか?」

「阿部勇樹が選ばれなかったのは、残念だ。」

今も記憶に残るオシム語録の一つ、メディアが度肝を抜いた瞬間だった。教え子の祝辞ではなく、自身の感情だけを言葉に託すと足早に練習場へ向かった名将の背中。ちょっぴり不機嫌だったオシムさんの大きな背中が今も記憶に残る。

2006年のW杯代表メンバーに惜しくも落選してしまった阿部勇樹へ向けた4年後のエール。そのエールは、4年後の阿部ちゃんにしっかり届いて、今もサッカー人生において血や肉となっているはずだ。

2006年05月15日、あの日のオシムさんはメディアにガツンと意地悪をしたらしい。普段、選手の名前を滅多に出さない名将は、サッカーで浮かれモードになっていた日本列島に釘を刺したのかもしれない。

「柳沢、玉田…巻」

2006年05月15日、当時の日本代表指揮官・ジーコがW杯のメンバーの名前を読み上げると、記者会見場はどよめいた。23人目となるFWに巻誠一郎の名前があり、日本中を沸かせるサプライズ選出をしたのだ。発表直前に行われた5月9日のキリンカップ・ブルガリア戦でゴールを挙げた巻、代名詞のヘディングを武器に泥臭くハードワークする姿勢がジーコの信頼を得て、本大会のメンバーに飛び入りした。

その数ヶ月後、まさかの代表監督就任のニュースも運命や宿命さえも錯覚してしまうほどだ。

2日未明、浦和ユースや代表などでサッカー指導者として活動中の元サッカー日本代表・阿部勇樹が自身のTwitterを更新。かつての恩師に想いを綴っている。

「オシム監督から学んだ事は、自分の今後の人生で大事な事であり、それをしっかりと伝えていけるように頑張ります。 サッカーが好きで好きでたまらない、オシム監督!感謝しております。 日本に来てくれてありがとうございます。 必ず報告しに行きます。 心よりご冥福をお祈りいたします。」

阿部ちゃんがシェアしているのは、LINEニュース編集部と共にオシムさんへ会いに行く友達限定の海外取材記事のワンシーンである。筆者も当時、この記事で大きな衝撃を受けた読者の1人。何故なら、あの笑わないオシムさんと取材嫌いだったジェフのキャプテン・6番だった阿部ちゃんが、レストランで楽しそうに笑顔で撮影に応じていたからだ。

いや、正確に言うならば「素(す)」の状態をLINEニュース編集部が引き出したのかもしれない。「まさかこんな写真が実現するなんて!」そう驚いたジェフのファン・サポーターも多かったはず、と勝手に信じたい。

そして、阿部ちゃんが「必ず報告しに行きます。」と書いたメッセージが気になって仕方がない。

「一体何を報告するのかしら?」「もしかして、何か約束したのだろうか?」筆者として支離滅裂な記事を書く手が止まらないほど、蹴球人・阿部勇樹のSNSにめちゃくちゃ混乱している。天国のオシムさんなら、きっと全てを知っているだろうな、と思いながら。

文/スポーツブル編集部

2日未明、元サッカー日本代表の巻誠一郎さんもInstagramを更新してくれています。サッカー・メディア関係者の皆さん、以下、ガムシャラ巻誠一郎氏からのお願いです。

「*画像は色々な所から拾ってしまいました。今日だけはお許しください。申し訳ございません。」

巻さんによる深夜のSNS投稿、また泣けてきます。怒ってるオシムさんも笑ってるオシムさんも、全部いい写真ばっかりです。