スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月7~14日/賞金総額543万9350ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝、対ノバク・ジョコビッチ(セルビア)戦を前に、錦織圭(日清食品)…

 スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月7~14日/賞金総額543万9350ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝、対ノバク・ジョコビッチ(セルビア)戦を前に、錦織圭(日清食品)が棄権を決断した。朝、試合前の練習を行ったあとの決断で、試合開始時間の30分ほど前に発表され、すぐに記者会見が行われた。

 錦織は、3月下旬のマイアミ(ATP1000)で故障し、バルセロナ(ATP500)の出場取り消しの原因でもあった右手首の状態が「前日より悪くなっており、100%の状態でプレーできないので、今、過剰なリスクはおかしたくないと思った」と話したが、同時に「厳しい相手に対し、2試合を戦えたことがうれしい」とも言い添えた。◇     ◇     ◇「フェレール戦後、少し痛かったが、今朝はさらに痛みが増していた。正直、1試合目、2試合目の試合中にも、何回か(痛みを感じる瞬間は)あったものの、それがどのくらいの痛みなのかというのは自分でも判断はしかねたので...。プレーできる痛みと、できない痛みがあり、試合後に痛みがあっても、朝に治っていることもたまにはある。でも今日は前日より痛みが増し、より悪くなっていたのでやめることにした」 錦織は棄権の決断を下した過程を、こう説明した。痛みでラケットが持てないというような、迷う余地のないものではなく、全仏オープンを視野に入れた上での難しい決断。「まだ100%ではないので、今日リスクはおかしたくないと思った」と錦織は言う。「ショットによってはまったく痛くない場面もあるが、痛くなるショットもある。かばってプレーしていると、ほかの場所に痛みが出たり、イライラもたまってくるので、なるべく全部治ってからプレーしたい」 現時点での錦織の願いは、手首に数日の休息を与えることによって治癒を進ませることだ。 来週から始まるローマに出たい気持ちは、変わらずある。「来週のローマに出たい気持ちもあるので、リスクを避ける道を選んだ。今日は100%でプレーできないので、休んでなるべく100%に戻してからローマに出場できるよう頑張る」と錦織は言う。「間違いなく数日は休養に充てる。今のところローマでプレーする予定にしているが、絶対に出るとも約束できないし、棄権するとも言いきれない。出られる可能性があるとは感じているが、全仏オープンはより重要なので、何日か様子を見て決めたいと思う」 全力で戦えない状態でプレーし、そうすることによって治りかかった手首を悪化させるリスクをおかすより、完治を目指すため患部を休ませると決めたのは、おそらく正しい選択だろう。錦織は、「筋肉痛なら無理してプレーすることもできるが、手首の場合、そうはいかない」とも言った。「100%に戻り、全力で毎試合戦えるようになりたい。棄権しなければならず非常に残念だが、マイアミからここまで回復するのにすごく時間がかかったので、今、手首に過剰な負担をかけたくない。治りかけではあると思うから、悪化させるのだけは避けたい」 錦織は、手首の問題は、具体的には炎症であると説明。問題なくプレーできるところまで戻ったか否かの判断は常に難しい、というが、また、毎年いい成績を挙げているこの大会に出場したことで、いい手応えもつかんだと言い添えた。「棄権するというのは、常に辛いこと。特にここのような大きな舞台では。でも同時に、(ここまで戦えて)僕は少しうれしくもある。手首はここ数週間で少しよくなり、厳しい相手に対して2試合を戦うことができた。治癒しつつあるとは思うので、ポジティブな気持ちを保ち、数日休んで、来週にプレーできるようにするため、すべての努力をつぎ込んで、回復のため最善を尽くしたい」(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)※写真は「ムトゥア マドリッド・オープン」準々決勝の棄権を発表した錦織圭(日清食品)

Photo: MADRID, SPAIN - MAY 12: Kei Nishikori of Japan talks to the press after retiring with an injury before his match against Novak Djokovic of Serbia during day seven of the Mutua Madrid Open tennis at La Caja Magica on May 12, 2017 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)