今年で40周年を迎えた関西六大学野球連盟がSNSなどを活用した情報発信と人材育成に力 今年で40周年を迎えた関西六大学野…
今年で40周年を迎えた関西六大学野球連盟がSNSなどを活用した情報発信と人材育成に力
今年で40周年を迎えた関西六大学野球連盟が、SNSなどを活用した情報発信と人材育成に力を入れている。4年前から写真撮影や動画の撮影、編集などを外注し、質の高いコンテンツの提供を実現。それに加え、今季からリーグ戦全試合をライブ配信している。従来通り学生主体の取り組みを継続しながら、より実践的な現場経験を通し、プロ野球選手はもちろん、将来を担う学生の育成、輩出を目指している。
公式SNSの情報発信力強化に取り組んでいる同連盟副委員長兼広報責任者で、神戸学院大学4年の平山一郎さんは「この連盟だけでなく、大学野球全体をメジャースポーツにしたい」と、夢を語る。
関東圏内の大学でプレーする選手ばかりが野球関連誌の表紙を飾ることに対し「関西にも実力のある注目選手が多くいるのに」と、もどかしさを抱えていたという。露出度や人気に偏りがある現状を打破するため、広報業務を担当する仲間や北住達也事務局長と何度も話し合いを重ね、連盟自らが情報発信を積極的に行うことを決めた。
2019年春に約5000人だった同連盟のフォロワー数は今春のリーグ戦開始時点で1万人に迫る
まず、行ったのは公式ツイッターの見直し。2012年に開設されて以降、数字だけが並んだイニングスコアの速報など、シンプルな投稿が多かった。「いろいろ新しくしていこう」と連盟全体で団結し、即時性のある情報発信と、コンテンツの拡充を目指した。
例えば、試合開始前にできるだけ早くオーダー表の写真を掲載し、前回の試合内容を踏まえた見どころも書き添える。春季リーグ第4節、第1試合の投稿では「大阪商業大学のスタメンで1年生の綛田小瑛選手の情報を載せました。彼の出身高校である東海大相模は全国的にも人気があるので、既存のフォロワーに喜んでもらうだけでなく、高校野球が好きなユーザーにも関心を持ってもらえるかもしれません」と、工夫した点を説明する。イニングスコアの速報にも、試合内容を書き加えるよう改善したという。
「以前は見ている人にとって濃い内容ではありませんでした。でも、ツイッター更新担当者の携帯電話の通信量の消費が激しく、充実させるにも限界があったんです」と、学生主体で運営する環境下での苦労も。しかし、小さな改革の積み重ねにより、2019年春に約5000人だった同連盟のフォロワー数は今春のリーグ戦開始時点で1万人に迫るほどまで倍増している。
サイングッズなど同連盟出身のプロ野球選手たちも協力
今年は40周年を記念し、同連盟出身プロ野球選手のサイングッズが当たるプレゼント企画もツイッターで実施した。日本ハムの開幕投手に抜擢されたドラフト8位ルーキーの北山亘基投手やオリックスの平野佳寿投手(京産大)、楽天の太田光捕手、ヤクルトの大西広樹投手、阪神の小野寺暖外野手、中日の橋本侑樹投手や福元悠真外野手(いずれも大商大)が協力し、約200人の応募があったという。また、同連盟公式YouTubeでも、40周年を祝福する各選手のメッセージ動画が公開されている。
改革のために参考にしているのは、総合格闘技団体「RIZIN」に関連するSNS。「勝者と敗者、どちらも同じ情報量で、同じ写真の枚数が更新されているんです。それに、試合前の様子などのオフショットも充実しています。個人的に格闘技が好きなのでRIZINを参考にしましたが、勉強できる点がたくさんあります」と平山さんはいう。勝利チームや人気選手だけでなく、連盟に所属するすべての大学に等しくフォーカスを当てた投稿を心がける。
今年も同連盟には大経大のプロ注目右腕・才木海翔投手など、レベルの高い選手が在籍中だ。75年の歴史がある日本の大学野球をメジャースポーツへと押し上げるには、関わる全学生が型破りなチャレンジ精神を持つことも必要なのかもしれない。(喜岡桜 / Sakura Kioka)