個性豊かな"ウマ娘"が登場するスマホゲーム「ウマ娘 プリティダービー」。数あるキャラクターの中で、天皇賞を語るなら絶対…
個性豊かな"ウマ娘"が登場するスマホゲーム「ウマ娘 プリティダービー」。数あるキャラクターの中で、天皇賞を語るなら絶対に外せない"名家のお嬢様"がいる。ウマ娘のメジロマックイーンである。

期待に応えて1991年、1992年の天皇賞・春を制したメジロマックイーン
ゲーム内でメジロマックイーンは、名門メジロ家に生まれ、そのメジロ家が重視する天皇賞制覇を悲願としてきた。そして、実際に天皇賞で無類の強さを誇り、名家の期待に見事応えたのだった。
ファンにはお馴染みのストーリーだが、決してフィクションではない。このウマ娘のモチーフとなった競走馬・メジロマックイーンの半生がベースになっている。
日本競馬において、長きにわたり君臨してきた一大勢力があった。馬名の頭に「メジロ」と名のつく、メジロ軍団である。多数の名馬を輩出してきたメジロ軍団は、一貫して天皇賞勝利を目標に掲げてきたのだった。
ちなみに、天皇賞は、春と秋の年2回施行される。今でこそ、春は京都・芝3200m(※今年は阪神開催)での実施、秋は東京・芝2000mでの実施となっているが、もともとは、どちらも芝・3200mの長距離で争っていた。そして、メジロ軍団が大切にしていたのは、古くから続く3200mの天皇賞である。
そのため、メジロの馬は長距離に強い"ステイヤー"が多い。1987年に生まれたメジロマックイーンも例外ではない。むしろ、メジロの至宝といっていい、長距離血統の持ち主である。
なぜなら、マックイーンの祖父メジロアサマと父メジロティターンは、3200mの天皇賞を制していたのだ。まさに、長距離王国メジロが紡いだ血統の結晶。こういった背景がウマ娘で反映されている。
その期待に応えるように、競走馬のメジロマックイーンは、天皇賞・春で輝きを見せることになる。
1990年、4歳(現3歳)でデビューした同馬は、その年の秋に長距離GⅠの菊花賞(京都・芝3000m)を制する。そして、翌1991年4月、この馬にとって初めての天皇賞・春に挑むこととなった。
このレースに勝てば、父子三代による天皇賞制覇の偉業を達成する。周囲の大きな期待と重圧がのしかかったが、終わってみればあまりにあっさりと、メジロマックイーンは偉業を達成した。
その後、10月に行なわれた天皇賞・秋では、1着でゴールしながら他馬への進路妨害により18着降着という憂き目にあってしまう。そんな悲劇も経て翌年、6歳となった1992年4月には、天皇賞・春の連覇に挑んだ。
メジロの至宝vs無敗の帝王
この年の天皇賞・春は、競馬ファンの興奮が極地に達したレースだった。なぜなら、スターホース2頭の直接対決が実現したからである。
その1頭は、長距離で無類の強さを誇るメジロマックイーン。そして、相対するもう1頭のスターホースが、トウカイテイオーだった。
トウカイテイオーは、それまで7戦無敗。皐月賞と日本ダービーというGⅠを圧勝で制し、その後、骨折で長期休養するも、見事に復帰。ケガ明けの前哨戦を楽勝してここに挑んできたのである。
メジロの至宝と、無敗の帝王の激突。人々はこの戦いを「世紀の対決」と呼んだ。
そんな世紀の対決の軍配は、メジロマックイーンに上がった。長らくマックイーンとコンビを組んできた鞍上の武豊は、3コーナー手前からロングスパートを仕掛けて先頭へ。テイオーがその後ろを追いかけると、武豊は横目で何度もライバルを確認する。
一体どちらが強いのか。胸が高鳴る瞬間だったが、直線に入るとテイオーの脚色は鈍った。この距離では譲れないとばかりに、メジロマックイーンが勝利。トウカイテイオーは5着に沈み、その後、再度の骨折も判明したのだった。
マックイーンも、このレースを終えて、次のGⅠへ向かう途中に骨折を発症。長期休養に入る。復帰したのは約1年後の1993年4月。7歳になっていた。
この年、同馬は前人未到の記録に挑む。それが「天皇賞・春の3連覇」だ。ケガ明けの復帰戦も快勝し、3連覇濃厚ムードになったが、それを阻んだ馬がいた。2歳下のライスシャワーである。
ライスシャワーも、長距離にめっぽう強いステイヤー。レースではマックイーンの背後をマークし、芦毛の馬体が抜け出したところを交わしたのである。マックイーンの3連覇は夢に終わったが、名ステイヤー2頭によるすばらしいレースだった。
この後、GⅠをもうひとつ勝利したものの、秋にはケガで引退となったメジロマックイーン。その後は、種牡馬として自身の血を伝える役目になった。
それから約20年後、メジロマックイーンのスタミナを受け継いで活躍したのが、何を隠そうゴールドシップである。その血統を見ると、母の父にマックイーンがおり、毛色も同じ芦毛。この2頭の関係も、ウマ娘に反映されている。
そのゴールドシップも、2015年の天皇賞・春を制覇。同馬の持つ無尽蔵のスタミナは、間違いなく母父譲りだろう。
メジロマックイーンが駆け抜けた時代から、およそ30年の月日が経つ。その間に数多くの名馬が出てきたが、いまだに日本のステイヤー、天皇賞・春の名馬といえば、この馬に触れないわけにはいかないだろう。
メジロが紡いだ血統の最高傑作。天皇賞・春の前には、マックイーンの強さが脳裏をよぎる。