3.20両国大会で佐々木大輔・葛西純との3WAYマッチを制し自身初のシングルタイトルDDT UNIVERSAL王座を獲得したMAO。彼は5.1横浜武道館大会にて挑戦者・朱崇花を相手に2度目の防衛戦を迎える。 <(1)はこちら> ――…

3.20両国大会で佐々木大輔・葛西純との3WAYマッチを制し自身初のシングルタイトルDDT UNIVERSAL王座を獲得したMAO。彼は5.1横浜武道館大会にて挑戦者・朱崇花を相手に2度目の防衛戦を迎える。

<(1)はこちら>

――昨年末のD王GP、同じブロックにHARASHIMA選手、樋口和貞選手、竹下幸之介選手、クリス・ブルックス選手、そして岡林裕二選手がいました。モチベーションが回復し出場したD王GPはいかがでしたか?

【DDTプロレス HARASHIMA】CyberFight FESではDDTを昔から観ているファンの方にも届けたかった

MAO:戦った相手、全員タイプが違いました。僕はBブロックの中で1番体重が軽かったので、工夫しながら戦うことが楽しかったですね。その工夫が樋口さんやHARASHIMAさんに上手くハマり勝つことができました。岡林さんには完全に負けたわけではなく、試合後「ワンチャンスあったな」と思いました(笑)。

――MAOさんが岡林選手に勝つ姿、見たいですね。

MAO:形はどうであれ「勝てなくはなかった」と。でもクリスとは自由に戦いすぎちゃいましたね(苦笑)。お互い「プロレスにハズレはあるけど正解はない」と考え方が似ています。

――たしかにクリス選手とはプロレスの捉え方が似ている気がします。そして「Ultimate Tag League 2022」では勝俣瞬馬選手とタッグを組みました。

MAO:勝俣さんとはプライベートで1番仲が良いですね。考え方が似ているしプロレスで見せたいものが一緒。DDTを観にくるお客さんは「楽しいものを見たいんだろう」と。僕も勝俣さんも「そのイメージを崩したくない」と思っている2人です。フィーリングも合うしやりたいことも合う。勝俣さんはハードコアからデスマッチまで戦いますが、そのスタイルも僕と一致する部分が多いですね。

【DDTプロレス クリス・ブルックス(1)】叔父が持ってきたプロレスビデオを繰り返し観ていた

――MAOさんと勝俣選手のハードコアは既存のものとは違い、すごくポップなハードコアですよね。

MAO:2人の共通認識として、ただ凄惨なものを見せたいわけではないんです。ハードコアマッチは激しいし痛い。でも「見やすさ」であったり、いかに「DDTファンにも受け入れてもらえるか」を2人で考えてやっています。勝俣さんはブロックやオモチャを使ってポップに見せる。僕は等身大の痛さを感じてもらえるよう、どこの家庭にもあるプラケースを使います。「このプラケースが、あんなに激しく割れるんだ」と実感してもらえる。会議用のテーブルやパイプ椅子より身近なものを使いますね。

――色々工夫されていますね。そして3.20両国「Judgement2022~DDT旗揚げ25周年記念大会~」で佐々木大輔選手、葛西純選手と3WAYを行いDDT UNIVERSAL王座獲得。念願だったシングル王座獲得はいかがですか?

MAO:試合前から「存在感」と声を大にして言わないと、リング上で僕の存在が消されてしまう2人。2017年3月さいたまスーパーアリーナのメインアリーナで王者が佐々木さん、挑戦者が葛西さんのDDT EXTREME級選手権試合がありました。その2人の戦いに僕が入るのか…とプレッシャーもありましたが、「どこかで出し抜いてやろう」と考えていました。

【DDTプロレス 3.20両国大会】Judgement2022〜DDT旗揚げ25周年記念大会〜

――いつも以上にMAOさんが客観的に試合を見ている気がしていました。

MAO:いかに「ちゃっかり勝つか」を考えていたので真正面から戦うつもりはなかったですね。それが3WAYの妙で「佐々木さんと葛西さん2人だけの世界をつくること」に心血を注いでいました。2人が僕を無視すればするほどオイシイ立場になると(苦笑)。

――リング下で息を潜めていましたね。

MAO:中盤からシレッと隠れていました。「2人の世界に入ってくれないかな」とタイミングを見ていました。

――その作戦が見事功を奏してDDT UNIVERSAL王座獲得しました。念願の初タイトルを腰に巻いていかがでしたか?

MAO:本当に長かったですね。自分が「シングルベルトに挑戦できる」と思ったのが2020年2月。当時王者だった田中将斗さんに挑戦したKO-D無差別級タイトル戦。そこからシングルベルトを獲得するまで2年間…本当に長かった。この2年間は本当に辛いことが多かったので、「やっと楽しくなる!」と実感したタイトル奪取ですね。

――KO-D無差別級王座、DDT UNIVERSAL王座、DDT EXTREME王座と3本のシングルベルトがありますが、どれが自分に合っていると思いますか?

MAO:(少し考えて)本来はDDT EXTREME王座なんでしょうね。KO-D無差別級王座はもちろん欲しいですけど、「団体の顔になる!」という気持ちが僕にはなくて、団体の幅を広げるポジションでいたいんです。だから「エースです。僕は団体の顔です」とはなりたくない、ひねくれていますけど(苦笑)。

【ガンバレ☆プロレス 翔太(1)】高2の時エディ・ゲレロが亡くなった。だったら自分がエディみたいな試合をしよう

――DDT UNIVERSAL王座は、奪取した時MAOさん自身が「海外にDDTの名を広めていきたい」と話したように海外戦略に相応しいベルトです。3.27後楽園でAEWの中澤マイケル選手と初防衛戦を行い勝利、5.1横浜武道館で海外でも活躍する朱崇花選手と戦います。このまま防衛を続ければ、ベルトと共に海外に行くこともありますよね。

MAO:これまでも海外に行ったことはあります。ただコロナ禍で海外の話が全て無くなりました。2020年4月にシンガポールに行くとか、その他オーストラリア遠征とかプランがありましたが、残念ながら頓挫してしまいました。

最近やっと海外への渡航がしやすい環境になったタイミングでDDT UNIVERSAL王座を奪取した。初防衛戦がAEWのスーパースター中澤マイケル、そして次がミクスドマッチで朱崇花。そういう意味ではDDT UNIVERSAL王座の名に恥じない戦いができていると思います。
<(3)につづく>

<インフォメーション>
5.1横浜武道館「MEGA MAX BUMP 2022 in YOKOHAMA」にて挑戦者・朱崇花選手を迎えるDDT UNIVERSAL王者・MAO選手。その他メインイベントでは第78代王者・遠藤哲哉選手にThe 37KAMIINAの上野勇希選手が挑戦します。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます

MAO Twitter
DDTプロレスリング Twitter

取材・文/大楽 聡詞
編集/塩田 博史
写真提供/DDTプロレスリング