国内女子ゴルフツアー、パナソニックオープンレディース最終日 国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディース最終日が1日、千葉・浜野GC(6660ヤード、パー72)で行われた。首位に2打差の2位で出た20歳・西郷真央(島津製作所)が1イ…

国内女子ゴルフツアー、パナソニックオープンレディース最終日

 国内女子ゴルフツアーのパナソニックオープンレディース最終日が1日、千葉・浜野GC(6660ヤード、パー72)で行われた。首位に2打差の2位で出た20歳・西郷真央(島津製作所)が1イーグル、2バーディーの68で回り、通算10アンダーで逆転優勝。今季出場7戦で4勝目をつかんだ。昨年、稲見萌寧が7戦3勝をマークしているが、それを凌駕する勢いで勝率は驚異の5割7分1厘に。首痛明けで3週間ぶりの出場で、本調子ではなかったが、ピンチをことごとくしのいだ後に15番パー4の第2打を直接入れ、鮮やかに逆転した。全体を通して、卓越した技術と高い「ゴルフ脳」をフル回転させた勝利だった。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 15番パー4。西郷の続けた「我慢」が報われた。フェアウェー左サイドでピンまで残り169ヤード地点。6番アイアンで放った第2打は、ピン手前10メートルに着弾した。ボールはそのまま転がり、フックラインを描いてカップに吸い込まれた。西郷は両手を挙げ、キャディーでプロテスト合格同期の河野杏奈とハイタッチ。常に冷静沈着な西郷が、想定外のことに驚いて歓喜した。

「カップに消える瞬間が見えて、歓声が聞えました。心臓がドキッとしました。こんなことがあっていいのか、帰りに事故らないかと心配になりました(笑)」

 ここで同じ最終組のテレサ・ルーを1打逆転。このスーパーイーグルを境にショットを復調させた西郷は、最終18番のパー5でも2オンに成功。2パットのバーディーで勝利を締めくくった。

「(3試合ぶりの)復帰戦ということで、自分に期待していませんでしたが、優勝できてすごくうれしいです。(首の)痛みなくプレーすることもできました」

苦しい前半もパー9つ、狙い目12番でバーディー奪取

 大会前から「調子がいいという感じはない」と言っていた。第2日までは、ドライバーショットは「原因不明」の不調。この日も前半9ホールで3度もショットをガードバンカーに入れた。その全てをサンドセーブ。バーディーチャンスは外れたが、パーを9つ並べた。

 この時点で、スコアを2つ伸ばしたテレサとは4打差があった。「今日はテレサの日」と思われたが、西郷は少しもあきらめてはいなかった。

「風が強いから、何があるか分からない。今はチャンスが来るのを待つしかない。第2打でグリーン近くまで運べる12番パー5が最初の狙い目だ」

 予想は当たり、10番パー4でテレサの第2打が風に乗って、グリーンオーバーしてボギー。そして、西郷はターゲットにしていた12番で、残り230ヤードからフォローの風を生かして2オンに成功。ここで初めてのバーディーを奪った。対して、テレサは13番パー3でもスコアを落とし、瞬く間に差は「1」になった。

 続く14番パー4。西郷は第1打を左ラフに打ち込んだ。グリーンへのライン上で木が2本あり、第2打で「上を越すか」で悩んだ結果、6番アイアンで転がしてグリーン手前に転がすことを選択。残り53ヤードからの第3打を58度のウエッジでピン2メートルにつけて、パーセーブに成功した。

「アゲインストなので無理せず、アプローチができる場所に置きました。その方がパーセーブする確率が高いと思いましたので」

師匠・尾崎も評価する「ゴルフ脳」を証明

 そうした「我慢」の積み重ねが、15番のイーグルを呼び込んだ。もちろん、狙って取ったわけではないが、西郷は会見で「テレサさんは、(ドライバーが)飛ぶので18番までに1打のリードは必要だと考えていました」とコメント。そのプラン通りになり、逃げ切り態勢になるはずの18番でも、意図して2オンを狙ったことを明かした。

「今日の(グリーンエッジ手前から10ヤード、右から6ヤードの)ピン位置だと、3打目からバーディーを狙うことも難しい。だったら、2打目で(ピンの)奥にいった方がいいと考えました」

 どんな状況でも、ベストのマネジメントをして、スコアにつなげられる能力。師匠の尾崎将司は、今季開幕戦ダイキンオーキッドレディスでツアー初優勝を飾った西郷のことを「ゴルフ脳はトップ」と表現したが、それをあらためて証明した18ホールだった。

 これで西郷は出場7戦4勝。稲見萌寧は21年初戦のダイキンオーキッドレディスから出場7戦3勝だったが、西郷はそれをもしのぐ強さを見せている。4勝のうち3勝は逆転勝利で、連続アンダーパー試合のツアー記録は「30」に更新した。

 次戦は国内メジャー初戦のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ(5月5~8日、茨城GC西C)。メルセデス・ランキング、賞金ランキングともに独走状態の20歳は「セッティングがより厳しくなるので、そうした試合で自分らしいマネジメントをして、より勝ちたい気持ちが強いです。そのために、目の前の一打に集中したいです」と言った。明日2日は同コースで練習ラウンドを予定。王者は休みなしでメジャー初優勝を狙っていく。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)